夏休みのラジオ体操は初日に参加者が50人以上、次々と公園に来る家族、子どもに胸が踊った。
しかし、残念な事に、二日目は台風8号の影響で雨が朝から降り続き中止に。
出鼻を挫かれた。
「折角、初日にこれほど人が来たのに・・・」
実施チラシには「雨天中止」と記載しているが、雨でも必ず一人か二人はラジオ体操をやりに来る。
「雨の今日も絶対に来るな」
雨の中、待ちぼうけしてる子はいないかと公園を見廻りに行った。
「おじさん、ラジオ体操はやらないの」
誰もいないと思った背後から、小さな声で呼び止められた。
「やっぱり来てたか」
「親も雨天中止を教えてやればいいのに・・・」
「いや、分かっているんだ。雨だけど、もしかしたらラジオ体操をやるかも知れないと、淡い期待で雨の公園に向かったんだよな」
この子は一体、どれだけの想いをラジオ体操に寄せているのだろう。
「一人でやる?おじさんも付き合うよ」
「やだ。皆がいないならやらない」
体操じゃなくて、この子は皆に会いに来てるんだ。皆に会えるのが嬉しいんだよ。
「明日はきっと晴れだよ。公園でまた会おう」
小さな背中に投げかけた。