【平成の事件】19人殺害の植松被告
接見19回と手紙34通から見えたゆがんだ正義と心の闇
「事件を起こしたことは、今でも間違っていなかったと思います。
意思疎通のできない重度障害者は人の幸せを奪い、不幸をばらまく存在。
絶対に安楽死させなければいけない」
さも常識であるかのような口ぶりで、彼は笑みを浮かべながらこうも言い放つ。
「私が殺したのは人ではありません。心失者です」
「心失者」(しんしつしゃ)―。この耳慣れない言葉は植松被告の造語だ。
事件を象徴するキーワードと言っていい。
日を改めて、語源についても尋ねた。記者にとっては大きな関心事だった。
彼は「恥ずかしいんですが…」と口ごもりながら、
人気ロールプレーイングゲーム「キングダムハーツ」に登場する
敵キャラクター「ハートレス」に由来することを明かした。
心が闇に完全に支配された漆黒の怪物だ。
「ハートがレス。つまり、心がない。
心がなかったら倒していい存在なんだ、と」。
あまりの短絡さに拍子抜けしつつも、言い知れぬ不気味さを覚えた。