昨年の台風19号の災害時に居住地に市から「避難勧告」が出された。
マンションだから共有部の物は住戸内に入れていただくよう案内を出した。
それでも共有部に物を置いている人がいた。
「避難勧告」が出される前、居住者の中には明らかに他の地に避難した人もいた。
居住者の不安が高まっているのは、一時停電になった時、管理人室に問い合わせが多く入った事実で明らかだった。
「避難勧告」で皆、避難所に行こうと迷っている。しかし、外が暴風雨なのに、理事会の理事長として「逃げてください」と全戸案内するのか。
「どうしよう」
何事もなかったら、避難していただいた人から「ふざけるな」と言われるだろうし、台風で何かあったら「何で正確な情報を流さなかった」と言われるし。
台風の直撃は刻一刻迫っていた。
避難勧告は土砂災害を想定したものとの情報を掴んだ。
「こんな細かい事まで説明して、皆さんに説明して、質問に応え、納得してもらわなきゃいけないのか」
マンション理事会でいつも相談している人生の先輩に、電話で「避難勧告は出ているが避難するな」という判断とその判断が間違っていた時の不安と、非難轟々で失脚する不安を話した。
「半分の人から嫌われる立派な人になれ。覚悟しろ」
後ろを押された。
「避難勧告は土砂災害を想定したもの。住戸内にいてください」
全戸放送で、ドキドキしながらアナウンスした。
アナウンス後は腰が抜けたような脱力感。
台風一過の晴れ晴れとした翌日、何人もの人から「ありがとう」と言われた。
先輩の一言が無かったら出来なかった
決断。
「流石だな。先輩。ありがとうございました」
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