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ローズガンズデイズ season2 感想・チャイナの日本人
筆者-Townmemory 初稿-2013年1月17日
☆
ローズガンズデイズ season2を読みました。
以下、思ったことを簡単に。
これまでの感想記事は、こちら。
ローズガンズデイズ体験版/勝手な感想/勝手な予想
ローズガンズデイズ season1 感想その1 マダム・ローズと日本人たち
●ひとつの結末とひとつの導入
ローズガンズseason2は、大きく2パートに分かれていました。
ケイレブ編の結末と、ワンダリングドッグ編の導入。
そんな感じの構成でしたね。
ケイレブ編は、順当に風呂敷が畳まれました。わたしの好みをいえば、風呂敷は畳むよりも、広げた勢いでひっちゃぶく方が好きですし、竜騎士さんもおそらく、ひっちゃぶく方が好きではないかと推察するのですが、そういう終わり方を評価する読者はどうやら少ないようですから、そっちに合わせて、さっと綺麗に着地したという印象です。
season1のときに、いくつか予測したことがあるのですが、それらについて、かなりつっこんだ追加情報がありました。
●拳銃嫌いと心中賛美
season1発売直後くらいに、「ローズガンズデイズ season1 感想その1 マダム・ローズと日本人たち」という記事を書きました。
そこでわたしは、
・マダム・ローズは「日本人」が持っている属性(特に弱さ、ダメな所)を結晶化したような、いわば「THE 日本人」である。
といった話をしました。
ローズという人は、日本人の特徴をかきあつめたような人物造形となっている。
「現実的な日本人の弱さ」を持っている者が、「理想的な日本人のあり方」を体現して、「日本的な美学」に即して死ぬ。
日本人の強さも弱さも、日本人の理想も現実も、日本人の栄光も蹉跌も、すべて含んで呑み込んだ存在に、マダム・ローズはなる。
そのことで、ローズは、もっとも純粋な「日本人」として完成する。
そういった展開が想定されているだろうと推測していました。
今回のseason2でも、そういう展開(仕組み)を想起させるエピソードがいくつかちりばめられていました。
梅九(どうしても「うめきゅう」と読んでしまう)とのお茶会で出てきた「龍と豚」のたとえ話なんかもそうですね。
ローズは拳銃嫌悪の傾向がある、という描写もなされましたね。
日本人、あるいは日本社会というやつは、おしなべて拳銃アレルギーの体質を持っています(とわたしは思うんだが、どうだろう)。
例えば1992年にルイジアナ州バトンルージュで起こった日本人留学生射殺事件。当時、アメリカに対して決してNoと言わないことで有名だった日本人たちが、それはもう猛烈な拒否反応を示して抗議の声を挙げました(と、わたしは聞いています)。
そういう拳銃アレルギーのローズちゃんが、うめきゅうさんにちょいとノセられて、「やったる、自分、やったるでー!」というテンションになった挙句が、ハラにダイナマイトを巻いてケイレブもろとも自爆テロしたろうやないかというこれまた極端な行動であったわけですね。
こんなのはもう、人間爆弾桜花に乗って敵艦に体当たりする神風特攻隊みたいです。
一方に「拳銃アレルギー」、もう一方に「神風特攻隊」という、両極端な揺れ幅を(同時に)持っているのが、わたしたち日本人という人々であって、そしてマダム・ローズはまさにそのような性向を端的に示している存在であるわけです。
ルース・ベネディクト(最近知りましたがこの人女性なのですね)は日本人を「菊と刀」というたとえで説明しましたが、「拳銃嫌いとカミカゼ」というのも、かなりいいセンをついている気がしますね。
●獅子神レオはインドネシアへ還る
同じく、「ローズガンズデイズ season1 感想その1 マダム・ローズと日本人たち」で、
「レオ獅子神が戦中にいた場所は多分インドネシアじゃないかなー」
と推測しておりましたが、season2でもっと詳細な描写が出まして、やっぱりインドネシアで間違いなさそうですね。東インド会社への言及がちょっと出てきますが、これはオランダ東インド会社とみるのが適当かなと思います。
いや、まあ、この物語はフィクションなのですから、「インドネシアという国が存在しない架空世界」であるという可能性すら考えることができます。が、「明らかにインドネシアをモデルにした南方の国」くらいのことは間違いなく言ってよろしいでしょう。
ちょっと長くなりますが、かいつまみつつ、引用してみます。
前の記事にも書いた通り、日本軍のインドネシア駐留軍政府は、インドネシアにインドネシア語での教育体制をつくり、また志願した若者に軍事教練をしたそうです。教育と軍事教練を通じて、
「インドネシアを国として独立させよう! もちろん日本が全面バックアップする。オランダが襲ってきたら一緒に戦うんだ」
という方向に持っていったわけです。
が、インドネシアを独立させる前に日本は降伏しちゃったので、インドネシアの若者はハシゴを外されちゃったような状態になりました。
ハシゴを外されても、インドネシアの人々は独力で独立戦争を始めました。
もしレオがインドネシア駐留軍政府の士官であったと仮定する場合、彼は「現地の人々に夢を語っておきながら、最後まで面倒見ずに逃げだした男」ということになります。
そのことにずっと負い目を感じている……。
というふうに見た場合、描写と整合するので、きっとレオの戦場はインドネシアだったろう……と想像できたわけです。
