勉強嫌いの小学生の宿題、食欲旺盛なおねえちゃんのダイエット。自民党の憲法改正と同じく「やるやる」と言いながらやらないことだ。
そんな小学生になぜやらないんだ、と詰めると
「学業というものは小学生とはいえども、学生の本分でございまして、いわば、これをやるために帰宅したと言っても過言ではないわけであります。これはいつも叱咤激励をいただく学校の先生、いつも気にかけてくれているお母さんとの約束でもあります。必ず、やり遂げてみせる、本日中、いや、本日の21時までにはきちっとやり遂げるという覚悟をお示しし、ここにお約束する次第であります」
などという舐めた返答ならぶん殴ったほうがいいが、この「やるやる詐欺」の亜種もいろいろあって「死ぬ死ぬ詐欺」「辞める辞める詐欺」「閉店します詐欺」などがある。気を付けたい。
この記事にある「ツバル」のは珍しい類で「沈む沈む詐欺」だ。
この島国は京都議定書のころから温暖化のシンボルみたいに扱われてきた。海抜は4.6メートル。このまま地球が温暖化すれば先ず、ツバルが地球上からなくなってしまう、として環境保護団体やら怪しげな活動家も大きな声でやっていた。
天然資源がないツバルの主な産業は漁業と観光。ンじゃ、なくなる前に行ってみよう、ということで観光客も増加。金が落ちるなら定住者も増えて、いまは中国や韓国製のバイクが走り回っている。日本からのODAも毎年毎年1億円~15億円。令和になってからも億単位で金を出している。
そんなツバルだが、しばらく名前を聞かないと思っていたら、2018年には面積が大きくなっていたらしい。よかったじゃないかということだが、コロナで観光業もしんどいのか、なにかの味を占めたのか、外務大臣が嬉しそうな顔で海でふざけている。楽しそうでなによりだが「私たちは気候変動と海面上昇の現実の中で生きています 」とネタが古いのが気になる。元々、面白くもないが、まだやってるのか、と呆れるほかない。
ツバルの歴史も古いが、とりあえず、日本が真珠湾を攻撃したときにはイギリス領で沈んではいなかった。日本海軍は真珠湾を攻撃した後、いまのキリバス、ギルバート諸島を占領する。そのまま日本軍航空部隊はマーシャル諸島に展開。ウェーク島の戦いではそこから支援爆撃も行っている。
対して米軍は1942年、1088名の海兵隊をフナフティ環礁に上陸させると、数週間で1500メートルの滑走路を敷く。このときフォンガファレ島 のあちこちで大量の砂を掘り出して使うわけだ。すると地下水脈が切断されて井戸水が出なくなり、その採掘穴は海と繋がり満潮時には海水が噴き出す。海岸が侵食されるのは当たり前のことだった。ODAはアメリカからもらってほしい。
これはいまでも問題らしく、建築物を木材ではなく、コンクリートを使用するようになると、また砂浜を掘り返す。砂浜がなくなると剝き出しの海岸がどんどん侵食される。南の島に行くと「白い砂浜」のイメージだが、これは岩石の風化した「砂」ではなく、有孔虫の殻でできている。いわゆる「星の砂」がそうだが、ここに人口が増えて生活排水が流れ込むと、フナフティ環礁から有孔虫がいなくなる。美しい砂浜は消えてしまう。
だから東大の研究チームがフナフティ環礁を調査して「海面上昇よりもむしろ、人間の活動による環境汚染こそが問題 」と警告もした。このままでは海面が上昇して、ではなく、海岸が侵食して島がなくなる。サンゴ礁の島なら毎年、サンゴが成長して上に砂が堆積 してでかくなる。これを妨げているのは温暖化ではない、という警句だ。
沈む沈むで有名になった2002年のツバル。その頃、ひとりあたりの名目GDPは2620ドルだったが、日本などの各国の経済援助から、温暖化ブームで2019年には5106ドル。195ヶ国中、堂々の98位にまでなった。沈むどころかエジプトやインド、フィリピンより「浮上」している。
ツバルの外相は国連の環境イベントの際、ニューヨークで「気候変動のような大きな問題は、楽しく、かっこよく、セクシーであるべきだ 」と演説して浮き上がったレジ袋や、泣きながら中国以外の国の悪口を言って浮き上がるグレタをみて、いかにいま、自分が「浮いているか」を自覚してほしい。