おもい出し日記

誰もが手の届く自然素材と省エネの家

家をつくるとき、価格や自然素材、消費エネルギーの比較だけでつくることはありません。

その他にも耐震性やデザイン、自然エネルギー、維持管理、他にもいろいろあります。
空間的なつながりも大事なところですが、これから建てられる方の一番の興味は家の間取り(プラン)になるでしょうか。

ここで、あえて「誰もが手の届く」「自然素材」「省エネ」の3つ伊藤工設計で出しているのには理由があります。

この3つだけを考えるものではないのですが…。
今の家づくりは、いずれか一つを大きく捉えた偏った家づくりがおこなわれているように感じます。


低価格重視
低価格をメインに売り出しているビルダーさんがおられます。

無駄をなくし規格化された間取りは、空間的なつながりや外部とのつながりは最初から存在しません。かぎられた敷地の中で出来るだけ部屋数を確保し、返済しやすい家、買いやすい家を最優先させているとしか言いようがありません。

建物は法的にクリアしているかもしれませんが…。
ここには住空間や暮らしの楽しみ、省エネの考えは最初からないようです。

暮らす家ではなく、泊まる家といってもいいのではないでしょうか…。


自然素材重視
「アウトドアは大好きだし、その延長で暮らすことが出来る家に住みたい!」「木の家に住みたい!」「薪ストーブを楽しみたい!」とあこがれをイメージさせる家づくりもあります。

庭の緑があり室内も木が見えて、すごく落ち着きます。部屋の空間と、薪ストーブを楽しむ時の空間は私もあこがれますが…。

自然素材系で問題なのは…。
何でも自然がいいと思っているところにあります。

断熱材も自然、気密は考えなくていい、むしろ隙間があった方がいい、夏暑く、冬寒いのは多少仕方がない、それが体にいい…自然なのだといいます。

一般の方には知られていないだけで「自然素材」=「エコ住宅」・「体にいい家」ではないのです。

自然素材の家はエコ住宅とは言えないと専門家の方に言われて久しいですが、気密確保は必要ない、高性能な窓はいらない、環境にも負荷をかけているのです。

これから自然素材系ビルダーも高気密・高断熱の自然素材と変わるでしょう。
気密・断熱にお金を掛ける分、価格があがり、予算に余裕がある方しか建てられなくなり、一般の方からは手の届きにくい家に変わっていきます。

高気密高断熱重視
レベルの高い高気密高断熱住宅をつくっているところも最近多くなってきました。
Q1住宅以上だ!G2レベルを余裕でクリアしている…。

健康で快適になるのはいいことですが…。
高レベルになるほど価格が上がっていき誰でも建てられる家からは遠ざかっていきます。

住空間はどうか!
全体的に無機質な家が多いように思います。
空間自体も楽しくない、マンションに入っているような空間が多いように見受けられます。

木などの自然素材を利用すると家自体が軟らかくなるのですが…。
高気密高断熱に取り組んでいるビルダー(つくり手)は自然素材は扱いにくい、ということで苦手な方が多く、空間・仕上げが貧弱になってしまうのです。

誰もが手の届く自然素材と省エネの家
ビルダー(つくり手)は「売り上げをあげる家」ではなく、地域に合った「誰もが手の届く家」を提供しなければなりません。



価格や自然素材、高気密高断熱の「ことば」を売り物にし、家をつくることではありません。

家づくりは建てる方の予算に対し、50~60年のスパンで住まい手の安全と快適のベストバランスを提供することだと思います。

私がつくった地域型住宅(gb・un)は誰もが建てられる最低のレベルです。
最高ではなく最低のレベルです。

せめてこのレベル・考えで建ててほしいのです。

1.木の家はみやぎ材を中心で建てる。
2.耐震性は耐震3レベルで検討する。
3.UA値(外皮熱貫流率)0.40が基準。
4.冬は太陽のエネルギーをいただく。
5.しっかりと気密と断熱を確保する。
6.10・20年後を見据えてプランする。
7.家は一つの部屋である。
8.変わった形にしない。
9.50年後の光熱費の差額を確認する。
10.何事もシンプル!



これが基本的な誰もが手の届く自然素材と省エネの家の考えです。
予算が余ればグレードを上げていけばいいのです。

将来を見据えプランをつくり、空間を楽しめる居心地のいい家を建て主様ご自身がまずイメージを膨らませていただければと思います。
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