だいたい、その通りとみてよろしいかなって思います。
Wikipediaによれば、オランダ東会社がジャワ島に設立されるのが、ちょうど徳川幕府の開府と同じ頃ですから、「数百年間の植民地」ということになります。また、オランダ東インド会社が「17世紀後半にはマタラム王国を衰退させ、そして1752年にはバンテン王国を属国とすることに成功した」とのことですので、「民族のアイデンティティが200年間も失われていた」も合います。
ところで、話は急に変わって、しょうもない余談になりますが……
再びインドネシアに渡ったレオ・獅子神は、きっとインドネシアの義勇軍でも頭角を現したでしょうから、現地の指導者であるスカルノ(のちの初代大統領)との面識を持つ可能性が高そうです。
ひょっとして、すでに軍政府時代からスカルノと面識があったかもしれませんね。
そして、わたしたちの現代日本でテレビによく出演してらっしゃるデヴィ夫人。時々知らない方がいるみたいなのですが、デヴィ・スカルノさんはスカルノ大統領の第3夫人であられます。(イスラムなので奥さんを4人まで持てるのですね)
というわけで……
インドネシア独立戦争をうまく生き延びた場合、レオ・獅子神はデヴィ夫人と面識ができて、なんと2人は知り合い同士! という可能性が出てくるのでした。
デヴィさんは国籍はインドネシアですが日本生まれの日本人ですので、ますます知り合う機会があります。
なんだかそう思うと、うっかり「デヴィさんにレオ獅子神のことを問い合わせたい」という欲求が芽生えてしまうわたしなのでした。あぶないあぶない。
(「日本人なのに西洋名を名乗る人々」という点でも、ローズガンズデイズとデヴィ夫人には共通項があるのですが、これはちょっとうがちすぎですね)
しょうもない余談おわり。
●ワンダリングドッグ登場
わたしはワンダリングドッグ編のほうが好きです。
オリバー、チャールズ、ニーナの3人組。これが、じつにかわいい。
ゴニョゴニョしたことを先にさっと述べますが、ツェルはちょっとアレというか、まぁハッキリいうと、わたしはあんまり好きじゃないかもしれません。
なんかこう、見透かしたところがあるというか、「くっくっく、計算通り」キャラに見えるところがありますね。今のところ、ツェルさんは「がんばってるヤツ」ではなく、「がんばってるヤツらをうまく操縦するヤツ」になっており、ふつう、人は、がんばってるヤツを応援したくなるものなので、3人組の隣にいることで、ちょっと割を食っているところがあるように思います。
3人組のほうは良いですね! キャラクターデザインが良いし、3人の個性のバランスがいい。
3人が揃ってうだうだしているところがいちばんおもしろいわけなのですが、特に一人を選ぶならニーナが良いかな。
●「あなたは満州に行っていましたね?」
今回のseason2には、
「ツェルという人は、いったい何者だ」
という一種の謎があるわけですね。
断片的に提示された情報を、大ざっぱにまとめると、
・日本語ベースで思考しているが、中国語もすんなり理解できる
・小蘭(チャイナタウンの少女エージェント)に監視されている
・格闘技の動きが体にしみついている
といった感じでした。
わたしが、何となく想像したのは、
「満州生まれ、もしくは満州育ちの日本人子女」
ということではないかなー。ってことでした。以下、想像を自分かってにふくらませます。
(満州でなくとも、中国本国でもいいし、金蔵と同じく台湾でもいいですが)
ツェルは思考言語が日本語だそうですから、日本人の家庭に生まれ育ったはずです。
しかし同時に、中国語を「そのまますんなり」理解できると言うのですから、中国語が周囲に飛び交っているような環境で育った可能性が高いのです。
少なくとも、「大きくなってから、勉強して、中国語ができるようになった」のでは「ない」と考えられます。
ということを鑑みれば、「満州か中国か台湾で生まれ育った日本人」という結論がごく穏当に、得られるわけですね。
その中では、満州が有望だろうと思えました。
われわれの(実在の)歴史を元にするならば、日本は満州を植民地化して「満州国」をつくりました。そして「満蒙開拓移民」といって、希望者をつのって日本人を満州に移民させていったのです。
これから国を建設していく満州には、仕事もチャンスもいっぱいありますし、今から経済が発展していくのだから早めにおいしい所を押さえておいたほうがいい。しかも現地には日本軍の大軍が駐留しているわけで、軍隊というのはそれ自体が巨大な消費圏ですから、周囲にいればおいしい商売もできそうだ。
そういうふうにして、「よし、いっちょう満州で一旗揚げようか」という人々が……特に貧困農民層(このまま日本にいてもあまり先がない)を中心に、いっぱいいたそうです。
そういう日本の開拓移民の家庭に生まれて、中国語の飛び交う土地で育った少女がツェルなんじゃないかな、と想像しました。
●「中国大陸に進出した日本」という背景
ツェルがもし満州にいたキャラだとしたら、それは、
「中国大陸に進出した日本」
という要素をフィーチャーするためのギミックだろうと思います。
前の編の主人公であるレオが、
「日本の東南アジア進出」(日本人とインドネシア人)
という状況をバックグラウンドとして背負っていたのと同様に、
今回の主人公であるツェルは、
「日本の中国大陸(もしくは台湾)進出」(日本人と中国人)
というバックグラウンドを背負っており、
