そういえば美術館に足を運ばなくなり久しいです。本棚の片隅より、2008年のシャガール展のチケットが出て来ました。
シャガールの人と作品より。はじめは荒唐無稽のものと見えてもやがてそれに惹きつけられるというのは、それがでたらめで根拠がない空想ではなくて、何かしらそこに根拠があるからだろう。作品として投げ出されたシャガールの幻想は、ある種の普遍性を獲得しているのである。たとえばわたしたちは、自然とともに生きてゆくことの歓びを歌ったシャガールの作品を見て、ただちに同様の生きる歓びを味わうことはないまでも、心のやすらぎを覚え、動物や樹木や花や人間が基本的な状態に置かれているのを見て、心が澄みわたるのを経験したりする。
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自分は若かった頃、油絵に悪戦苦闘したので、シャガールについて自分なりに書いてみます。1887年7月7日、白ロシアのヴィテブスク郊外リョースノ村のゲットーで、ユダヤ人家庭に生れる。死亡日:1985年3月28日、フランスサン=ポール=ド=ヴァンス。
中学の教科書に載っていたのかな、「私と村」1911年の作品が印象に残っています。
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そして、「誕生日」1915年の作品には驚きました。
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シャガールも、ゴッホに似て、故郷を離れ、1910年パリに出てから、明るい色調で、多くの色面で全体を分割するような画面の構成となっていったのですね。
そして、自分が見た2008年、シャガール「花束の伝説」展より。
1915年、28歳のとき、シャガールはベラと結婚します。ベラに出会ってからのシャガールは、肖像画に花束を描き始めます。しかし、1944年、シャガール57歳の時、最愛の妻ベラが急死します。一時はそのショックから筆も握れないほどでしたが、その悲しみを癒す新しい恋人ヴァヴァがシャガールを支えます。そして、花束を描いた絵画はますます多くなっていきました。シャガールの妻への愛、さらに、女性への愛が普遍化し、花束と恋人たちをモチーフにした作品がよく描かれるようになるのです。
シャガールの生涯とも交差する「妻への愛」「女性への愛」さらにすべてを包み込む「人間愛」といったシャガールの「愛」の世界をどうぞご堪能ください。
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