【棋譜並べと手筋とのビミョーな関係の巻】
■囲碁の本に出てくる鮮やかに決まる手筋、つまり先に出題したシチョウ、そしてオイオトシ、ウッテガエシ、グルグル回し、などなど。決まればスカッとしますよね。でもプロの碁や幕末~昭和初期の名局には出てきません。なぜでしょうか? 手筋がカッコよく決まるのはアマの碁であって、プロの碁には出てこないものでしょうか?
■「アマの打碁にこそ良い手筋がたくさん出る」の説。真説のようです。「一目で千手が読める」と豪語した元祖「人間コンピューター」二十四世本因坊秀芳 (石田芳夫)みたいな人もいますが、プロは「15手を15通り読み、その出来上がり図を比較検討したうえで、おもむろに着手する」という魔界のイキモノ。
■大正から昭和初期の実力者にして棋界リーダー、瀬越憲作(せごえ・けんさく、1889-1972年)のように「何十手先まで読めることもあれば、布石や作戦の岐路に立った場合は一手先も分からぬ場合もあって、一概には言えぬ」という生真面目な人も中にはいます。
■鮮やかな手筋を相手に許さぬとばかりに、先の先まで手筋が出てこないよう注意して打ち進める。それが職業としての専門棋士の習い性。そんなところでしょうか。結果、無駄石のない美しい形が出てきます。
■大量点を取り合うシーソーゲームが面白いといわれる野球でも、0対0あるいは1対1の渋いゲームもそれなりです。サッカー然り、ラグビー然り。
■アマには「碁を楽しむ特権」があります。碁の世界にあっては「高等遊民」です。半目勝ちもそれなりですし、時には狙いすました背負い投げ一本でスカッとしたい! そう思って明日の例会も楽しみます。重畳の至り。
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▼岩見重太郎の牢破り どんな人か知りませんが、白一子(重太郎受刑者)が脱獄できるか、を問うものです。有名な手順ですね。
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▼天狗の鼻ヅケ これもよく似ています。白五子が脱出できますか? 両方とも元をたどれば中国の棋書「玄玄碁経」から発しています。
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