それにからめた物語が語られることになるのかな……というのが、わたしの想像です。
ゲーム本編を読んでいる途中の考えでは、わたしは、
「おそらくツェルは、中国で生まれ育ち終戦を契機に日本に引き揚げてきた人で、『現地の日本人から見た日本の満州国経営』みたいなことを語るためのキャラなんじゃないかな……」
といった想像をしていたのですが、その後、
「あ、違うかも」
ハタと気づきました。
こうかもしれない。
「ツェルは中国で生まれ育った日本人少女で、終戦時に、引き揚げ船に乗ることに失敗し、大陸に取り残された」
そっちのほうがドラマチックで、語れることが多そうだ。
つまりツェルは「中国残留日本人孤児」問題の少女だったりするのではないかな……。そっちのほうが有望そうです。
●残留日本人孤児
中国残留日本人孤児、という問題が、80年代に取りざたされ、帰還事業が盛んに行なわれていました(行なわれたそうです)。
太平洋戦争末期、ロシアが日本に宣戦布告して、満州に侵攻してきました。満州は日本人が多数入植しています。
ロシア軍が攻めてきたら、殺されたり財産を奪われたり収容所に入れられたり強制労働させられたりもっとひどい目にあわされたりそれはもうエライことです。
ですから日本は、引き揚げ船を仕立てて、満州の日本人を本国に避難させようとしました。
でも、船に乗れなかった人が、そりゃもういっぱいいたわけです。Wikipediaの「満蒙開拓移民」によれば、満州開拓移民の総数は27万人ないし32万人。うち日本に帰還できたのは11万人あまり。残りは大陸に取り残され、死んだり、シベリア抑留の憂き目にあったりした。
避難のドサクサで家族と散り散りになって、そのまま二度と会えないなんていう話もザラでした。治安とか秩序とかないに等しかったそうなので、事故やら暴力やらできっと人がいっぱい死んだりしたでしょう。
そのようにして、親を失って孤児になってしまった子供がいっぱいいた。
そういった子供たちのうち、多少運の良い子は、中国人家庭に引き取られて養子になり、生き延びました。
そして何十年もあと、日中国交正常化がなされたのをきっかけに、「満州で離ればなれになった兄弟や家族は今どうしているのか。会いたい」という声が日本国内から上がって、中国残留日本人の捜索が行なわれたわけです。中国人家庭で生き延びた孤児たちのうち一部は、壮年になってようやく、日本の土を踏むことができました。
そういう話があります。
それをふまえて、ツェルのことを考える。
●金龍会のエージェント
ツェルが満州に入植した日本人の娘であり、大連港の引き揚げ船に乗れずに、中国大陸に取り残された境遇である……と仮定した場合。
ツェルはちゃんと生き延びているのですから、現地で中国人の保護を受けた可能性が高い。
そこで、「ツェルは小蘭によって監視されている」というポイントを思いだします。
小蘭はうめきゅうさん……李梅九の部下でした。
李梅九はチャイニーズマフィア金龍会の幹部です。
足し算しますと、
「満州で孤児になったツェルは、現地で金龍会に拾われた。そして戦闘技能や様々な知識を教え込まれて、小蘭同様、マフィアの工作員となったのである」
……といったストーリーを想像することができそうなんです。
中国マフィア金龍会は、「戦勝国民として、これから日本に乗りこんでいって、ばんばん権益を切り取ってやろう」という思惑を当然持っていた。
そんなおり、日本人少女のツェルを拾う。
日本人少女は、当然のことながら、日本人としての生活習慣を完全に会得しているわけですから、日本社会に完全に溶けこむことが出来ます。
中国人が日本人のふりをしても、必ずどっかでボロがでます(これは逆でも同じです)。有名なところでは、「タオルを渡して顔を拭かせてみると、日本人か中国人かは一発でわかる」なんて話がありますね。
ツェルのような人材を手元に置いて、育成し、手先にして、スパイだとか工作員として利用するのは、これは便利にちがいありません。
だから拾って、スパイとして完全に育て上げたところで、金龍会はツェルを日本に連れてくる。日本の闇社会にまぎれこませて、情報収集や工作活動にあたらせる。
ところが。
運悪く交通事故が起こって、ツェルは記憶喪失になってしまい、しかもマダム・ローズの客分に収まってしまった。
金龍会としては「危険だが、おもしろい」状況になりました。
ツェルが記憶を取りもどしたとき。
もしプリマヴェーラが、「ツェルは金龍会のエージェントだ!」と気づいてしまった場合、ツェルの口から金龍会の重要な情報がダダ漏れになる危険性があります。
しかし、同時に今、
「ツェルはプリマヴェーラの中枢に食い込み、幹部たちから大きな信頼を得ている」
という、素晴らしい状況にあるのです。
これを利用しない手はない。うまく記憶を回復させ、ツェルのコントロールを取りもどすことができるのであれば、プリマヴェーラの内部情報を切り取り放題です。
もっといえば、例えば、
「マダム・ローズを暗殺し、その罪をグランドボスのサイラスに着せる」
くらいのことだって余裕でできそうです。
だから、梅九は小蘭を使って、ツェルを注意深く監視させる。
小蘭は、おそらく年齢的にいって、「ツェルと一緒に育った」可能性が高そうです。だから小蘭は「姉妹分の間柄であるツェルが個人的に心配だ」という気持ちもあって、見守っており、ときどき助力を与えたりする。
●プリマヴェーラにとっての切り札
そのようなストーリーを(わたしが勝手に)仮定した場合、ツェルは金龍会にとっての強力な切り札なのですが、
