小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

『国家の品格』を書いた藤原正彦さんのコラム / 週刊新潮

2016年04月06日 | 
  
 藤原正彦さんは、気象学者であり高倉健の映画『八甲田山』の原作『八甲田山死の彷徨』を著した小説家・新田次郎さんの次男だそうだ。

 藤原正彦さん『国家の品格』に出会った時はいっぺんにファンになってあと何冊か読んだが、最近は週刊新潮に2ページ割かれた写真コラムにあるウイットに富んだ文をを病院で薬をもらう待ち時間に読むのがとても楽しみだ。何日か前に週刊新潮をめくった後、本屋に他の用で立ち寄ったのだが、探し物がないので藤原正彦氏の本はないかな?と本棚を見ていたらこの週刊新潮のコラム集の文庫本があるではないか、並んでいる2冊を買って家に戻った。この方は数学者なんだが、ほんと小説家みたいな文章を書かれる。下に大いなる暗愚からちょっとだけ転載させてもらった。下は冗談の塊みたいだが、歴史や政治に経済などもご自分の経験談と合わせて幅広く書かれている。


 ※暗愚・・・道理に暗くおろかなこと。また、おろか者。
 ※週刊新潮のタイトルは ー 『管見妄語』・・・管見とは、「狭い見識。視野の狭い考え方。」のことで、妄語 とは、「うそをつくこと。不実な言葉。」のこと。


  


 自分の顔
 自分の顔だけは、何十年つき合っても好きになれない。繊細で品のよい指とか、足軽の血を引くたくましい脚など、気に入った部分もあるのに顔だけはだめだ。床屋でじっと鏡を見ていると次第に気が滅入ってくる。

 公にすべきものではないと長いあいだ思っていた。そう思っていたのは私ばかりではない。処女作の『若き数学者のアメリカ』が出た時、私の顔は新聞広告などにのらなかった。同時期に同じ新潮社から本を出した沢木耕太郎さんや五木寛之さんの写真は常にのっていた。新潮社も私と同じ考え方を持っていたのである。。

 沢木さんと五木さんの写真はいつも「陰影のある男」と言った雰囲気で、左四十五度から撮ったものが多かった。もしかして私だって、と鏡の前で顔を右に傾け、左四十五度を観察してみたが、後頭部の絶壁が目立つだけだった。

 ふと石原裕次郎や赤木圭一郎を思い出した。ブロマイド写真で見る彼等はいつも眉間に縦皺をよせ、どこかまぶしそうな表情をしている。早速、女房の前で眉間に縦皺を寄せまぶしそうに目を細め、「どうだニヒルに見えるか」と聞いたら「ニヒルというより不機嫌なアヒル」と言われた。

                        (後略 二〇〇九年七月九日号) 
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4 コメント

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Unknown (イジー)
2016-04-07 09:37:52
長編もの とくに小説が読めない私は
コラムなどが好きです。

奥様の、不機嫌なアヒルには 大笑い。


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イジーさんへ (小父さん)
2016-04-07 12:00:43
私も長い読み物が最近苦手になってきました。
そうですね新聞も!(笑)
ひとつは目の焦点が夜遅くなると?合わなくなることと、難しいもの長いものを広げると眠くなってしまいます。

目も頭も完全な老化現象でしょう(泣)

その点、藤原正彦さんのコラムは、端的にずばりと世の中を言い当てています。

>奥様の、不機嫌なアヒルには 大笑い。

このコラムの最後にはこう結ばれています。

「・・・独身の頃の写真が出て来た。女房が『ホラ、あの頃のお父さん、神経質そうにチックばかりしていただけあって気持ち悪いでしょ』と息子たちに言った。愚息どもは・・・一斉に『キモーイ』と言った。今の方が断然よいということだろう。新潮社に限らず各社とも私の写真を競って載せるようになった。雌伏(しふく)六十五年、ついに好感度抜群のルックスとなったようだ。」
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Unknown (shinkai)
2016-04-07 14:03:40
こんにちは!

楽しいエッセイを教えて頂きました。 有難うございます! この秋に日本で買って戻りましょう。

この方のは随分昔一度読んだことがあり、やはり今と同じ切れ味の良い文章だと思ったのを覚えていますが、今もご健在、
いや好感度抜群の切れ味となられた様子で・・!!


下の公園の写真の数々、春の陽気が伝わってきますねぇ。
ただ私メの好みから言わせて頂くと、花のみの狙い方が、いかにも花はこう撮る、という通の方々の匂いがぷんぷんで・・、へへへ、すみませんです。
好きなのは離宮の建物の写真です。
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shinkaiさんへ (小父さん)
2016-04-07 16:47:43
こんにちは

>この秋に日本で買って戻りましょう。

はっはっは
この方、米国や英国の大学でも教鞭をとった方で欧米のエピソードはけっこう興味深いですが
政治経済でもかなり直球を投げられますよ。
週刊新潮のコラムのすべては読んでいませんが、どこまでも日本国を愛しておられるようです。

登山家の小説が多い父の新田次郎さんが
長野県諏訪郡上諏訪町の出身だということに気づきました。

そうそう近くの知人が御柱祭に出掛けていましたね。
全く縁遠い存在だった諏訪の町にとても親しみがわいてきました。

>いや好感度抜群の切れ味となられた様子で・・!!

さてさて藤原さんの直球がshinkaiさんの目にはどう映るでしょうか?(笑)

>花のみの狙い方が、いかにも花はこう撮る、という通の方々の匂いがぷんぷんで・・

有難うございます。
いや、毎回ネットの撮り方なるもので予習して出掛けていますので
そんな落とし穴に嵌っているのかも知れません。

困りましたね~。
実は明日もさるところへさくら撮りに出掛けるのです!(爆)

教科書から離れて自分の気持ちで撮ってみます!
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