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「テレビで名前が売れたとたんに、三十数年間没交渉だった小学校時代の同級生たちが、突然、友達を名乗って誘ってきた」と、かなり本気で怒っていた女性がいた。
テレビに限った話ではなく、昇進、昇格、当選、事業の成功といった場面で、それまで冷ややかだった人々が、手のひらを返したように親しげに近づいてくるという体験は、長い人生の中で、だれでも一度や二度はあるだろう。
うれしい時期に起きるそんな出来事について、「嫌な思いをした」と憤慨し、傷つき、ときに人間不信に陥るのは、圧倒的に女性に多い。男性の中で、こういう非難や愚痴はあまり聞かない。
実際のところどうなの?と、企業の男性管理職の方に尋ねたことがある。
「なんとまあ、ケツの穴の小さいことよ」と一笑に付された。「愛(う)いやつ愛いやつ、と頭の一つも撫(な)でてやるのが、人間の器というものだろうが」
なるほど。寝返った者どもを支配下に置き、勢力を拡大していく。パワーゲームの発想で目から鱗(うろこ)だった。もっともこれは男女の差というより、置かれた立場や住んでいる世界の違いなのかもしれない。
しかし恋愛、となると紛れもない男女差が見えてくる。
成功を手にしたとき、一緒に恋まで拾う人がいる。たいていは男性のケースだが、それが女性の場合、少々、ややこしい。
その地位や実力や金が、自信や寛容さという人格的魅力や、際だって若々しく華やかな容貌(ようぼう)に結びついていたりする場合であっても、当人の中では、あるときから猜疑心(さいぎしん)のようなものが頭をもたげ始める。
もしかすると彼が求めているのは、私の経済力? 社内や業界における影響力? 仕事上の能力?
ある程度年齢がいった女が、こんな疑念に取り憑(つ)かれ、荒(すさ)んでいく様は、はたで見ていて痛々しい。たかが恋愛、ギアチェンジもUターンも自由なんだから、突っ走ってみたら、といささか無責任なあおり方をしてみたくもなる。
逆に成功した男となると、金銭面で警戒することはあっても、条件や持ち物に惹(ひ)かれて近づいてきた者に対して比較的寛容で、ときには素朴に、相手の恋心を信じている。実績を上げたことへの報賞として女を得る、という古典的な感覚も、年配者の中では、未(いま)だに生きている。このあたりは、手のひらを返した相手に対して、「愛いやつじゃ」と自分の勢力下に組み込み恭順を誓わせて良しとする感覚と通じるところもあるのだろうか。
相手が自分の人間性、容貌、性的魅力といったものに惹かれているのか、それとも金や力、知名度、といった持ち物を目的に近づいてきたのかを、峻別(しゅんべつ)しないではいられない女とは、プライドの有り所が違うのかもしれない。
少し前、多くの魅力的な女性と奔放な交際をしている成功者の男性について、「彼女たちが愛しているのが、彼のお金や、知名度や、権威であって、彼自身ではないということに、男としてのプライドは傷つかないんでしょうか」と、若い男性に尋ねたことがある。
「まともな男なら耐えられませんよ」
意外な答えが即座に返ってきた。
草食男子、と揶揄(やゆ)される男の中には、こうした意味での「まともな男」がけっこう混じっていて、そうした彼らが、案外若い女の心を惹きつけているのかもしれない。(作家)=次回は3月6日掲載
毎日新聞 2010年2月20日 東京朝刊
小父さんは嫌いだけど、男の世界、ごく普通の人間は相手のポジションによって動きが変わるね。長と名のつくところへ人は集まり、長が取れるとすーっといなくなる。商いもそんな力学で動いているんだろう。世にいうスターなんてその落差はもっと大きいだろうな。
>「彼女たちが愛しているのが、彼のお金や、知名度や、権威であって、彼自身ではないということに、男としてのプライドは傷つかないんでしょうか」
男ってそれだけ単純なんだね。女の世界って女やったことないからわからないな~
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【日本・英国 】第5エンド、ストーンを投じる目黒(中央)=五輪センターで2010年2月19日、須賀川理撮影mainichi.jp
今日のニュース映像は3回ほど見た。なかなか面白いものだ。頭脳がいるね~!
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