「大都市制度(特別区設置)協議会」だより第7号(2019年8月)が新聞折り込みで届いた。
2015(H27)年5月17日の住民投票で、否決され決着のついている大阪「都」構想なるものを、「特別区」の区割り変更だとか、「総合区」云々とかで、「大都市法」の欠陥を逆手に取って、再度の法定協議会による、大阪市の廃止・分割が住民投票にかけられようとしています。
大阪『都』構想のよりどころの「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(略して:大都市地域特別区設置法)では、「普通地方公共団体」の「基礎自治体」をないがしろにした「特別地方公共団体」の「特別区」に大阪市が廃止・分割されるだけで、決して、大阪「都」にはならない。
1)上記協議会だより第7号の「基礎自治体」の説明を事務局あてメールで求めました。
該当号の見出し(リード)にある「副首都」「都構想・大阪」「基礎自治体」について説明を求めます。
①副首都について、根拠となる法律を教えてください。また、副首都・大阪についての協議会での協議・決定内容について教えてください。直下型地震等自然災害対応として、首都機能の移転・分散は喫緊の課題ですが、南海トラフのリスクもある大阪は国益の視点からのふさわしくなく、ミスリードを現に慎まなければなりません。
②都構想について、「大都市法」では、特別区を設置しても大阪府は大阪「都」を名乗れません。一党派(維新)の政治宣伝(プロパガンダ)用語を普く市民を包摂する行政制度用語のごとく使用は許されません。大阪のあらゆる面での地盤沈下は行政機構の壊変やカジノ万博の誘致などで回復できません。
③基礎自治体について、地方自治法の改正により、東京都特別区は「基礎的な地方公共団体」と定義されたが、あくまでも特別区は「特別地方公共団体」であり、「普通地方公共団体」の市町村こそが、基礎自治体であって、多くの事務を「都が一体的に処理」する特別区は、決して基礎自治体ではありません。それは「大都市法」では、地方自治法の規定を越えることができません。到達番号:I-97-1-1-0-0-20190811212656
2)指定都市市長会へも「基礎自治体」の見解をFAXで問合せしました。
①2019.8.14 指定都市市長会事務局あて送信
ネット上のフリー百科事典であるウイキペディアやコトバンクの「基礎自治体」の解説として「日本の基礎自治体には市、町、村、および特別区の4種類がある。」と記載されているが、貴会の用語解説(www.siteitosi.jp/st_project/chihobunken/opinion/03.html 現在はリンクされていないのだが)には、「日本においては市町村を指す。」とあり、フリー百科事典の記述にある特別区を基礎自治体とすることは、法律的にも、行政的にも間違っていると思いますし、大阪での「大都市制度(特別区設置)協議会」だより第7号(2019年8月発行)でも「大阪市をなくし基礎自治体として複数の特別区を設置するもの」としていますが、いかがでしょうか。ご教示ください。よろしくお願いいたします。
②2019.8.20 指定都市市長会事務局より回答
指定都市市長会事務局の○○と申します。
この度は、ご意見フォームからの送信ができず、ご不便をおかけしてしまい、大変申し訳ございません。
現在、状況を調査し、対応を検討しているところでございます。
さて、この度いただいたご意見は、「「基礎自治体」という言葉に「特別区」が含まれるかどうか」ということと理解しました。
そもそも、「基礎自治体」という用語は、法令等で定義されたものではなく、そこに特別区を含むかどうかは、最終的には、使用する者がどう定義するかによると理解しております。
まず、ご指摘のとおり、当会の古いウェブページにおきましては、基礎自治体は「市町村を指す」(特別区を含まない)としておりました。
これは、憲法における「地方公共団体」の定義に特別区が含まれないとする判例(区長公選制に係る昭和38年3月27日最高裁判決)を踏まえ、また、特別区の実態として、権限や財源の持ち方などで市町村と違いがあることから、基礎自治体は「市町村を指す」という記述を行ったものです。
一方で、こちらもご指摘のとおり、大阪府・市の「大都市制度(特別区設置)協議会」だよりにおいては、「基礎自治体として複数の特別区を設置」とされております。
地方自治法では、市町村、特別区ともに「基礎的な地方公共団体」とされておりますが、これは、事務処理の面に限ると、ともに同じ位置づけがなされていると理解しております。
