昭和の大棋士・藤沢秀行は
プロ・アマ問わず、
中韓など国境の有無を問わず、
超のつく「教え魔」であった
著書「置碁——白の作戦」に
こんな話が出てくる
「囲碁の手合割(ハンディキャップ制度)は
実によくできており、
実力差のある者同士が、
ゲームの質を損なうことなく
同様に楽しむことができる」
と前置きしたうえで、
「置かせた碁を、
序盤で大失敗して
形勢不利となった互先の碁、
と考えてはどうか」
と自説を展開している。
とすれば、
「勝負手を連発して大逆転を狙うか、
じりじりと差を詰めて微差の逆転を狙うか
いずれにしても緩んだ手は打てないし、
小利にこだわって局面を狭くすることも禁物。
上手の碁の質も向上させるに違いない」
というリクツを展開する。
「置かせた碁には、追う者の楽しさがあり
逆転できなくとも もともとと思えば
こんな気楽で楽しい碁はない」
「後味の悪い勝ち方より
楽しい負け方が好ましい」
「(白の立場での)置かせ碁は、
多く置かれれば負け
少なく置かれれば勝ち
という結果がはっきりとしている」
「上手の負けは少しも恥ずかしいことではなく
下手の上達をいっしょに喜んでもいいほどなのです」
「置碁というすばらしい制度を利用して
多くの人と手談を交わし
囲碁人生を深めていただきたい」
◇
人間同士が
盤をはさんで対局するリアルの実感である
わたしがネット碁にサヨナラしたのは6年前
置かせ碁を勉強することにしたのもこの頃
互先の碁も、置かせ碁も、
それぞれの味わい、愉しみがある
置かせ碁は、手が荒れる、
というのは間違いである
正しい手を打ち続けて負ければ
相手が強くなっているのである
さあ、
置かせて、
真剣に打ち、
きれいに負けましょう
▲黒が石を置く順番
▲碁盤全体を眺める時のイメージ図
▲今春の級位者向け棋力アップ講座のために持参したペーパー。何度か並べてみてください。10回を超え、しばらくすると、何かがみえてきます。碁の魅力・魔力の入口に立った瞬間となるはずです。