NHKFMの×クラシックのラロ&リゲティ祭りの回を聞いた。
MCの二人の語り自体はとてもよかった。ラロについてはそこはかとなく市川さんのバイオリニストとしての感性が感じられたし、リゲティについてもとてもよかったと思う。が、なぜリゲティについては某評論家を割り込ませたのだろうか。そこだけが非常に不満だった。例えば同じNHKの現代の音楽でもリゲティについては当然取り上げられているので、その時の要約を読み上げるのでもよかったくらい。別に某評論家がどうこう言うほどのことはなかったと思う。ただの出しゃばりという感じだ。またはまだ現代の音楽の新解説者の白石美雪さんを紹介がてらコメントをもらうというようなこともできたと思う。なんだかこのあたりもNHKのクラシック番組のディレクターなどの力量が昔とは変わってきているように感じるところだ。
それにしてもリゲティの投稿者が二人とも音源を求めて注文してまで手に入れているということに驚いた。
一人目の人が池袋で注文して、といっていた。池袋は確かにそういう場所があったようにも思う。しかし、今はどうだ。デパートが家電量販店になると文化がどうのというような話があったと思うが、文化というならカンカンポワだったかがなくなった時点で終わっていたと思う。むしろ家電量販店で映画とかCDも買えますが。
おそらくは今の政治家がいう文化とリゲティの音楽や映画、CDなどではなく、どうやら一流のブティックなどのことのようだ。もちろんファッションも芸術といえば芸術だが、なんとなく、もっと現実的な、高いものをたくさん売っている店くらいの感じで聞こえた(富裕層がどうのといっているし)。
NHKのMCふたりはきちんと芸術家としてのリゲティにレスペクトしていることを感じる回だったし、また、投稿がよまれてお二人の文章にも感じた。
往々にして、現代音楽は”わからない”、不要だといって坂本龍一流のわかりやすさが求められる昨今、MCのふたりの語り口は芸術ってそういうものではなくて、しかも日常になくてはならないものだ、ということを、何気ない言葉の中に語っていたと思い、とても心強かった。それと対極に小生は某評論家のおたっきーなコメントに感じてそういったスノッブ感覚はよくないなーと思ったのだ。
ちなみに池袋にある東京芸術劇場の野田秀樹氏は最近の記者会見で演劇が不要不急なものでないことを示したいといっていたが、現代音楽もおそらく不要不急と思われているものの代表格かなあと。驚くことに最後のほうでは、リゲティ家電などということもいって、生活には芸術が必要なことをちょっと笑いを取りながらも伝えていたと思うところがすごくよかったなあと。
番組のなかで某評論家のコメントを起用したのは当然NHKのディレクターなのだろうから、一体何考えてるんだろーというところだ。こういった番組の制作などももしかすると外部に丸投げなのかもしれないが、、、なんともそれこそ日本の文化の先行きに暗いものを感じるところだ。