忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

「全てのものの鍵は忍耐である」~エレン・グラスゴー~

2021年11月08日 | 忘憂之物


アメリカの総人口が2億人を超え始める1960年代後半。3000キロに及ぶアメリカとメキシコの国境では毎晩千人以上の密入国者が国境警備隊に逮捕され、その倍以上の密入国者が赤外線スコープを逃れてアメリカ国内に入り込んでいた。

密入国してくる移民らはアメリカの国境警備隊を恐れていない。多くは捕まっても暴力は受けないし、侮辱されることもない。だから何度も何度も成功するまでやる。稼いだら戻ってまたやるのもいる。怖いのは送り返されたときのメキシコの官憲だ。自国に戻されたら殴られて、金品を所持していれば先ず取り上げられる。だからアメリカの国境警備隊は捕まえたら(密入国は)はじめてか?と尋ねて、そうだとわかれば「ポケットに金を入れておけ」とアドバイスする。隠すなと。下手すれば「再チャレンジ」ができない体にされる。

そうやって密入国してきたヒスパニックの出生率は、さすがのアフリカ勢には及ばないものの、それでも常に3%を超える水準だ。2010年には5000万人を突破。黒人を抜いてアメリカ最大のマイノリティになり、いまは政治家も経済界も無視できない人数となってしばらく経つ。

それがバイデン政権の2021年になると「子供だけ」で密入国してくるのが前年比の9倍になる。毎日300人の子供が放り込まれてくる。それは文字通り、高さ4メートルの壁から放り込まれても来る。その場で足を折って国境警備隊に見つかればまだ幸いだが、運悪くそのまま徒歩で移動してしまう子もいる。ソノラ砂漠にはサボテンだけではなくコヨーテもヒメコンドルもいる。小さな子供だけでうろうろしてよい環境ではない。

着替えもない劣悪な環境で収容率100倍以上の子供が放り込まれている画像もあった。こういう本当の人権侵害に対しては日本と同じく、普段、何かと優しい人権派の政治家や弁護士なども静かなもので、代わりに偏狭で野蛮なはずの「保守系の議員」などが声を上げることになっているのも同じだ。中国共産党のジェノサイドをして北京五輪反対を言わず、東京五輪にだけは詰まらぬことでも「開催国としての資質を問う」みたいなのが湧いて出るのと同じ構図がある。


ともかく―――トランプが壁をつくる、と言い出すずいぶん前になる1986年にアメリカは移民法の改正案を成立させた。基本、というか建前の「移民の自由」は規則に基づく「禁止」によって制限されることになった。ある意味では、当然の帰結だったが、それで移民問題が解決するわけでもない。

相変わらず麻薬を売りたい、買いたいのはいるし、人身売買で稼ぐ連中も跋扈していた。だからトランプは壁を作り、出入国を厳しく管理するために緊急事態宣言を発出したが、バイデンが就任するとすぐに解除した。理由は「不当だから」。


トランプがフロリダに戻ると、すぐに不法入国者の滞在を認める「DACA」の強化、不法入国者が市民権を獲得する期間の短縮などを次々に行う。バイデン政権は不法移民を増やしたくてしょうがない、とわかる。そして入ってきた不法移民は戻ってほしくないから、その翌年、2021年1月には強制送還の凍結を言い出した。

すると怒ったテキサス州から訴訟を起こされてバイデン政権は負ける。同年8月にはバイデンが撤回した移民保護プロトコル、通称「メキシコ待機政策」の撤回における手続き上に連邦法違反の可能性がある、とする判決を米連邦最高裁が出した。

難民申請している期間はメキシコでマテ、というトランプ政権時の政策が復活した格好だが、つまり、バイデン政権は不法入国者であろうが、アメリカに来さえすれば「一斉釈放」とも受け取れるアナウンスをしていた。当たり前だが、米国民の過半以上が反対し、バイデン政権の支持率がべたべたに下がる要因のひとつになるが、なぜにこのような無茶をするのか、と普通のアメリカ人は訝しんだ。とても、ボケてる、だけじゃ済まない被害だ。


翻って日本。日本には陸地に国境がないから、まだ不法移民が雪崩をうって来ているわけではないが、代わりに「外国人労働者」やら「外国人留学生」の受け入れに熱心な政党や政治家、団体や組織などはたくさんある。どころか公党にすら帰化したかどうか怪しげな議員もいる。帰化はしてるが「帰化前」の祖国のために活動しているとしか思えない議員もいる。

べつに祖国が内戦しているとかでもない多くの外国人が日本に来て、医療保険や生活保護まで各種サービスを差別なく受け、その上、税金払ってんだろ、として参政権まで寄こせ、と公然と発している。それを支持します、実現させます、を党の政策に挙げている公党も存在する。そしてそれら外国勢力と呼んで差し支えない団体組織から金をもらい、あるいは政党の公金を回して活動させていると周知される政治家が落選もしない。

とっくに危ない時期は過ぎている。そもそも移民国家と言われるアメリカ、例えばカナダ、オーストラリアでもいいが、移民を受け入れて成功していると思しき国家があるのか。

日本国内にいる立派な社長、そこらの御仁ですら「日本には労働力が必要」として、低賃金で懸命に働くとされる「アジアの若者」を推奨する。ハングリー精神がどうした、グローバルな視点がこうしたと、安物の反日ペーパーの受け売りを恥ずかしげもなく並べる。