しかし同時にツェルは、「プリマヴェーラにとっての強力な切り札」にもなりえます。
現在の彼女は記憶喪失です。
この記憶喪失状態のあいだに、マダム・ローズの世話になっているうちに、ツェルはマダム・ローズに心酔するようになってしまう可能性があります(実際そうなりつつある)。
彼女の記憶が戻ったとき、「やっぱり私、マダム・ローズの役に立ちたい」とツェルが考えた場合。ツェルは金龍会に対しての逆スパイとして機能するかもしれません。
例えば、金龍会に戻ったはいいが、金龍会内部でこっそり、プリマヴェーラの有利に働くような工作をしたり。情報を流したり。
(そしてそういう動きが小蘭に見破られて、一対一で小蘭と戦闘になったり)
そのようにして、
「金龍会にとっても、プリマヴェーラにとっても、ツェルは最後の切り札」
であるという状況が発生し、
ツェルはこの物語の「vs.チャイニーズマフィア編」のキーパーソンになっていく……というような物語になるのかな、なっていったらいいなー、というのが、わたしの予測しているローズガンズデイズ次回の展開です。
どうかしら。
●マダム・ジャンヌの正体
前回同様、あいかわらずわたしは、「マダム・ジャンヌの正体はクローディアが最有望」と思っています。
何人かの人に、「ジャンヌはクローディアだと思うんだけど、どう?」といったことを振ってみたら、
「いやー、クローディアはないっしょ」
という反応が支配的でしたので、ますますクローディアが有望だなと思うようになりました。
*
以上です。
■season3の感想はこちら→ ローズガンズデイズ season3 感想「理想の日本人」とヤクザたち
■ローズガンズデイズ 目次■
ローズガンズデイズ season2 感想・チャイナの日本人
筆者-Townmemory 初稿-2013年1月17日
☆
ローズガンズデイズ season2を読みました。
以下、思ったことを簡単に。
これまでの感想記事は、こちら。
ローズガンズデイズ体験版/勝手な感想/勝手な予想
ローズガンズデイズ season1 感想その1 マダム・ローズと日本人たち
●ひとつの結末とひとつの導入
ローズガンズseason2は、大きく2パートに分かれていました。
ケイレブ編の結末と、ワンダリングドッグ編の導入。
そんな感じの構成でしたね。
ケイレブ編は、順当に風呂敷が畳まれました。わたしの好みをいえば、風呂敷は畳むよりも、広げた勢いでひっちゃぶく方が好きですし、竜騎士さんもおそらく、ひっちゃぶく方が好きではないかと推察するのですが、そういう終わり方を評価する読者はどうやら少ないようですから、そっちに合わせて、さっと綺麗に着地したという印象です。
season1のときに、いくつか予測したことがあるのですが、それらについて、かなりつっこんだ追加情報がありました。
●拳銃嫌いと心中賛美
season1発売直後くらいに、「ローズガンズデイズ season1 感想その1 マダム・ローズと日本人たち」という記事を書きました。
そこでわたしは、
・マダム・ローズは「日本人」が持っている属性(特に弱さ、ダメな所)を結晶化したような、いわば「THE 日本人」である。
といった話をしました。
ローズという人は、日本人の特徴をかきあつめたような人物造形となっている。
「現実的な日本人の弱さ」を持っている者が、「理想的な日本人のあり方」を体現して、「日本的な美学」に即して死ぬ。
日本人の強さも弱さも、日本人の理想も現実も、日本人の栄光も蹉跌も、すべて含んで呑み込んだ存在に、マダム・ローズはなる。
そのことで、ローズは、もっとも純粋な「日本人」として完成する。
そういった展開が想定されているだろうと推測していました。
今回のseason2でも、そういう展開(仕組み)を想起させるエピソードがいくつかちりばめられていました。
梅九(どうしても「うめきゅう」と読んでしまう)とのお茶会で出てきた「龍と豚」のたとえ話なんかもそうですね。
ローズは拳銃嫌悪の傾向がある、という描写もなされましたね。
「……私、銃って、もっと汚らわしいものだと思ってました。」
「引き金を引く度に、……誰かの命が失われる。」
「だから内心は、……銃を持つ人すべてを、軽蔑していたかもしれません。」
日本人、あるいは日本社会というやつは、おしなべて拳銃アレルギーの体質を持っています(とわたしは思うんだが、どうだろう)。
例えば1992年にルイジアナ州バトンルージュで起こった日本人留学生射殺事件。当時、アメリカに対して決してNoと言わないことで有名だった日本人たちが、それはもう猛烈な拒否反応を示して抗議の声を挙げました(と、わたしは聞いています)。
そういう拳銃アレルギーのローズちゃんが、うめきゅうさんにちょいとノセられて、「やったる、自分、やったるでー!」というテンションになった挙句が、ハラにダイナマイトを巻いてケイレブもろとも自爆テロしたろうやないかというこれまた極端な行動であったわけですね。
こんなのはもう、人間爆弾桜花に乗って敵艦に体当たりする神風特攻隊みたいです。
一方に「拳銃アレルギー」、もう一方に「神風特攻隊」という、両極端な揺れ幅を(同時に)持っているのが、わたしたち日本人という人々であって、そしてマダム・ローズはまさにそのような性向を端的に示している存在であるわけです。
ルース・ベネディクト(最近知りましたがこの人女性なのですね)は日本人を「菊と刀」というたとえで説明しましたが、「拳銃嫌いとカミカゼ」というのも、かなりいいセンをついている気がしますね。
