2)PSA FT比(Free-Total PSA比、フリー/トータルPSA比、エフティー比)
PSAは主に前立腺から作られるタンパク質ですが、その中にはFree-PSA(フリーピーエスエー)と呼ばれるタンパク質が含まれています。このFree-PSAがPSA全体を100%とした場合、どれくらいの割合(何%)で含まれているかの比率を算出した数値をPSA FT比といいます。例えばPSAが5.0 ng/mLで、Free-PSAが1.0 ng/mLだった場合、1.0÷5.0×100=20%と計算します。
前立腺がん細胞の中にはFree-PSAが少なく、一方良性の前立腺細胞にはFree-PSAが多く含まれることが知られており、これを利用してこの数値をがんの診断に用います。つまりPSA FT比が小さい(Free-PSAが少ない)ほど、前立腺がんが存在している可能性が高く、PSA FT比が高い(Free-PSAが多い)ほど、前立腺肥大症や炎症などのがん以外の原因でPSAが上昇している可能性が高いと判断します。
PSA FT比が10%未満であれば前立腺がんの可能性が高く、20%以上であれば前立腺肥大などによるPSA上昇の可能性が高いと言われています。前立腺肥大症でPSAが上昇している場合にはFT比が30%以上となることもあります。10~20%の間の場合、グレーゾーンでどちらとも言えません。FT比のみで前立腺がんの有無を診断することはありませんが、生検をするかしないか決定するために参考にすることがあります。最終的にはMRIなど他検査の結果とあわせて、前立腺がんの可能性を判断していきます。
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