これら御仁らは要するにこう言っている。

日本人の若者は低賃金で働かない、軟弱で能がないのに文句も多いし、わがままで生意気で使えない、比してアジアからくる若者は祖国が貧しいから、日本で稼げばひと財産作れる。だから真面目に働くし、モチベーションも高く、感謝も忘れず健気なもんだと。

そして「最低賃金」を1500円に、という政治家が出てくる。それなら日本の若者は就職の際、ホワイトなエリートしか生き残れない。大学を出ても就職率が6割以下とか、韓国や中国みたいになる。また、その1500円の最低賃金は日本人に回ってこないし、そもそもがそんなに出す企業は多くない。それなら出番は不法に働く外国人労働者になる。

つまり、奴隷だ。奴隷を欲している。日本も少子高齢化で労働人口が減り、金のある高齢者は外国人奴隷の労働力で贅沢な暮らしを維持する。それで潤う経済界、ナニ人であろうが票をくれるなら喜ぶ政治家、人口侵略を含む超限戦を進めたい敵性国家、自分にしか興味がない日本の高齢者、見事に利害が一致する。日本人の子や孫の世代は地獄に落とされる。

日本の少し先の未来はアメリカにある。カナダにある。オーストラリアにある。自国内に母国語が通じない地域がある、というのは異常事態であるという認識すらなくなった。ちょっと文句を言えば差別だと責められるから、同調圧力よろしく、言論にもマスク着用してなければならない。環境問題やらLGBTの「ワクチン」も効果が出てきた。

10年以上、毎日テレビでオカマばかり見せられて、日本人も免疫ができて何も感じなくなった。だから日教組は堂々とニューハーフを臨時講師として教室に送り込み、性別は自分で決めてよい、とまだ物事の判断もつかぬ小学校低学年に刷り込んだ。

普通に便利に生活しているだけのことを「環境に悪いのかな」と罪悪感を抱き、薄汚い変態親父がセーラー服を着て歩いても「これが本当の自分」とすれば認めなければならない。売るほうも買うほうも面倒なだけのレジ袋有料化も、庶民の暮らしなど知る由もない阿呆ボンが「国民に意識を持たせるため」とか真上からやっている。今度はフォークだスプーンだと朧気ながら言い始めた阿呆ボンだったが、さすがに環境大臣を外されて泣いていた。

いずれにせよ、これらに対しては疑問すら抱いてはいけない。疑念すら生じてはダメだ。質問も肯定的なものでなければ受け付けない。すべからくそれらは「有害な情報」として排除されてよいことになった。ふた昔前は冗談の類だったが、本当に恐ろしい時代が到来した。


そして、ここに「移民」が加わる。半島や大陸でなにかあったら、いちばん近い安全で快適な外国はここしかない。差別反対、人権主義、経済力もあって人道的に扱ってくれる国だ。来ない理由がない。

「鎖国」という言葉にはネガティブなイメージが塗り込められたが、べつに「鎖国」とは徳川幕府のオリジナルでもなんでもなく、時期は違えど、明王朝や李氏朝鮮、他の東アジアの国々もやっていた。

幕末に造られた言葉、いわゆる「鎖国」とは徳川時代の「寛永の禁令」のことであり、多くの東アジアの国が行っていた海禁政策である。つまるところ、侵略を包含する諸外国からの干渉に対する防衛手段に他ならない。


卑近な例えで恐縮だが、家の玄関と同じく、出入りするのは家人か、招かれた客くらいなもので、勝手に出入りすれば知り合いでも咎められるのが常識だ。これを「息子も娘も家の手伝いをしない」として、お隣やそのお隣、さらには三軒隣のアジア人に手伝わせてモノがなくなり、モノが壊され、箪笥から何万円か抜かれているようなものだ。いまは「へそくり」程度で済んでいるかもしれないが、いずれは通帳ごとやられて、あちらの家族ごと移り住み、自分の息子や娘が殴られたり襲われたりする。

そうなれば「帰ってくれ」は通じない。「イヤならお前が出ていけ」と凄まれる。遅きに失するのだ。

玄関に鍵をかけてインターホンが鳴る。どちら様ですか、はせめて必要だ。それでなくとも朝日新聞の勧誘やNHKの集金人のくせに名乗らず「いま、お時間ありますか?少しお話がありまして」などと不気味なのもいる。京都にいるとき「産経新聞です」と言うからドアを開けると朝日新聞だったことがあった。もう、わけがわからない。我が家は産経を購読しているから無警戒だったわけだが、出てきたのが私だったから相手も気の毒ではあった。



ともかく、だ。

道を違えたらいけない。本筋を見失ったらいけない。日本人の若者がどうかと憂うならば、安易に外国の若者や労働者に頼らず、先ずは日本人の若者を育成する、教育を見直すというのが正道である。日本人の大人、親や教師、政治家や経営者はその役割を担っているはずだ。

外国人は低賃金で好きに使えるから、などと考えるならば、すでにその根性が腐っていると自覚すべきだ。その弊害はいずれ、自分と自分の大切な人らに降りかかる。徳川時代まで遡らずとも、面倒臭いことから逃げ、厄介ごとを避け、責任を取らず、目先の金の損得に眩まされると碌なことがないのも自明だ。


トランプは国境に海がないから壁を作った。日本は海に囲まれてはいるが、しっかりと玄関にセキュリティロックを施し、きちんと自国内を整えることが肝要だ。問題は足元にこそある。



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