●獅子神レオはインドネシアへ還る
同じく、「ローズガンズデイズ season1 感想その1 マダム・ローズと日本人たち」で、
「レオ獅子神が戦中にいた場所は多分インドネシアじゃないかなー」
と推測しておりましたが、season2でもっと詳細な描写が出まして、やっぱりインドネシアで間違いなさそうですね。東インド会社への言及がちょっと出てきますが、これはオランダ東インド会社とみるのが適当かなと思います。
いや、まあ、この物語はフィクションなのですから、「インドネシアという国が存在しない架空世界」であるという可能性すら考えることができます。が、「明らかにインドネシアをモデルにした南方の国」くらいのことは間違いなく言ってよろしいでしょう。
ちょっと長くなりますが、かいつまみつつ、引用してみます。
「俺は、とある南の国で、そこで教官をやっていたんだ。」
*
「日本が降伏して引き上げになるまで、敵さんは攻めてこなかったからな。」
(略)
「俺はあいつらに、たくさんのことを約束したんだ。」
「あいつらはみんな、純真に信じてくれたよ。」
「理想を語り合いながら、どんな苦しい訓練にも、歯を食いしばって頑張ってた。」
(略)
「俺は、……やつらとの約束を、裏切ったんだ。」
「………え?」
「……俺が守ってやる、俺が叶えてやる。」
「そう約束したのに、………俺が自ら、裏切ったんだ。」
*
「戦時中。……俺は南の、ある遠い国に行っていた。」
「うん。」
「気の毒な国でな。……東インド会社の時代からずっと数百年間にもわたって、その国は外国の植民地だったんだ。」
(略)
「俺の仕事は、彼らに自分の国を守る方法を教えることだった。」
(略)
「……どいつもこいつも、若々しい、いいヤツばかりだった。」
「彼らにはみんな、郷土への誇りがあった。」
「200年以上もの間、失われていた民族のアイデンティティを取り戻せるかもしれないと、情熱に燃えていたよ。」
若いレオにとって、そんな若者たちはどれほど輝いて見えただろう。
レオは彼らと誓い合った。
彼らの郷土の独立を勝ち取る戦いの日、きっと共に戦おうと。
レオは、日本軍はその為にここへ来たのだからと胸を張ったのだが……。
*
そして1944年4月1日。
列島規模での激甚大災害が発生。戦争は唐突に終わりを告げる。
レオたちにも、直ちに武装解除の上、帰国することが命じられた。
その後には、連合軍として、元の支配国の軍隊が再上陸するという。
若きレオにとってそれは、これから独立を勝ち取ろうと意気込む彼らを、見捨てろと言われたように聞こえた……。
*
「日本に帰って来て、……復員局で新聞を読んだ。」
(略)
彼らはその国の各地で義勇軍を作り、立ち上がっていたのだ。
彼らにとっての真の戦いの日は、レオが収容所で自暴自棄になっている間に、もう訪れていたのだ。
「あいつらは今、その国の各地で義勇軍を作って、独立の為の戦いを挑んでる。」
「その日を夢見て、汗をぼたぼた垂らして訓練してきたんだ。」
(ローズガンズデイズ season2)
前の記事にも書いた通り、日本軍のインドネシア駐留軍政府は、インドネシアにインドネシア語での教育体制をつくり、また志願した若者に軍事教練をしたそうです。教育と軍事教練を通じて、
「インドネシアを国として独立させよう! もちろん日本が全面バックアップする。オランダが襲ってきたら一緒に戦うんだ」
という方向に持っていったわけです。
が、インドネシアを独立させる前に日本は降伏しちゃったので、インドネシアの若者はハシゴを外されちゃったような状態になりました。
ハシゴを外されても、インドネシアの人々は独力で独立戦争を始めました。
もしレオがインドネシア駐留軍政府の士官であったと仮定する場合、彼は「現地の人々に夢を語っておきながら、最後まで面倒見ずに逃げだした男」ということになります。
そのことにずっと負い目を感じている……。
というふうに見た場合、描写と整合するので、きっとレオの戦場はインドネシアだったろう……と想像できたわけです。
だいたい、その通りとみてよろしいかなって思います。
Wikipediaによれば、オランダ東会社がジャワ島に設立されるのが、ちょうど徳川幕府の開府と同じ頃ですから、「数百年間の植民地」ということになります。また、オランダ東インド会社が「17世紀後半にはマタラム王国を衰退させ、そして1752年にはバンテン王国を属国とすることに成功した」とのことですので、「民族のアイデンティティが200年間も失われていた」も合います。
ところで、話は急に変わって、しょうもない余談になりますが……
再びインドネシアに渡ったレオ・獅子神は、きっとインドネシアの義勇軍でも頭角を現したでしょうから、現地の指導者であるスカルノ(のちの初代大統領)との面識を持つ可能性が高そうです。
ひょっとして、すでに軍政府時代からスカルノと面識があったかもしれませんね。
そして、わたしたちの現代日本でテレビによく出演してらっしゃるデヴィ夫人。時々知らない方がいるみたいなのですが、デヴィ・スカルノさんはスカルノ大統領の第3夫人であられます。(イスラムなので奥さんを4人まで持てるのですね)
というわけで……
インドネシア独立戦争をうまく生き延びた場合、レオ・獅子神はデヴィ夫人と面識ができて、なんと2人は知り合い同士! という可能性が出てくるのでした。
デヴィさんは国籍はインドネシアですが日本生まれの日本人ですので、ますます知り合う機会があります。
