「16:00から“おもちゃ病院”が来ます。壊れたおもちゃなら何でも持って来てください」
おもちゃ「パトカー」入院決定。
「治療費はいくらですか。社会保険は使えますか」
その横では“あんパンマン”様、喉荒れにより声が出ず、全治3週間、入院。
夜になっても患者が絶えることはなかった。
市のボランティアで「おもちゃ病院」なるものを知った。
「おもちゃを持ち込む家などあるのだろうか」
使い捨て、断捨離、修理代より安い商品。
しかし、物には人間の“心”が乗り移る。
特に子どもにとって“おもちゃ”は無二の親友、大事な宝物になり得る。
大人にとっては“くだらない品”であっても。
物を大事にする“心”は大人が育んであげるもの。
クリスマスにおもちゃをプレゼントするように、大事なおもちゃを修理してあげるのもビッグプレゼントだろう。
おもちゃ病院開業。
おもちゃ「パトカー」入院決定。
続々と患者様ご来院。
「治療費はいくらですか。社会保険は使えますか」
「無料です」
本当に丁寧に、キレイに治します。
ティラノサウルス様、顎関節症で口が開かなくなり全治2週間、入院。
その横では“あんパンマン”様、喉荒れにより声が出ず、全治3週間、入院。
夜になっても患者が絶えることはなかった。
すごいボランティア。
夢がある。
「おもちゃ病院」のドクターは皆さん、現役を引退された高齢の方々。
「そんなに治せるものですか」
「殆んど治せるね。テレビゲーム系はダメだけど」
「本当に無料なんですか」
「そうだよ。ボランティアだから。君もやるか、ハハハ・・・」
寂しくなった頭髪に、サンタの赤い三角帽はお世辞にも「お似合いです」とは言えないが、三人のご高齢“おもちゃドクター”は、間違いなくこの日のマンションイベントのヒーローだった。
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