新しいピッチャーの起用法として、昨季オープナーが注目されましたが、新たなピッチャー起用法が導入されるかも知れません。
例えるならば、1998年1月26日に全日本プロレス・大阪府立体育会館第一競技場大会における三沢光晴さんが秋山準選手との三冠ヘビー級王座防衛戦で、初公開したオリジナル・エメラルド・フロウジョンに対して、丸藤正道選手が対三沢光晴さん用に、三沢さんのオリジナル技であるタイガー・ドライバーとエメラルド・フロウジョンを掛け合わせて考案し、2009年12月9日の日本武道館大会で公開された派生技のタイガー・フロウジョンのようなものです。
それは、先発ピッチャーに短いイニングを託す「ショート・スターター」というものです。昨季、MLBで導入された救援ピッチャーが先発する「オープナー」をアレンジしたもので、オークランド・アスレチックスとのプレシーズンゲームに先発した斎藤佑樹選手で試されました。栗山英樹監督は試合後の会見で、隣に座った斎藤に「佑樹、ごめんなさい。本当は長く投げさせてあげないといけないけど」と頭を下げていましす。斎藤選手は降板後、ブルペンでの追加投球などもしておらず、明らかに普通の調整ではありません。「与えられたポジションでしっかり投げていくことが大事。目の前の打者を抑えることだけ集中して、起用法は監督に任せます」と、やはりここには何か特別な起用法を感じることが出来ます。
従来の「先発ピッチャー」とは違う新概念になります。責任投球回の5回以上を投げることが先発の一つの目安とされていますが、ショート・スターターは打者一巡、最長で3回を投げきることが役割になります。そこは力だけではなく、制球などの技術でアウトを積み上げ、チームに流れを引き寄せる役目をになります。斎藤選手は、実戦4試合はすべて先発で最長イニングは3回。通算9イニング目で初めて失点したものの、抜群の制球力で試合序盤を抑える安定感を示しています。また、斎藤選手にとっても、個性を生かせるポジションとなりそうで、どうしても5回、7回と先をみれば、それだけペース配分に気を使わなければなりません。
また、今季から一軍登録枠が1人増の29人となったことも、戦略の幅を広げることにもなります。木田ピッチングチーフコーチは「起用で決まっているのは開幕の上沢と第2戦の金子だけ。栗山監督がいつも言っているように、どうやったらファイターズが優勝できるか。起用法は無数にある」と語っているとおり、斎藤選手のほかにも、杉浦選手やロドリゲス選手、バーベイト選手、またオープナーに興味を示していた金子選手もショート・スターターの候補になりそうです。
ま、これをドラゴンズでやっても面白いと思います。松坂選手、吉見選手、山井選手のベテランをショート・スターターとしてみてはどうでしょう。でも、この3選手は「ピッチャーは完投して、なんぼ」のような感じがしますから、難しいでしょうか。
さて、オープナーにショート・スターターと野球の戦略もいろいろと変わってきています。例えるならば、丸藤正道選手が2014年6月13日の三沢光晴メモリアルナイトにおいて齋藤彰俊選手に対して決め技として初公開した、ポールシフト式エメラルド・フロウジョン(変型タイガー・フロウジョン)のような、派生技が生まれてくるかもしれません。