余録 / 「マニフェストデスティニー（明白な天命）… / 毎日新聞

カナダのトルドー首相（右）を州知事扱いしたトランプ次期米大統領。写真は2019年12月に北大西洋条約機構（NATO）の会議で話し合う2人＝2019年12月4日、AP

毎日新聞　2024/12/17　東京朝刊

　「マニフェストデスティニー（明白な天命）」は米国の領土拡張を神の意思とする思想。19世紀半ばに唱えられ、テキサスやオレゴン、カリフォルニアなどの併合に結びついた

　▲「併合論」で初めて用いたジャーナリスト、ジョン・オサリバンはカナダや中南米も例外にせず、星条旗の下に3億人が集う将来像を描いた。そんな歴史を思えば、冗談と聞き流すのも簡単ではあるまい

　▲トランプ次期米大統領がカナダを米国の51番目の州と呼んだ。高関税の脅しでフロリダの私邸に飛んだトルドー首相は知事扱いだ。2人は6年前、カナダでの主要7カ国（G7）首脳会議で衝突した。その遺恨晴らしにも見える

　▲扱いにくい指導者の再登場に国際社会がピリピリしている。火災にあったノートルダム大聖堂の再建お披露目に招いたのはマクロン仏大統領の知恵か。ウクライナ支援に消極的なトランプ氏とゼレンスキー大統領の会談を演出した

　▲だが欧州随一のトランプ派とされるオルバン・ハンガリー首相はフロリダを訪れた後、プーチン露大統領にも電話をかけている。私邸の夕食会に招かれた安倍晋三元首相の妻、昭恵さんとの会談に気をもんでいるのは石破茂首相だろうか

　▲「MAGA（米国を再び偉大に）」を使命とするトランプ氏は第1期政権で宇宙進出を新たな「マニフェストデスティニー」と呼んだ。国際協調ではなく地球に君臨するイメージ。就任前からトランプ氏を軸に回り始めた世界に「そこのけそこのけ」の未来像が浮かぶ。


2024年12月7日、再建されたノートルダム大聖堂の完成式典に参加したトランプ次期米大統領（手前右）。同左はバイデン米大統領の妻、ジル氏。トランプ氏の公式SNSに香水の宣伝写真として8日に投稿された＝AP



　ウクライナにパレスチナも地獄のような映像が連日送られてくるが、2期目のトランプ大統領が大手を振って歩きはじめたら世界中が経済地獄に陥ってしまうのかな？(笑)。いやいや笑いごとでは済まされない！日本国の庶民にも火の粉が飛んできそうな勢いの気がする。ただ、ウクライナにパレスチナと違うところはトランプ氏は戦争がお嫌いらしいことだけは助かるね。

　米南部フロリダ州でトランプ次期大統領夫妻と面会した安倍昭恵さん（中央）＝メラニア・トランプさんのXへの投稿より
　
　でも世界の要人との面会の申し出は、ことごとく蹴って、「元首相のレガシーに敬意」とトランプ氏夫妻は安倍昭恵さんと面会したそうだ。

　「米メディアは事前に『トランプ氏が昭恵さんを夕食会に招いた』と報じていた。」という。

　トランプ氏にしてみればカナダも日本も米国の51番目、52番目の州であり、両国の首相ともども州知事の感覚なのかな。日本はトランプ氏のペットか番犬くらいに思っているのじゃ～ないだろうか？