銀うさぎの庭(お人形日記)

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「カスピアン王子の角笛」

2008-07-11 | テレビ等の感想

映画「ナルニア国物語/第二章:カスピアン王子の角笛」の感想です。
以下、
若干のネタばれを含みます。
原作未読の方、映画をご覧になられてない方は、ご注意下さいませ。


まず、第一印象。
1.風景がとにかくきれい! 地球上にはまだこんなに美しい場所があるのですね……。
2. ファンタジーというより、戦争アクション映画だ!!
3. 乗馬シーンが素晴らしい!
4. ペベンシー四兄弟は相変わらずぴったりのはまり役です!

C・S・ルイスの児童文学を映画化した「ナルニア国物語」シリーズの第二章。
前作「ライオンと魔女」では、ペベンシー四兄弟が全能なる王アスランと共に、長きにわたってナルニアを支配し続けた残酷な『氷の魔女』を倒し、幸福に充ち溢れた真の魔法の王国ナルニアを取り戻し、ケア・パラベルの玉座についてナルニアを治めた、という物語が描かれていました。

さて、ペベンシー四兄弟がナルニアから二十世紀のロンドンという現実世界に戻って一年。
しかしナルニアでは、兄弟の治めた黄金時代から1300年の歳月が流れていたのです。
アスランに祝福され、全てが幸福に包まれていた美しい魔法の国は、戦闘民族テルマール人に征服され、今や存在しません。
人間に迫害され生き残ったナルニアの民達は森に身を潜め、ひっそりと暮らすしかすべがありませんでした。

一方、テルマールの王宮では、亡き王の弟ミラースが、己の子に王位を譲るべく、王位継承者カスピアン王子の暗殺を企てます。
カスピアン王子は、ドワーフの血を引く家庭教師コルネリウス博士から、伝説の生き物の物語を聞いて成長していました。
『伝説の四人の王』を呼び戻すと言われる魔法の角笛を手に城から逃亡したカスピアン王子は、森の奥深くでナルニアの民と出会います。

一方、角笛の音に導かれて駅のプラットフォームから突如ナルニアに戻ったペベンシー四兄弟。
暴君ミラースに支配されたナルニアを目にした彼らは、かつての美しいナルニアを取り戻すべく、カスピアン王子、そして生き残ったナルニアの民と共にテルマール軍と戦う決意をします。



壮大な美しい自然を背景に物語は進行します。この素晴らしい自然を見ておりますと、そこに本当にナルニアの国があるような気さえしてきます。
ただ残念ことに、原作の持つ宗教的な雰囲気はほとんど感じられず、最初から最後まで戦争アクション映画と化してしまっています。

原作ではアスランの元にみんなを導くルーシーの姿が『光の聖女ルチア』の如く描かれていましたが、映画ではその場面はほぼカットされています。
アスランの姿を見ることのできない他の兄弟とカスピアン王子を連れて必死にアスランの後を追うルーシーの姿は非常にキリスト教的で好きな場面でしたので、今回のカットは寂しい限りです。

逆に、戦闘シーンはある意味良く描かれていて、戦争の残酷さ、愚かさ、テルマール人達の欲にかられた心の醜さなど、これでもか、というほど克明に描写されています。
悲しい別れの場面もあります。
小さいお子さんも映画館に来てましたが、怖くなかったかしら…と心配になってしまいました。
私の個人的な意見ですが、あまり小さいお子さんには見せたくない映画です。戦争の愚かさを学ぶには良い映画だと思いますが…。

ちょっと気になる点ばかり書き連ねてしまいましたが、アクション映画としてみると見どころの多い映画だと思います。
渦巻く陰謀、見事な乗馬シーンと手に汗握る戦闘シーン。いざ勝利、と思えば急転直下の大ピンチ。終始息をつかせぬ波瀾万丈の展開の連続です。
中世的な雰囲気の好きな方には衣装・小道具・セットの素晴らしさも見所の一つになると思います。

(ちょこっと反転)

ラストの一の王ピーターとミラースの決闘は最大の見所の一つではないでしょうか。
同じくラストの、テルマール人がナルニアを侵略すべく川にかけた巨大な橋を、アスランの強大な魔法が破壊していく様は圧巻です。
まあ、『こんなに圧倒的な魔力があるなら、もっと早く助けにきてよ、アスラン……』とぼやきたくなるシーンでもありますが。


原作ファンからしますとやや『??』のところもありますが、原作や前作を知らなくても十分楽しめる作品だと思います。
次回作は、「ナルニア国物語/第3章:朝びらき丸 東の海へ」が予定されているようですね。
私はナルニアシリーズの中で初めて読んだのが「馬と少年」で、この作品が一番のお気に入りですので、ぜひ「馬と少年」も映画化してほしいです。


*画像はエクセリーナです



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