小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

ヴェネツィア国際映画祭・金獅子賞の黒澤明監督「羅生門 (1950年)」 / NHK BS4K

2025年01月12日 | 映画
盗賊・多襄丸(三船敏郎)と武士・金沢武弘の妻・真砂(京マチ子)


平安時代を舞台に、ある武士の殺害事件の目撃者や関係者がそれぞれ食い違った証言をする姿をそれぞれの視点から描き、人間のエゴイズムを鋭く追及しているが、ラストで人間信頼のメッセージを訴えた。

盗賊・多襄丸の証言
 武士・金沢武弘を殺した下手人として盗賊の多襄丸が検非違使の前に連行されてくる。多襄丸は、山で侍夫婦を見かけた際に真砂の顔を見て欲情し、金沢を騙して捕縛した上で、真砂を手篭めにしたことを語る。その後、凛とした真砂が両者の決闘を要求し、勝った方の妻になると申し出たことから、多襄丸は金沢と正々堂々と戦い、激闘の末に金沢を倒したという。




妻・真砂の証言
手篭めにされた後、多襄丸は金沢を殺さずに逃げたという。真砂は夫を助けようとするが、眼前で男に身体を許した妻を金沢は軽蔑の眼差しで見据え、その目についに耐えられなくなった真砂は自らを殺すように懇願した。そのまま気絶してしまい目が覚めると、夫には短刀が刺さって死んでおり、自分は後を追って死のうとしたが死ねなかった、と証言した。語り口は悲嘆に暮れ、多襄丸の証言とはあまりにかけ離れていた。




金沢の証言
 最後に巫女が呼ばれ、金沢の霊を呼び出して証言を得る。金沢の霊曰く、真砂は多襄丸に辱められた後、彼に情を移し、一緒に行く代わりに自分の夫を殺すように求めた。しかし、その浅ましい態度に流石の多襄丸も呆れ果て、女を生かすか殺すか夫のお前が決めて良いと金沢に申し出た。それを聞いた真砂は逃亡し、多襄丸も姿を消し、一人残された自分は無念のあまり、妻の短刀で自害した。そして自分が死んだ後に何者かが現れ、短刀を引き抜いたが、それは誰かわからないと答える。



杣売りの証言
 それぞれ食い違う三人の言い分を話し終えた杣売り(そまうり・・・焚き木の販売業者)は、下人に「三人とも嘘をついている」と言う。杣売りは実は事件の一部始終を目撃していたが巻き込まれるのを恐れ、黙っていたという。杣売りによれば、多襄丸は強姦の後、真砂に惚れてしまい夫婦となることを懇願したが、彼女は断り金沢の縄を解いた。ところが金沢は辱めを受けた彼女に対し、武士の妻として自害するように迫った。すると真砂は笑いだして男たちの自分勝手な言い分を誹り、金沢と多襄丸を殺し合わせる。戦に慣れない2人はへっぴり腰で無様に斬り合い、ようやく多襄丸が金沢を殺すに至ったが、自らが仕向けた事の成り行きに真砂は動揺し逃げだした。人を殺めたばかりで動転している多襄丸は真砂を追うことができなかった。~ウイキペデイアから転載させていただいた。



 この作品は2017年10月12日にブログ投稿していたが、なんだか強烈な印象だけが残っていたようだ。今回は観る前にNHKの「三大巨匠 奇跡の名画~4Kでよみがえる黒澤・溝口・小津~」という番組で予備知識も得ていたが、今こうして記事を書き上げて、おぼろげながらこの映画が分かったようだ。

 ふと思うのは日本人のいい年をした私がこの程度なのだから、海外のプロの映画人ならばいざ知らず、一般の観客に、作品の全容が伝わったのだろうかとも思う。第12回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞に第24回アカデミー賞で名誉賞(現在の国際長編映画賞)も受賞しているんだよね。それまで国際的にほとんど知られていなかった日本映画の存在を、世界に知らしめることになったし、本作の受賞は日本映画産業が国際市場に進出する契機となったのだそう。ありがたや、ありがたや。ウイキペデイアさんにも礼をいいます。




「羅生門」予告編 Rashomon Trailer (Akira Kurosawa, 1950)






この羅生門の下で、杣売り(そまうり)と旅法師は事件の参考人として出頭した検非違使からの帰途に雨宿りをしながら、実に奇妙な話を見聞きしたと、もう1人の下人に語り始めたのだった。
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
よくわからなかった、という記憶しか・・ (KUMI)
2025-01-12 16:25:10
若い時に、確か、名画座で見たような・・
有名な賞をとった映画、というので見たけれどどこが良いやら良く解らなかった、という記憶しかありません。何が外国の映画人の心を打ったのでしょう?
今、小父さんがこうして昔の名画を鑑賞するというエネルギーに感心するばかり。

七人の侍、夫が貸しビデオをよく借りて来たりTVの再放送で何度か見た覚えがあります。
今は、映画は疲れます。
返信する
Unknown (小父さん)
2025-01-12 20:15:59
>KUMI さんへ
>よくわからなかった、という記憶しか・・... への返信

コメント有難うございます。

私が2017年に観た時もそんな印象だったと思います。
これが噂の「羅生門」かという感じでしたが・・・。

>良いやら良く解らなかった、という記憶しかありません。

当時の日本の人気ランキングでは下の方だった気がします。
賞を取ってから逆輸入で話題になったのではないかと想像します(笑)。

>何が外国の映画人の心を打ったのでしょう?

ところが映画関係者は太陽に向けてキャメラを回したとか、木漏れ日からさしこむ光と影などなどがすばらしいなど専門的なことを評価しています。

上にもありますように「人間のエゴイズムを鋭く追及しているが、ラストで人間信頼のメッセージを訴えた。」というのは私は今、分かるわけですが、果たして外国人の観客が劇場で観て理解できたか?悪口もその程度にしておきます(笑)。
返信する
アーカイブ (FUSA)
2025-01-13 13:41:44
この映画はYouTubeの「Classic Film Archives」の中にフル・バージョンがアップされていますので、納得いくまで繰り返しご覧になることをお奨めします。
返信する
Unknown (小父さん)
2025-01-13 20:26:37
>FUSA さんへ
>アーカイブ... への返信

「Classic Film Archives」の中のフル・バージョン
今、見つけました。
録り溜めの映画が今たくさんありますので、時間が出来たらゆっくり観させていただきます。

有難うございました。
返信する

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