約束
ある貧相な身なりの少女が、陶器でできたビンの次片を持って路上で泣いでいました。そこに、1人の貧乏学者が通りかかります。
学者が泣いている理由を尋ねると、大家さんからビンを借りて、病気の親のために牛乳を買いに行くところで、ビンを落としてしまったといいます。
『このままじゃ、大家さんに叱られてしまう……』
泣きながら話す少女を、学者は何とか助けてあげたいと思います。
しかし、財布の中を見ても持ち合わせはありません。
そこで、彼は翌日にお金を持ってきてあげることを約束し、とりあえず少女と別れました。
ところが、ら翌日脱ぐ友人から連絡が入りました。
その内容は、"君の研究を支援してくれる富豪が見つかった。
午後には家にいるからというから、すぐに来てくれ"というもの貧乏学生に
とって、とてもありがたい申し出です。
しかし、学者の友人に対する返答は意外なものでした。
『私は今日、大切な約束があるんだ。本当に申し訳ないが、またの日にお願いできないだろうか』
学者にとって大切なことは、自分の支援者に会うことでなく、少女との約束を果たすことでした。
富豪は、自分に会いにこなかった学者に対し激怒しますが、真実を知った後は、学者に対する信頼を深め、支援をおしまなかつたそうです。