囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

異人のごとく3

2019年12月28日 | ●○●○雑観の森

【秀策の中央感覚の局/前編の巻】

 

江戸城で嘉永7(1854)年11月17日
先番・井上因碩(松本錦四郎)-本因坊秀策
130手完、白中押勝ち

 

1譜

因碩の黒1、黒3、黒7は、秀策流の小目3連打と似ているが

最終形が違う。本譜は黒5と即ジマリしている

正統秀策流は左上と左下のシマリとカカリが見合いになる

2譜

白は右辺をコウで食い破る

3譜

白はコウにこだわらず中央に進出

4譜

中央の競り合い

Aも実利大だが、中央の勢力争いが急がれるところ

5譜

白64、65が打てて、右辺の白は先手で収まる

 

6譜

白68で、下辺黒の生きを催促し、白72、黒73と大場を打ち合う

白74の絶妙手(Bのキリを守り、左辺黒模様を削減)

秀策の中央感覚は時代を超えている

         

         ◇


幕府は半年前の嘉永7年3月3日、
日米和親条約(神奈川条約)を結んでいた。
下田と箱館(現在の函館)を開港し、
鎖国は終わりを告げる。

世情不安は坂道を転げ落ちるようになり、
幕府は年中行事どころではなくなる。
 
十年後、
御城碁は230年余りの歴史を閉じたのである。

 

 

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