

映画館で観て以来のテレビ放映に見入った。病の兆候、診断結果、離職、娘の結婚、家庭治療と何か身につまされ、他人事ではないように思った。

渡辺謙談「樋口さんとは、これほど真正面からむき会う芝居は、初めてだったんですけど、すーっと入っていけたんです。おそらく彼女がこの作品を見つめる目線と角度が、僕ととても近かったんだろうなと。何か、もう20年もああだこうだやってきたような夫婦の呼吸だったんですよ。」―あの歯磨きシーンなんて、まさに”あうんの呼吸”。― 「でしょ(笑)。ああいう”ヘルプ”までいかない”サポート”の仕方もありかな、と。この病気を知らない人たちにも、ちょっとお手伝いする時ののヒントと思ってもらえたらすごく嬉しい。」
樋口可南子談「・・難産だったシーンは、今見返してもとても好きなシーンになっていますね。・・アルツハイマー病を告知された夫と、病院の階段で二人で泣いてしまう場面。あの日はもう役を通り越して謙さんと一緒に哀しみを共有したというか、その実感がつかめた気がしたんです。これで次に行けると、思えたのがあのシーンでした。ほとんどテストなしの、ぶっつけ本番、自分の芝居は想像ついても、相手がどう出てくるか想像もつかない。そんな中で、お互いに即興のような感じで演じていったんです。謙さんが涙を指で拭ってくれたから、私も思わず拭いかえし・・気がついたら体が動いていた。二人の動きが自然に見えたとしたら、そこに何の計算もなかったからでしょうね。まさに一発勝負。2度はできないかな(笑)。」

涙がとても美しい、そしてラストシーン、山道で妻のことが解らない佐伯雅行が、振り向いて枝実子を待ち、つり橋をわたっていく森が美しい。
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