「大都市制度(特別区設置)協議会」だよりにおける記述がどのような趣旨かは、当方では把握しておりませんが、地方自治法のいう「基礎的な地方公共団体」の意味で「基礎自治体」と表記されているのではないかと理解しております。
いずれにしましても、「特別区」の存在をどう捉えるかは、必ずしも定まったものがあるわけでもなく、昭和38年からこの間、地方分権の取組等が進む中、引き続き、憲法における「地方公共団体」に特別区が含まれないかどうかも、明確な答えが無い状態です。
なお、当会の古いウェブページにつきましては、現在公開の意図は無く、今後、閲覧できないようにいたします。
③2019.8.20 指定都市市長会あて再送
早速のご返事ありがとうございます。
私は、「特別区」制度は、今日的には「成年後見」制度である。と評しています。
特別区とは、「基礎自治体」ではなく、平成12年(2000)民法の改正とともに廃止された「禁治産者」と云える。
民法改正で、「禁治産者」は成年後見制度へと移行したが、意思能力が不十分なため、利害関係をもつ重要な法律行為をする場合に不利益を受けやすい者(禁治産者=被後見人)などに対して、成年後見人等が代理して契約などを行い、その者が損害を被らないようにすることで、保護・支援する制度。
つまり、基礎自治体は広域自治体の都道府県と対等であるが、「特別区」は東京都ないしは大阪「都」構想での大阪府と対等でなく、広域自治体を成年後見人とすることになる。
「特別区」の被後見人(制限行為能力者)的実態は以下の通りです。
1)廃置分合も旧市に戻れず、新市も創れない「特別区」
2)政令市の人口規模を有するに、政令市になれない「特別区」
3)中核市並も、公選の区長が「中核市市長会」に入れない「特別区」
4)都市計画権限を失い「まちづくり」が機能しない「特別区」
5)固定資産税の喪失で、税の減免による「まちづくり」もできない「特別区」
6)一般法(地自法)と特例法(大都市法)の一国二制度の「特別区」
以上のように、自治体の主体性がないがしろにされてしまう「特別区」は決して、「基礎自治体」と言えるものではなく、『「基礎自治体」優先の原則』の理念にも反するものであり、「特別区」を「基礎自治体」との見解に与することは、指定都市が目指している『大都市行財政の円滑な推進と伸張』の方向性が損なわれてしまうことを危惧する次第であり、貴会における『「基礎自治体」は市・町・村』との明確な定義を改めてされることを強く望みます。
2015(H27)年5月17日の住民投票で、否決され決着のついている大阪「都」構想なるものを、「特別区」の区割り変更だとか、「総合区」云々とかで、「大都市法」の欠陥を逆手に取って、再度の法定協議会による、大阪市の廃止・分割が住民投票にかけられようとしています。
大阪『都』構想のよりどころの「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(略して:大都市地域特別区設置法)では、「普通地方公共団体」の「基礎自治体」をないがしろにした「特別地方公共団体」の「特別区」に大阪市が廃止・分割されるだけで、決して、大阪「都」にはならない。
1)上記協議会だより第7号の「基礎自治体」の説明を事務局あてメールで求めました。
該当号の見出し(リード)にある「副首都」「都構想・大阪」「基礎自治体」について説明を求めます。
①副首都について、根拠となる法律を教えてください。また、副首都・大阪についての協議会での協議・決定内容について教えてください。直下型地震等自然災害対応として、首都機能の移転・分散は喫緊の課題ですが、南海トラフのリスクもある大阪は国益の視点からのふさわしくなく、ミスリードを現に慎まなければなりません。
②都構想について、「大都市法」では、特別区を設置しても大阪府は大阪「都」を名乗れません。一党派(維新)の政治宣伝(プロパガンダ)用語を普く市民を包摂する行政制度用語のごとく使用は許されません。大阪のあらゆる面での地盤沈下は行政機構の壊変やカジノ万博の誘致などで回復できません。
③基礎自治体について、地方自治法の改正により、東京都特別区は「基礎的な地方公共団体」と定義されたが、あくまでも特別区は「特別地方公共団体」であり、「普通地方公共団体」の市町村こそが、基礎自治体であって、多くの事務を「都が一体的に処理」する特別区は、決して基礎自治体ではありません。それは「大都市法」では、地方自治法の規定を越えることができません。到達番号:I-97-1-1-0-0-20190811212656
2)指定都市市長会へも「基礎自治体」の見解をFAXで問合せしました。
①2019.8.14 指定都市市長会事務局あて送信
