【初級者が「325手」を全部並べてしまったの巻】
■東京・上野囲碁センターの教室で、「中高年の落ちこぼれ晩学組」の棋力引き上げに取り組む金大鈴師範。宇宙流・武宮正樹九段との共著で、こんなことを書いている。
上達に必要なのは、一にも二にも碁に親しむこと。
お弟子さんたちにプロの碁や自分で打った碁を、碁けい紙に書き取らせている。
それをソラで並べられるように何度も並べることを宿題にしている。
最近、60歳を過ぎて入門されたご婦人が、本因坊秀策の「赤耳の局」325手を、ほかのお弟子さんが見ている前で全部並べてみせ、皆さんをアッといわせました。
この快挙で、ご婦人はすっかり自信をつけられ、驚くほど上達されています。
碁を並べるといっても無理せず、楽しみながら上達でき、勉強の習慣を会得してもらうのが私の願いです。
碁を並べる時、100局を1回ずつより、1局を100回並べる。この方が碁をよりよく理解でき、上達に結びつきます。
「たゆまざる歩み恐ろし、カタツムリ!」
▲モノマネについて、梅沢富美男は「役者の世界でも、まずは『見てまねろ』と教わる」と話す。そして、誇張やデフォルメを駆使するコロッケの芸を「モノマネを従来の世界から脱皮させた」と絶賛。
▲棋譜並べは高段者の勉強法、という人がいるが、誤りである。初心・初級者にも有効だが、それなりにやり方がある。1譜を10手程度まで分けてある棋譜を使うこと。着点が見つけやすい棋譜でなければ、根気がもたない。新聞碁でもいいし、プロの碁の解説書でもいい。最初は解説を読まず何度か並べる。少し慣れてきたら、解説を読むのもよし、読まぬのもよし。要するに、実戦で着点が浮かび、形が何となく分かってくればいいのである。アタマで考えて打つのでなく、指先に感覚を覚えさせるのである。