新型コロナ影響により今年6月から
立て続けに三つの囲碁サロン(京都2、大坂1)
が店を閉じた――
【いっときブームになった「囲碁ガール」を考える の巻】
「碁会所」という空間は、敷居が高く、初めてなら入りにくい。
怖いオジサンたちの暗い巣窟、というイメージ。
将棋を指す場所は「将棋道場」なので、もっといかめしい。
囲碁ガールなるものが現れる少し前からか
「囲碁サロン」などと銘打つ店が増えた。
中身は変わらずだが、オシャレな感じがしないワケでもない。
むろん「紫煙もくもく」はなく、明るい雰囲気である。
ビジターなら一日1000円か1500円で遊べる。
地方都市なら700円もある。コスパ高し。
サロンは、フランス語で「客間」という意味だが、
それが転じて「展覧会」になり、
サロン芸術と言えばブルジョア階級の客間芸術となった。
それにあやかって、昭和のはじめごろから、
バーとも喫茶ともつかない飲食店が
店名にサロンと付け始めた。
大阪・心斎橋で人気だった囲碁サロンが6月に閉店した。
わたしの自宅に、その知らせの「はがき」が届いた。
同じ大阪・ミナミにある別の囲碁サロンに吸収されたらしい。
そこに先般、近くに用事があった本拠地同好会の碁友が訪れた。
入ろうかどうしようかと迷ったが、思い切って入った。
新型コロナどこ吹く風とばかり、開店からまもなく混雑したとか。
初段の若い女性と対局し、落ち着いた碁だったという。
わたしは、彼女が心斎橋の「はがき」の差出人と同一人物で、
受付をやっていたヒトに違いない、と確信した。
「関西棋院のキムタク」といわれるイケメン九段の奥方である。
べっぴんさんは、2、3年前、6級ぐらいだったと思う。
受付業務も気配りが利いて、店のブログもまめに更新していた。
碁を始めて十年もたたず、それがいまや初段か……。
「対局態度と姿勢が、凄くよかった」と碁友のメール文面。
若い女性と打って舞い上がった心持ちがにじんでいる。
わが地域碁会にも「落ち着いた」女性会員が何人かおられる。
数パーセントだから、そりゃ、超の着く「お姫様扱い」。
彼女たちの打ち振りは穏やかで、しかし攻め気が強かったりする。
ボードゲームは人間の深い所がひょいっと出るモノ。
そこがまた愉しいのである。
だが、このご時世で、なかなかお姿を見かけぬ。
碁会風景は、モノトーンというか、鈍色というか。(失敬!)
姫様たちのお越しを、皆、内心お待ち申し上げてる。