ネット上のフリー百科事典であるウイキペディアやコトバンクの「基礎自治体」の解説として「日本の基礎自治体には市、町、村、および特別区の4種類がある。」と記載されているが、貴会の用語解説(www.siteitosi.jp/st_project/chihobunken/opinion/03.html 現在はリンクされていないのだが)には、「日本においては市町村を指す。」とあり、フリー百科事典の記述にある特別区を基礎自治体とすることは、法律的にも、行政的にも間違っていると思いますし、大阪での「大都市制度(特別区設置)協議会」だより第7号(2019年8月発行)でも「大阪市をなくし基礎自治体として複数の特別区を設置するもの」としていますが、いかがでしょうか。ご教示ください。よろしくお願いいたします。
②2019.8.20 指定都市市長会事務局より回答
指定都市市長会事務局の○○と申します。
この度は、ご意見フォームからの送信ができず、ご不便をおかけしてしまい、大変申し訳ございません。
現在、状況を調査し、対応を検討しているところでございます。
さて、この度いただいたご意見は、「「基礎自治体」という言葉に「特別区」が含まれるかどうか」ということと理解しました。
そもそも、「基礎自治体」という用語は、法令等で定義されたものではなく、そこに特別区を含むかどうかは、最終的には、使用する者がどう定義するかによると理解しております。
まず、ご指摘のとおり、当会の古いウェブページにおきましては、基礎自治体は「市町村を指す」(特別区を含まない)としておりました。
これは、憲法における「地方公共団体」の定義に特別区が含まれないとする判例(区長公選制に係る昭和38年3月27日最高裁判決)を踏まえ、また、特別区の実態として、権限や財源の持ち方などで市町村と違いがあることから、基礎自治体は「市町村を指す」という記述を行ったものです。
一方で、こちらもご指摘のとおり、大阪府・市の「大都市制度(特別区設置)協議会」だよりにおいては、「基礎自治体として複数の特別区を設置」とされております。
地方自治法では、市町村、特別区ともに「基礎的な地方公共団体」とされておりますが、これは、事務処理の面に限ると、ともに同じ位置づけがなされていると理解しております。
「大都市制度(特別区設置)協議会」だよりにおける記述がどのような趣旨かは、当方では把握しておりませんが、地方自治法のいう「基礎的な地方公共団体」の意味で「基礎自治体」と表記されているのではないかと理解しております。
いずれにしましても、「特別区」の存在をどう捉えるかは、必ずしも定まったものがあるわけでもなく、昭和38年からこの間、地方分権の取組等が進む中、引き続き、憲法における「地方公共団体」に特別区が含まれないかどうかも、明確な答えが無い状態です。
なお、当会の古いウェブページにつきましては、現在公開の意図は無く、今後、閲覧できないようにいたします。
③2019.8.20 指定都市市長会あて再送
早速のご返事ありがとうございます。
私は、「特別区」制度は、今日的には「成年後見」制度である。と評しています。
特別区とは、「基礎自治体」ではなく、平成12年(2000)民法の改正とともに廃止された「禁治産者」と云える。
民法改正で、「禁治産者」は成年後見制度へと移行したが、意思能力が不十分なため、利害関係をもつ重要な法律行為をする場合に不利益を受けやすい者(禁治産者=被後見人)などに対して、成年後見人等が代理して契約などを行い、その者が損害を被らないようにすることで、保護・支援する制度。
つまり、基礎自治体は広域自治体の都道府県と対等であるが、「特別区」は東京都ないしは大阪「都」構想での大阪府と対等でなく、広域自治体を成年後見人とすることになる。
「特別区」の被後見人(制限行為能力者)的実態は以下の通りです。
1)廃置分合も旧市に戻れず、新市も創れない「特別区」
2)政令市の人口規模を有するに、政令市になれない「特別区」
3)中核市並も、公選の区長が「中核市市長会」に入れない「特別区」
4)都市計画権限を失い「まちづくり」が機能しない「特別区」
5)固定資産税の喪失で、税の減免による「まちづくり」もできない「特別区」
6)一般法(地自法)と特例法(大都市法)の一国二制度の「特別区」
以上のように、自治体の主体性がないがしろにされてしまう「特別区」は決して、「基礎自治体」と言えるものではなく、『「基礎自治体」優先の原則』の理念にも反するものであり、「特別区」を「基礎自治体」との見解に与することは、指定都市が目指している『大都市行財政の円滑な推進と伸張』の方向性が損なわれてしまうことを危惧する次第であり、貴会における『「基礎自治体」は市・町・村』との明確な定義を改めてされることを強く望みます。