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マチネの終わりに / 平野啓一郎

2023年05月28日 | 読んだ小説
                    

☆☆☆
世界的に有名な38歳の天才クラシック・ギタリスト蒔野と、父親が有名な外国人映画監督で、自身は国際
ジャーナリストの40歳の日系人ハーフの洋子との小難しい恋。 2人はお互い一目惚れのような感じで惹
かれ合ったが、洋子にはアメリカ人の婚約者がいた。

前半はスランプに陥っている蒔野の原因の自己分析や、蒔野と洋子の出会いからその後の関係、各自の恋
心の自己分析を無駄に小難しく高尚に描いていく。

後半は蒔野に思いを寄せる女性マネージャーが、洋子への嫉妬心とスランプに陥ったのは洋子と出逢って
からという思いから、いろいろ不運な偶然が重なった事も後押しして、女性マネージャーが2人を引き裂
く工作を行い、後半からは一気に昼メロ的展開になっていく。 そして、洋子はすぐにアメリカ人の婚約
者とよりを戻して結婚してしまい、蒔野の方も程なく女性マネージャーと結婚ってどんだけ短絡的な2人
なんだ。

特に洋子の長年付き合ってきたけど裏切ってしまった大して愛してもいないアメリカ人男性の元に戻れる
図太い神経と、結婚後2人の間にできた子供にもそこまで深い愛情は持ってないようで、そもそも誠意の
ある愛情を持っている人なら、婚約者がいるのに初対面の男性に一目惚れとかするはずがないだろうし、
蒔野だって真面目な人なら婚約者のいる女性にアプローチなんてしないだろう。 肝心の主人公2人が愛
に不誠実なのに愛の話なんか語るなよ。

ラストに蒔野と洋子は、5年ぶりにNYのセントラルパークで再会するが、洋子は蒔野のコンサートを見
て、今の蒔野には妻と子供がいて満たされた生活を送っていると感じ取ったのだから、もう再会はしない
で、セントラルパークで待つ蒔野への手紙でも誰かに託すだけにしておけば良かったのにって思う。
この辺も粋じゃないんだよなぁ。

とにかく最初から最後まで、スランプ、恋愛、結婚生活、音楽、映画、経済の無駄に小難しくて高尚な
自己分析がずーっと続き、私のような凡人には興味もないし、理解する気にもならなくて読んでいてウザ
過ぎて胸焼けがした。 この作者は、自分のイケてると思っている人生観、恋愛観に酔っているだけかも
しれない。 ちなみにマチネとは午後の演奏会の事らしい。


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