クルミを食べることは認知機能の低下を予防する
食事に取り入れやすい,美味しいナッツ,クルミ(クルミ科Juglans regia)。
クルミには抗酸化作用と抗炎症作用を持つ成分が含有されており,いくつかの研究で食事にクルミを補給することで認知力が向上し,軽度の認知障害やアルツハイマー病のリスクや進行が減少する可能性があることが報告されている。
酸化ストレスと神経の炎症は,老化プロセス,軽度認知障害,アルツハイマー病,およびその他の脳障害において要因となる。そして,アミロイドβタンパク質(Aβ)は,アルツハイマー病患者の脳のアミロイド斑の主成分であり,これが神経のフリーラジカルの生成を増加させ,酸化的損傷と細胞死につながることがこれまでにも示唆されている。Aβはまた,炎症誘発性サイトカインおよび酵素を増加させることによって神経に炎症を誘発する可能性もある。
今回取り上げたレビューでは,アルツハイマー病に対するクルミの有効性について述べられており,以下のような研究ピックアップされている。
1)アルツハイマー病モデルマウス(AD-tg)を用いた研究は,対象マウスがクルミを含む食餌をとることにより,記憶,学習,運動協調性,不安神経症,および運動活動について,改善や機能の向上といった有効性を持つことを示唆している。
2)臨床試験では,正常成人においても,クルミの摂取により,認知能力の向上,および記憶の改善がみられることが示されている。
3)AD-tgマウスでの最近の研究で,クルミを多く含む食餌は,クルミを含まない,対照としての食餌と比較して,抗酸化防御を大幅に改善し,フリーラジカルのレベル,脂質過酸化,およびタンパク質の酸化を減少させることを示し,これらの結果より,クルミを含む食事は,フリーラジカルの生成を減らし,抗酸化防御を高めることによって酸化ストレスを減らし,脂質やタンパク質への酸化的損傷を減らすことができることを示唆している。
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