団塊世代のごまめの歯ぎしり

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

諏訪内晶子演奏会

2022-12-25 10:48:34 | 音楽

諏訪内晶子演奏会

2022年12月25日(日)

 

 2018年11月16日、広島交響楽団の演奏会へ行って参りました。どうしても行かねばならない演奏会だったんです。一回聴き逃したことがあったので。

 

 このところ、忘れたりすることが多かったので、朝から何度もチケットを確認しました。(笑)

 

 電停から徒歩約10分。途中橋があり、橋の真ん中で北方向を写しました。一休さんの気分を味わいつつ。

 

 広島文化学園HBGホールです。旧厚生年金会館でありました。

 

 道路を挟んで南側にアステールプラザという広島市の施設があり、ホールもあります。過日のことですが、施設のスタッフに「直ぐ近くに同じようなホールがあるって無駄でしょ!」と言ったところ、かのスタッフは「必要です。」と宣われました。質問を変え、HBGホールが広島市の施設だったら、アステールプラザを造ったと思いますか?と尋ねました。かのスタッフ「造らないでしょうね」。 国、自治体間の二重行政の弊害であります。

 

 

 

 何時もは、当日券売り場の窓口が開いているのですが、本日ありません。入口に事務局長がいたので尋ねたところ、完売ということでした。多くの人が、すわっと馳せ参じたのでありますな。

 

 意外とCD売り場が繁盛していませんでした。早かったからかも・・。

 

 

 私が座った席です。3列38番。

 

 諏訪内晶子が、そのスレンダーな肢体に群青色に近い青のドレスをまとって出てきました。そのドレスにはビーズが散りばめられていて輝かしい光を放っているのであります。

 今日の曲目に、赤や黄色系は似合いません。諏訪内のsenseが光っています。

 

 1990年史上最年少でチャイコンクール優勝という衝撃の偉業を成し遂げた諏訪内も46歳となりました。普通なら随分と歳をとったなということになるのかも知れませんが、私なんかからしたら、まだひよっこ同然であります。その美貌もいささかも衰えを知りません。「ひよっこ」と「美貌」はちょっと結ぶ付きませんけど・・。(笑)

 

 

 

 

 明るさと哀愁感が微妙にマッチングしたメロディが弦のユニゾンで始まります。(注 全楽器の「ユニゾン」かどうか確証がありません。)それは、私の心臓を包み込むようであります。私事で恐縮ですが、私は狭心症で心臓を締め付けられる発作を幾度も経験していますが、狭心症の方は痛みで、ブラームスの方は解放(介抱)なのであります。

 比較的長めの序奏が終わり、諏訪内のフォルテッシモのアタックが弾けました。音に揺らぎが無い! それは弱音でも同じです。ピタッとした精緻な弓使いというのでしょうか。

 諏訪内の操るストラディヴァリ「ドルフィン」の凄いこと! 私の席は前から3列目ですので、良く聴こえて当たり前ですが、恐らく多分ホールの隅々まで鳴り響いていたことでしょう。オケの方が完全に負けていましたね。それでも、弦セクションは何時もより増強していたんですよ。音色的には、優雅というより無骨に感じましたが、ブラームスにはこの方が似合っています。

 それより何より、諏訪内の超絶技法に耳のみならず目を疑いました。(笑)ビブラートの指使いは、まるで映像を早送りで見ているようでした。小指だけ、超高速で動かすんです。私も帰る道すがら真似してみましたけど、小指を動かそうとすると薬指と中指まで動いてしまいます。百年経っても真似すらできないでしょうね。(笑)

 AIロボットが近いうち独奏者として現れ、技巧的には人間を凌駕するかも知れません。しかし、「美」を生み出すことができるのか? 諏訪内のしなやかな肢体の動き、筋肉質で締まった二の腕三の腕の動きは、見方によればその正確さゆえロボットアームに見えるかもしれません。しかし人間の動きは、顔、身体、腕、指と全て有機的一体感があるのであります。諏訪内が弓を弦に微妙に当てて奏で瞬間に見せる恍惚とした表情に魅せられ、私は美を感じるのであります。

 

 4番が始まりました。2楽章の冒頭管が目立ち過ぎかなという部分はありましたが、楽器全体のバランスがよくとれている演奏と思いました。えっ!と関心したのは、3楽章のフルートです。絶妙のバランスでオケに融け込んでいました。演奏が終わり、最近では多くのセクションの奏者を立たせるのですが、本日はフルートの中村めぐみさんだけでした。

 中村めぐみさんと言えば、昨年、下蒲刈島での演奏会で聴きました。

 

 同じフルートの高木綾子さんとのデュオコンサートでした。高木さんというと日本の第一人者と思いますが、当日は調子が余り優れなかったのか、中村さんの方が精彩があったような気がしました。広響も凄い奏者を持っているものであります。

 

 第4楽章は、ちと変わった雰囲気を感じました。それまでの楽章と違い演奏者には難しい場面が多かったのではないかと思います。ブラームスの管弦楽はマーラーのような派手さは勿論ありませんし、ブルックナーに較べてもシンバルがなく、地味(渋い)です。でも濃密さでは引けを取りません。圧倒的スケール感のエンディングは波紋として長く残るんです。

 

 第一ヴァイオリン14人、第二12人、ヴィオラ10人、チェロ8人、コントラバス7人。何時もよりか5人程度の増強と思います。

 

 順番が逆になりましたが、諏訪内のアンコールです。何かの変奏のようでありました。これも勿論超絶技巧で、ただただ茫然と聞くのみという感じでした。ただ、今回の演奏会で惜しむらくは、あまりピアニッシモがなかったということです。諏訪内の緊張感のあるピアニッシモを聴いて見てみたかったです。

 

 実は、もう5年位前になりますが、一度諏訪内の演奏を聴き逃したことがあります。チケットはpartnerも含めて買っていたのですが、直前の夫婦喧嘩で聞く気分になれず、人に譲ったことがあります。ということで、私が死ぬまでに諏訪内が広島にまた来ることを願って、次回はpartnerと一緒に行きたいと思います。

 

 最後に、今回の演奏会ですが、何と4,560円也!で聞く事ができたんです。A席だったんですが、私にとってはSS席も同然でした。何せ諏訪内が私の方を向いて私のために演奏しているのではないかと見まがうようなポジションだったからなんです。

 翌朝、楽友に演奏の感想をメイルしました。レスに「諏訪内はちょうど私の方を向いて演奏していた。」とありました。何~だ、誰もそのように思うんだ。(ハハハッ)

 

 何は兎も角、記憶に残る演奏会でありました。ブラーヴォ!! 

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