僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

「サディスト」

2020年06月06日 | 日記
草取りをしました。

ちょっと気を抜くとジャングルと化す、このお寺。
あ~いやだ、いやだ。

できれば都会のお寺に住みたい。
叶うことのない夢。

おしゃれな本堂。
計算されて作られた庫裏。

住んでいるお坊さんも洗練されている。
一度でいいから、そんな生活がしてみたい。

そんな妄想を抱きながら草取りをしていました。

普段はズボラな僕。
急に草取りをしても、そんなに長続きはしません。

10分ほどでおしまい。
あ~疲れた。

立ち上がろうとすると、腰が痛くて立てません。
ようやく立ち上がると、今度は腰が伸びない。

身体が「く」の字になって、元に戻らなくなりました。

「腰が痛い・・・」
良いことをしたのに罰が当たるなんて。

玄関の前の家内が私の姿を見るなり言いました。

「あなた、何をしてるの。
 体中、蚊に刺されているじゃないの。

 あ~あ、はげ頭が蚊に刺されて真っ赤になってる」

ちょっと待ってて、と言い残して、
家内が家の中に入っていきました。

「頭をこっちに向けて」
手にはなぜだかスプレー缶を持っていました。

私は言われるままに頭を家内に向けました。

その瞬間、「シュー」という音とともに、
虫よけスプレーが頭に降り注ぎました。

「ゲホッ!」
私は息ができませんでした。

胸が苦しくなり、毒を吸い込んだ嫌悪感でいっぱいになりました。

「何をするの。
 はげ頭がひりひりするじゃないか」

文句を言う私をじっと見ていた母ちゃんが、
「やっぱりはげ頭には効果絶大ね」だって。

「ただでさえ、人より蚊に刺される面積が大きいのだから、
 これくらい我慢しなさい」

シャディスト。
僕をいたぶるその眼が怖い。

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