なんだかそう思うと、うっかり「デヴィさんにレオ獅子神のことを問い合わせたい」という欲求が芽生えてしまうわたしなのでした。あぶないあぶない。
(「日本人なのに西洋名を名乗る人々」という点でも、ローズガンズデイズとデヴィ夫人には共通項があるのですが、これはちょっとうがちすぎですね)
しょうもない余談おわり。
●ワンダリングドッグ登場
わたしはワンダリングドッグ編のほうが好きです。
オリバー、チャールズ、ニーナの3人組。これが、じつにかわいい。
ゴニョゴニョしたことを先にさっと述べますが、ツェルはちょっとアレというか、まぁハッキリいうと、わたしはあんまり好きじゃないかもしれません。
なんかこう、見透かしたところがあるというか、「くっくっく、計算通り」キャラに見えるところがありますね。今のところ、ツェルさんは「がんばってるヤツ」ではなく、「がんばってるヤツらをうまく操縦するヤツ」になっており、ふつう、人は、がんばってるヤツを応援したくなるものなので、3人組の隣にいることで、ちょっと割を食っているところがあるように思います。
3人組のほうは良いですね! キャラクターデザインが良いし、3人の個性のバランスがいい。
3人が揃ってうだうだしているところがいちばんおもしろいわけなのですが、特に一人を選ぶならニーナが良いかな。
●「あなたは満州に行っていましたね?」
今回のseason2には、
「ツェルという人は、いったい何者だ」
という一種の謎があるわけですね。
断片的に提示された情報を、大ざっぱにまとめると、
・日本語ベースで思考しているが、中国語もすんなり理解できる
・小蘭(チャイナタウンの少女エージェント)に監視されている
・格闘技の動きが体にしみついている
といった感じでした。
わたしが、何となく想像したのは、
「満州生まれ、もしくは満州育ちの日本人子女」
ということではないかなー。ってことでした。以下、想像を自分かってにふくらませます。
(満州でなくとも、中国本国でもいいし、金蔵と同じく台湾でもいいですが)
ツェルは思考言語が日本語だそうですから、日本人の家庭に生まれ育ったはずです。
しかし同時に、中国語を「そのまますんなり」理解できると言うのですから、中国語が周囲に飛び交っているような環境で育った可能性が高いのです。
少なくとも、「大きくなってから、勉強して、中国語ができるようになった」のでは「ない」と考えられます。
ということを鑑みれば、「満州か中国か台湾で生まれ育った日本人」という結論がごく穏当に、得られるわけですね。
その中では、満州が有望だろうと思えました。
われわれの(実在の)歴史を元にするならば、日本は満州を植民地化して「満州国」をつくりました。そして「満蒙開拓移民」といって、希望者をつのって日本人を満州に移民させていったのです。
これから国を建設していく満州には、仕事もチャンスもいっぱいありますし、今から経済が発展していくのだから早めにおいしい所を押さえておいたほうがいい。しかも現地には日本軍の大軍が駐留しているわけで、軍隊というのはそれ自体が巨大な消費圏ですから、周囲にいればおいしい商売もできそうだ。
そういうふうにして、「よし、いっちょう満州で一旗揚げようか」という人々が……特に貧困農民層(このまま日本にいてもあまり先がない)を中心に、いっぱいいたそうです。
そういう日本の開拓移民の家庭に生まれて、中国語の飛び交う土地で育った少女がツェルなんじゃないかな、と想像しました。
●「中国大陸に進出した日本」という背景
ツェルがもし満州にいたキャラだとしたら、それは、
「中国大陸に進出した日本」
という要素をフィーチャーするためのギミックだろうと思います。
前の編の主人公であるレオが、
「日本の東南アジア進出」(日本人とインドネシア人)
という状況をバックグラウンドとして背負っていたのと同様に、
今回の主人公であるツェルは、
「日本の中国大陸(もしくは台湾)進出」(日本人と中国人)
というバックグラウンドを背負っており、
それにからめた物語が語られることになるのかな……というのが、わたしの想像です。
ゲーム本編を読んでいる途中の考えでは、わたしは、
「おそらくツェルは、中国で生まれ育ち終戦を契機に日本に引き揚げてきた人で、『現地の日本人から見た日本の満州国経営』みたいなことを語るためのキャラなんじゃないかな……」
といった想像をしていたのですが、その後、
「あ、違うかも」
ハタと気づきました。
こうかもしれない。
「ツェルは中国で生まれ育った日本人少女で、終戦時に、引き揚げ船に乗ることに失敗し、大陸に取り残された」
そっちのほうがドラマチックで、語れることが多そうだ。
つまりツェルは「中国残留日本人孤児」問題の少女だったりするのではないかな……。そっちのほうが有望そうです。
●残留日本人孤児
中国残留日本人孤児、という問題が、80年代に取りざたされ、帰還事業が盛んに行なわれていました(行なわれたそうです)。
太平洋戦争末期、ロシアが日本に宣戦布告して、満州に侵攻してきました。満州は日本人が多数入植しています。
ロシア軍が攻めてきたら、殺されたり財産を奪われたり収容所に入れられたり強制労働させられたりもっとひどい目にあわされたりそれはもうエライことです。
ですから日本は、引き揚げ船を仕立てて、満州の日本人を本国に避難させようとしました。
でも、船に乗れなかった人が、そりゃもういっぱいいたわけです。Wikipediaの「満蒙開拓移民」によれば、満州開拓移民の総数は27万人ないし32万人。うち日本に帰還できたのは11万人あまり。残りは大陸に取り残され、死んだり、シベリア抑留の憂き目にあったりした。
