【カベ突破道場名誉師範の便り 第2弾 ~ 浄頗璃の鏡に浮ばむ時かな の巻】
■「居住まいを正す」
という言葉があります。
対局相手が、礼もそこそこに
足を組んで体をねじって姿勢を崩したとしたら
あなたはどんな気持ちになりますか。
相手が上手であれば、なめてかかってきたな?
相手が下手であれば、モノを知らないということか?
でしょうか。
巌流島の決闘の如くに、戦闘開始を前に
駆け引きが始まっているのでしょうか?
それともーー。
礼は、礼のためにあったわけではありません。
諸々の理由から、礼のカタチができたのです。
◇
■碁会有志の勉強会も、新型コロナ渦により、
開催できずにいるところですが、
名誉師範から「暇つぶし」にと
以下のモノが、勉強会メンバーに届きました。
碁歴が長くても、案外知らないこと、悪いクセがついていることがあります。
ざっと目を通してセルフチェックしてみてください。
最後の一文の締めがニクイです。
まさに、その通り。さすが、です。
所作・ルールは知っておくべきもの。
しかし、それはそれ。
己の修練の財とせよ
ですね。
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▼棋歴の長い方でも「知らない」「思い違いをしている」と思われ、
何度か経験した項目を、わたしが強調の意味で「太字」にしてみた
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囲碁のマナー(その2)
■ 勝負に対する姿勢
① 対局者に敬意を表し、どんな時でも真剣に打ちましょう。勝負に固執し過ぎてはいけませんが、全身全霊を捧げる気持ちで戦いましょう。
■ 対局中
② テーブルと椅子で対局する場合は、テーブルの上に腕を載せない、足を組まない、両足を広げ過ぎない、背もたれにもたれない、椅子の上であぐらをかかないようにしましょう。
③ 石を持った手を盤上に出した後、石を置かずに手を引っ込めた場合は「失礼しました」とお詫びしましょう。
④ 石は碁盤の交点に正しく置き、乱れのない読み易い盤面にするよう心掛けましょう。
⑤ 碁盤に石を置いたらすみやかに指を離しましょう。指が付いた状態で迷うのは品位を欠く行為です。
⑥ アゲハマは碁笥の蓋を裏返して載せ、相手が見える位置に置かなければなりません。
⑦ 扇をパチンパチンと鳴らすことは相手の思考を妨げる恐れがあるので注意が必要です。
⑧ 対局中に飲食する場合、飲み物・おやつ程度は構わないが、おにぎり・パンなどの場合は失礼しますと声を掛けましょう。
■ 対局時計
⑨ 対局時計の位置は後手番が決める権利を持っています。
⑩ 時計のボタンは石を打った手で押すこと、二刀流はダメ。また、静かに押すこと。
⑪ 抜き石が有る場合は相手石を全て取り上げてからでないとボタンを押してはいけません。
■ 終局時
⑫ 形勢が明らかに不利で逆転の余地がないと自らが判断したら潔く投了しましょう。
⑬ 相手が「終わりましたね」と問い掛けて来ても応える義務はありません。終局同意を求めることは相手にもう手が残っていない事を確認する行為になるからです。終局する時は「パス」と言って着手放棄する意志を伝えましょう。また、双方が「終わりましたね」と言って終局すると、ダメを詰めている時に手が生じてトラブルになる可能性があります。
⑭ 終局を確認し合ったら、相手の死石を取り上げます。決して自分の死石を取り上げてはいけません。
⑮ 相手が自分の死石に気付かない場合は「取り上げて下さい」と言いましょう。
⑯ 整地の際、白石と黒石を入れ替えたり、白地と黒地の境界にある石を取ったりすることは必要最小限に留めましょう。
⑰ 不正を疑われる行為は絶対に避けましょう。
⑱ 整地して大差で負けていた場合は「失礼しました」とお詫びしましょう。
■ 対局後
⑲ 敗者をいたわる振る舞いを心がけましょう。
⑳ 検討時に対局者以外の者が口を出す場合は「よろしいですか」「失礼します」と声を掛けてから参加しましょう。
■ 観戦者
㉑ 観戦者が整地の手伝いをしてはいけません。
㉒ 観戦者が一方の対局者をあからさまに応援するのはやめましょう。
■ 最後に
「水清ければ魚棲まず」ということわざも有ります。
礼儀作法に固執し過ぎないようにしましょう。
礼儀作法とはあくまで己の規範であり、
人に強要するものではありません。
(出典)https://www.youtube.com/watch?v=WBZKmKx_vYE
いかがでしたか?
結構、あるあるだったでしょう。
足を組んで姿勢を崩して打ったり、
石を持った手が盤上を行ったり来たり、
終わってもないのに「終わりましたね」といったり、
などなど、最近もお目に掛かりました。
「観戦者が整地の手伝いをしてはいけません」
には、吹き出しました。
横から無言で手が出てきて、
こんな「親切」もあるものか、
と驚いたことが一度や二度ではありません。
ここにはありませんでしたが、
もう大差で負けが決まっている碁を
「もう少し打ってみるか」とつぶやいて
打つ人もいます。
これじゃ、相手のミスを待っているわけで、
失礼にもほどがあると言えましょう。
打つところがなくなってから、ようやく
「負けました」といわれた日には……。
さすがに有段者ではありませんが、
目上相手に注意することもできません。
「待った常習者いじり」や「超長考者いじり」など、
酒席等で話題になっているのを、当の本人はご存知ないでしょうね。
身から出た錆とはいえ、残酷物語ではあります。
★参考記事
「戦の心構え」2020/03/17投稿