親依存の30歳女性が「自分は貧困」と思うワケ
部屋の中はキャラグッズだらけだが・・・
この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。今回紹介するのは、適応障害とうつを抱える、東京都に住む30歳の独身女性だ。
「私、とにかく不安なんです! すごく貧困です!!」
女子小学生のようなフェアリー系の服装で身を固める本多梨美さん(30歳、仮名)は、顔を合わせるなりそう訴える。
「不安で不安で、仕方ない。本当にささいなことで悩んじゃって、この前、お母さんが“風邪をひいた”ってなった。そこから悪い病気じゃないかとか、親がこのまま死んじゃったら、もう生きていけないとか。深く考えちゃって。私ひとりでは自立できないから、妹に迷惑がかかっちゃう。だったら死んじゃったほうがいいみたいな。毎日毎日、そうやって悩んで頭がおかしくなっています」
東京郊外の繁華街、平日昼間からとにかくたくさんの人がいる。異常に目立つ彼女のことは、すぐにわかった。外見は年齢相応だが、女子小学生に人気の月刊誌「ちゃお」から出てきたような服装。リュックはうさぎのぬいぐるみ。デコレーションされたカバンの中は、キャラクターグッズだらけだ。
「27歳のときに適応障害で仕事を辞めてから、どうしても働けなくてずっと実家にパラサイト。数万円の退職金と、その後、ハローワークでもらえるおカネ(雇用保険)が切れてから、親が全部面倒みてくれる感じです。そんな状態なのに買い物しちゃって、我慢できないで服とかネットでポチッちゃった。支払いもできないのに、どうしようどうしようってパニックになって。お母さんにバレて怒られた。請求された7万円は、結局、親が払ってくれました。もう自己嫌悪です」
経済的な窮状を語る。10代半ばから適応障害とうつを抱え、新卒で就職したドラッグストアの非正規職は4年間継続したが、上司にしかられて出勤ができなくなった。それから何度バイトしても1週間以上続かず、30歳になってしまう。この3年間は、年収10万円を切る。
適応障害とは学校や職場などの特定の状況が、とても耐え難く感じられて、気分や行動がおかしくなる障害だ。過剰過敏に反応してしまってストレスとなり、そこから離れないと治らない。社会に出て働くことが困難な障害だ。
部屋はキャラグッズだらけ
「働かない娘の面倒をみてくれて、買い物代を払ってくれる実家のある梨美さんは、貧困って言わないですよ。恵まれた家庭って言うの」
私はそう言った。iPhone 6 Plusもお母さんに買ってもらって、月額料金はすべて親が支払っているという。喫茶店に入る。「自分の部屋はキャラグッズだらけ。もう、幼稚園の頃からなんの成長もない」みたいな話をしているとき、携帯電話が鳴る。取材中だ。切ろうと思ったが、本連載「シャケを万引きした35歳主婦が抱える苦悩」に登場した鈴木百合さん(35歳、仮名)からだった。