避難のドサクサで家族と散り散りになって、そのまま二度と会えないなんていう話もザラでした。治安とか秩序とかないに等しかったそうなので、事故やら暴力やらできっと人がいっぱい死んだりしたでしょう。
そのようにして、親を失って孤児になってしまった子供がいっぱいいた。
そういった子供たちのうち、多少運の良い子は、中国人家庭に引き取られて養子になり、生き延びました。
そして何十年もあと、日中国交正常化がなされたのをきっかけに、「満州で離ればなれになった兄弟や家族は今どうしているのか。会いたい」という声が日本国内から上がって、中国残留日本人の捜索が行なわれたわけです。中国人家庭で生き延びた孤児たちのうち一部は、壮年になってようやく、日本の土を踏むことができました。
そういう話があります。
それをふまえて、ツェルのことを考える。
●金龍会のエージェント
ツェルが満州に入植した日本人の娘であり、大連港の引き揚げ船に乗れずに、中国大陸に取り残された境遇である……と仮定した場合。
ツェルはちゃんと生き延びているのですから、現地で中国人の保護を受けた可能性が高い。
そこで、「ツェルは小蘭によって監視されている」というポイントを思いだします。
小蘭はうめきゅうさん……李梅九の部下でした。
李梅九はチャイニーズマフィア金龍会の幹部です。
足し算しますと、
「満州で孤児になったツェルは、現地で金龍会に拾われた。そして戦闘技能や様々な知識を教え込まれて、小蘭同様、マフィアの工作員となったのである」
……といったストーリーを想像することができそうなんです。
中国マフィア金龍会は、「戦勝国民として、これから日本に乗りこんでいって、ばんばん権益を切り取ってやろう」という思惑を当然持っていた。
そんなおり、日本人少女のツェルを拾う。
日本人少女は、当然のことながら、日本人としての生活習慣を完全に会得しているわけですから、日本社会に完全に溶けこむことが出来ます。
中国人が日本人のふりをしても、必ずどっかでボロがでます(これは逆でも同じです)。有名なところでは、「タオルを渡して顔を拭かせてみると、日本人か中国人かは一発でわかる」なんて話がありますね。
ツェルのような人材を手元に置いて、育成し、手先にして、スパイだとか工作員として利用するのは、これは便利にちがいありません。
だから拾って、スパイとして完全に育て上げたところで、金龍会はツェルを日本に連れてくる。日本の闇社会にまぎれこませて、情報収集や工作活動にあたらせる。
ところが。
運悪く交通事故が起こって、ツェルは記憶喪失になってしまい、しかもマダム・ローズの客分に収まってしまった。
金龍会としては「危険だが、おもしろい」状況になりました。
ツェルが記憶を取りもどしたとき。
もしプリマヴェーラが、「ツェルは金龍会のエージェントだ!」と気づいてしまった場合、ツェルの口から金龍会の重要な情報がダダ漏れになる危険性があります。
しかし、同時に今、
「ツェルはプリマヴェーラの中枢に食い込み、幹部たちから大きな信頼を得ている」
という、素晴らしい状況にあるのです。
これを利用しない手はない。うまく記憶を回復させ、ツェルのコントロールを取りもどすことができるのであれば、プリマヴェーラの内部情報を切り取り放題です。
もっといえば、例えば、
「マダム・ローズを暗殺し、その罪をグランドボスのサイラスに着せる」
くらいのことだって余裕でできそうです。
だから、梅九は小蘭を使って、ツェルを注意深く監視させる。
小蘭は、おそらく年齢的にいって、「ツェルと一緒に育った」可能性が高そうです。だから小蘭は「姉妹分の間柄であるツェルが個人的に心配だ」という気持ちもあって、見守っており、ときどき助力を与えたりする。
●プリマヴェーラにとっての切り札
そのようなストーリーを(わたしが勝手に)仮定した場合、ツェルは金龍会にとっての強力な切り札なのですが、
しかし同時にツェルは、「プリマヴェーラにとっての強力な切り札」にもなりえます。
現在の彼女は記憶喪失です。
この記憶喪失状態のあいだに、マダム・ローズの世話になっているうちに、ツェルはマダム・ローズに心酔するようになってしまう可能性があります(実際そうなりつつある)。
彼女の記憶が戻ったとき、「やっぱり私、マダム・ローズの役に立ちたい」とツェルが考えた場合。ツェルは金龍会に対しての逆スパイとして機能するかもしれません。
例えば、金龍会に戻ったはいいが、金龍会内部でこっそり、プリマヴェーラの有利に働くような工作をしたり。情報を流したり。
(そしてそういう動きが小蘭に見破られて、一対一で小蘭と戦闘になったり)
そのようにして、
「金龍会にとっても、プリマヴェーラにとっても、ツェルは最後の切り札」
であるという状況が発生し、
ツェルはこの物語の「vs.チャイニーズマフィア編」のキーパーソンになっていく……というような物語になるのかな、なっていったらいいなー、というのが、わたしの予測しているローズガンズデイズ次回の展開です。
どうかしら。
●マダム・ジャンヌの正体
前回同様、あいかわらずわたしは、「マダム・ジャンヌの正体はクローディアが最有望」と思っています。
何人かの人に、「ジャンヌはクローディアだと思うんだけど、どう?」といったことを振ってみたら、
「いやー、クローディアはないっしょ」
という反応が支配的でしたので、ますますクローディアが有望だなと思うようになりました。
*
以上です。
