5000円払って、彼女の1時間を買った話。

大学生のころ、俺はずいぶんとくだらない生活を送っていたと思う。
仮にも誰かに「学生時代、何して過ごしてた?」と聞かれたら、
俺は「スマホゲーム」とでも答えていたかもしれない。
そんな俺に友達と呼べる相手もいるはずもなく、
一人暮らしは仕送りとアルバイトで生計を立てていた。
学校では比較的まじめに授業を聞いて、家にかえったら迷わずパソコンを開いていたな。
要するに、俺はつまらない人間だったんだ。
自分でもそれはよく分かっていた。俺はこのまま死んでいくんだろうなって。
だけど、そんな男の人生にも、面白い出来事のひとつくらいはあるもんだ。
そうだな。レンタル彼女、とやらを聞いたことある人はどれくらいいるだろうか。
あれは、たしか夏休み前のことだったな。
俺はその日かなりまいっていたんだ。理由は単純だった。
「悪い。講義ノート貸してくれよ」なんて、
昼休みに軽々しく言ってきた同じ学部の男が原因だったんだ。
俺は、喋ったこともなかったソイツにしぶしぶノートを渡したんだが、
あろうことか返ってきたノートは数ページほど抜け落ちていたわけだ。
大きくため息を吐いて「まいったな」と俺は言った。
やっぱり、お互いのことを知らないという状況は、どうにもまずかったらしい。
教室を出る前に友人たちとゲラゲラ笑うソイツを眺めて、俺はもういちど息を吐いた。 帰り道、俺は気分の晴らし方について考えていた。
都合のいいことにアルバイトの給料も入ったばかりだった。
お金に関しては問題ない。あとは使い方次第だ。
カラオケにしろ、映画にしろ、ゲームにしろ、
一人で遊ぶことはいくらでもできる。
だけど、その日の俺は「もっと違うことがしたい」と思っていた。
学生生活の限られた夏休みがもうすぐそこまで迫っている。
俺は誰かに後ろから追いかけられるように、なにかに駆られていたんだろうな。
今までしてこなかったことをしたいと、そう思ったんだ。 帰り道、俺は気分の晴らし方について考えていた。
都合のいいことにアルバイトの給料も入ったばかりだった。
お金に関しては問題ない。あとは使い方次第だ。
カラオケにしろ、映画にしろ、ゲームにしろ、
一人で遊ぶことはいくらでもできる。
だけど、その日の俺は「もっと違うことがしたい」と思っていた。
学生生活の限られた夏休みがもうすぐそこまで迫っている。
俺は誰かに後ろから追いかけられるように、なにかに駆られていたんだろうな。
今までしてこなかったことをしたいと、そう思ったんだ。