■season3の感想はこちら→ ローズガンズデイズ season3 感想「理想の日本人」とヤクザたち
■ローズガンズデイズ 目次■
記事、拝見させて頂きました。特にツェルの元スパイ予備軍の予想が凄く良いなと思いました。
私はseason1の最後の次回予告を見た時、ツェルは“日本人の要人の子供・中国に拉致された要人関係者”かなぁと考えていました。しかし今回のseason2を読了後、元スパイの設定の方がしっくりきました。何より展開的に面白いです。
個人的にはツェルと小蘭の眉毛が少し似ているのが気になりますね。血が繋がっている可能性が有るのか、と。
ところで一つ質問があります。
私もクローディアがジャンヌだと思っています。その理由として
醤油戦争の話をウェインに語り手を譲る→「あなたが話した方が正確だわ」→ジャンヌは直接的にプリマヴェーラの事件等に関与していない?→プリマヴェーラの中心的存在から話を聞いた?→プリマヴェーラに関与できて尚且つ中心的存在であったローズと仲の良いクローディア
といった感じです。
クローディアの立ち位置が語り手としてもっとも合うのです。
しかしジャンヌ自身の言葉で「1950年より前の話は、あなたが話した方が正確」「だって、この頃、私はまだプリマヴェーラにいないのだから」と否定もしているのです。
そこについて何かTownmemory様は何かお考えがありますでしょうか?それが個人的にとても気になっています。
最近はアマンダがジャンヌなのではと少し思ってきました。理由と言えるものはありませんが、【髪の毛の色が似ている・一度プリマヴェーラを抜けて外からの視点を持つ立ち位置となった】といったものです。
長文失礼致しました。
また思った事、些細な事ありましたら是非更新して頂けたらと思います。とても楽しみにしております。
こんにちは。お返事とか、お返事のお返事とか、そのタイミングとか、あまりお気になさらないようお願いします。わたしもしたいときにしたいだけリプライします。気が向かなければそのまんまです。
「まだプリマヴェーラにいない」発言は、きっとだれかに指摘されるだろうと思っていました(^^)。
わたしの理解はごく単純な話で、このときクローディアは、出したばかりの自分のお店で「ふぅ、お醤油たかいなぁ…」とか思いながらうどんを打っておりますのでプリマヴェーラにはいません。かつて彼女はプリマヴェーラの夜の女でしたが今はそうではないわけです。また彼女のお店は、夜の女性たちの互助連合会としてのプリマヴェーラに参加しています(そんなことが書いてありました)が、マフィア組織プリマヴェーラファミリーの傘下に入ったという感じはしないのです。たぶん傘下に入ってないと思います。
たとえば、クローディアのお店は、「互助会の会費」はきちんきちんと納めていそうな感じがします。でも、マフィアファミリーに「上納金」を納めていそうな感じはしません。そういう手触りです。
他の考え方としては、「組織の中心部にアクセスできる立場ではなくて、状況を何も知らない」ことをもって「プリマヴェーラにいない」と言っているのかもしれないですしね。
マダム・ジャンヌの正体をクローディアだと思って読んでいるわたしとしては、「まだプリマヴェーラにいない」発言は、デコイにみえました。
この発言を見た人はたいてい、「ああ、じゃあマダム・ジャンヌはまだ物語に登場していないのかな」と素直に受け取ると思います。ところがそうじゃなかった……くらいのことは普通にあるのが、07th作品のような気がします。
竜騎士07さんという人は、ちょっと出典を忘れましたがどっかのインタビューで、
「碑文を解きたい人は、金蔵の故郷がどこなのかを、それこそ北海道から沖縄まで精査して探し当てなければならない」
というフカシたことをおっしゃっていました。皆さんご存じの通り、金蔵の故郷は台湾だったわけで、「北海道沖縄発言」は、みごとにミスリードとして作用していました。
ネットで碑文台湾説が提案されたとき、この発言を根拠にして、「金蔵の故郷は国内にあるはずだから、台湾説が正しいわけがない」と主張するひとが、いっぱいいたのです。
竜騎士07さんはこういう「コトバのひっかけ」を使うのが大好きな人なのですから、はっきりいって、作中のコトバも作品外のコトバも、彼のコトバはひとつとして額面通りには受け取れません、というのが、わたしの読み方です。
そして、
「あなたのコトバはひとつも額面通りに受け取れない」
というのは、ミステリー作家にとっては勲章なのです。もちろん。
そんなカンジです(^_^)
私はRosesGunsDaysの中で『ジャンヌの正体は?』という問いに結構重要な点として見ています。
以前コメント欄にも書かせて頂きましたが、RosesGunsDaysはうみねことは逆に、猫箱を開いていく物語だと思っています。八城十八、或いは日記の立ち位置であるジャンヌの正体が全くの予想外である事を期待しています。
ジャンヌがクローディア・・・という予想は顔があまりにも違うような気がします。(小蘭とツエルのまゆ毛の相似にまで言及するなら)
年齢的には・・・ツエル・・・??などとあまり働かせたくな勘が訴えているのですが・・・でも、やっぱりクローディアかな・・・あのメンバーの中でお醤油という1つの具体的な日本文化にこだわっているのはクローディアだと思うから。
こんにちは。お読みくださってありがとうございました。わたしなどは、クローディアはいちばんジャンヌと顔が似ているとか思っております(^_^)。