さいごのかぎ / Quest for grandmaster key

「TYPE-MOON」「うみねこのなく頃に」その他フィクションの読解です。
まずは記事冒頭の目次などからどうぞ。

FGO:アルトリアはなぜ特異点Fで踏み止まっているのか

2025年02月11日 18時08分06秒 | TYPE-MOON
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FGO:アルトリアはなぜ特異点Fで踏み止まっているのか
 筆者-Townmemory 初稿-2025年2月11日


 特異点Fとアルトリア・ペンドラゴン・オルタについて、ちょっと思いついたことがあるので書きます。

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■第一部序章 炎上汚染都市冬木

 特異点F、炎上汚染都市冬木というのが、FGOの最初のエピソードでした。カルデアスから文明の光が消えて、どうやら今年だか来年だか再来年だかに人類は滅亡するとわかった。
 ほぼ同時期に、2004年の日本の冬木市に「特異点」(時間軸から切り離されたポイント。ここで起こった事件によっては、のちの歴史が大幅に改変されてしまう危険がある)が発見され、どうやらこれが人類滅亡のキーポイントだと判明する。

 カルデアから48人のマスター候補生が特異点Fにレイシフトしようとしたところ、爆破テロが起こって47名が活動不能になる。
 レイシフトに成功したのはぐだとマシュとオルガマリー所長のみ。

 現地の助力者キャスター・クー・フーリンを得て、特異点のボス・アルトリアオルタを倒したところで、カルデアにいたはずのレフ教授が現れ、自分が爆弾魔だと自白し、オルガマリーをカルデアスに放り込んで殺害したあげく姿を消しました……というのが大まかな流れでした。

 ボスは倒して、黒幕は取り逃がして、でもまあ、いったんタスクは完了ですね。
 となるはずが、どうもきな臭さが続いている。

 ひとつには、ボスを倒して、なぜか続いていた聖杯戦争を終わらせ、これで特異点は消えるはずなのに、なぜか今日にいたるまで、特異点Fはずっと存続している

 ふたつめ。第二部第6章アヴァロン・ル・フェで、キャスター・クーフーリンが再登場するのですが(賢人グリムと名乗っていた)、ぽろっとこういう思わせぶりなことを言う。

(賢人グリム)
ひとつめ。カルデアとの関係。
オレは、冬木でおまえが契約したアイツと同じだ。

いったん英霊の座に戻って初期化されてはいるが、
(藤丸立香)とオルガマリー、

今もあそこで踏み止まっている
アーサー王のコトは記録として持っている。
『Fate/GrandOrder』妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ 19節(下線部引用者)



「アルトリアがあそこで(特異点Fで)踏み止まっている?」


 みっつめは、特異点Fのメモリアルクエストで敵として登場したアルトリアオルタが、「人理の防人」というスキルを使用することです。
(私はこのクエスト通ってないので伝聞)

 人理の防人というのは、語感だけで解すれば、「人類の世界を守るために瀬戸際で戦う人」くらいの意味合いでしょうか。
 このスキルを持ってたり使ったりできるのは、彼女のほかにはUーオルガマリーと、終局特異点メモリアルクエストのカルデア勢だけです。「ゲーティアと戦うカルデアのような姿勢をアルトリアオルタも持っている。彼女は人類のために戦っている」という感じになりそうです。

 まとめると、

・倒したように見えたアルトリアオルタは、まだ特異点Fに立っている。
・それは人類の世界を瀬戸際で守るためである。
・そのために特異点Fはいまだに消えずにあるのだ。


 ……そりゃまたいったいどういう事情で? と疑問が噴出するばかりです。はっきり「こうだ」といえるほどの意見はないのですが、その周辺におもしろそうなストーリーが見いだせたので、それについて。

 お題としては、

・特異点Fをプロデュースしたのは誰か
・アルトリアオルタは何を求めていたのか
・キャスター・クーフーリンの目的は何か
・その後のストーリー展望


 です。


■そもそも冬木市とは

 冬木市は、Fate/stay night系統の世界線で、5回にわたって聖杯戦争が行われた場所です。人間とサーヴァントが2人で一組となり、七組でバトルロイヤルをし、勝った一組は聖杯になんでも願いを叶えてもらえる。

 特異点Fが発生した2004年は、5回目の聖杯戦争が行われた年。この事件が『Fate/stay night』で語られました。

 いっぽうFGO世界でも、2004年に冬木で聖杯戦争が開催されています。FGOでは、2004年の聖杯戦争が「第1回だ」という情報があるのですが、本稿ではあまり関係がないので深く取り上げません。
(第1回だというのはたぶんニセ情報だ、と考えていますが)

 FGO世界における、2004年の(第一回)冬木聖杯戦争に、カルデアの元所長マリスビリーが参戦したそうです。

 マリスビリーはサーヴァントとしてキャスター・ソロモンを召喚して、たぶん危なげなく他の6組を始末した。
 ソロモンは人間になることを望み、凡人ロマニ・アーキマンになった。
 マリスビリーは巨万の富を得ることを望み、その富を使って、カルデアスを完成させた。

 さらにマリスビリーは、冬木の聖杯を解析したか何かして、英霊召喚や令呪システムを取得した。つまりはサーヴァントを自在に呼び出せる技術を開発した。
 カルデアスと英霊召喚システムのおかげで、カルデアは人理焼却や地球白紙化と戦えるようになったという流れです。そうでしたよね?


■マリスビリー、レイシフター説

 さてさて私の話をする前にひとつ。
 最近、特異点Fを扱った記事や動画をまとめて読んでいたのですが、その中で私の心にぐっときた動画をひとつご紹介しておきます。


れもんまい(さん)
【FGO考察】特異点Fに関する現状の論理的考察


 何がよいのかというと、(1)理屈に納得がいき、(2)その周辺で展開されるストーリーが魅力的っていうことです。

 おもしろいことがたくさん語られているのですが、本稿に関係あるのは、「マリスビリーは過去の自分にレイシフトした」という部分です。その部分を要約しますと、

・マリスビリーはカルデアスの完成前に自分が死ぬことを知った(資金難)。
・マリスビリーは2004年に聖杯戦争が行われていたことを事後に知った。
・マリスビリーは2004年以前の自分にレイシフトした。
(過去世界に自分自身が存在する場合のみ、コフィンなしでもレイシフトできる。現在の自分は消滅するが、現在の知識を持ったまま過去に戻れる)
・マリスビリーは2004年の聖杯戦争に参加し、勝利した。
・それで得た資金でカルデアスを完成させた。

 ようするにレイシフトを使えば現在の知識を持った上で過去に戻ってやり直しができる。
 おそらく冬木に誰がどんなサーヴァントを連れてくるのかを調べ尽くして、敵の手の内を知った上で、キャスターのマスターをあらかじめ排除しておき、自分は最強のキャスター、ソロモンを連れて行く……という万全の体制をとったものと思います。

 マリスビリーのレイシフトによって、2004年以降の歴史は大きく変わった、ことになりますね。本来の歴史では、カルデアスは完成せず、カルデアは組織として正式稼働することなく、そのままずるずると解体となっただろう。
 しかしマリスビリーのレイシフトによって、カルデアスが完成するので、カルデアは我々が現在知るかたちとなった。つまり巨大な戦闘能力を持ち、歴史を操作することすら可能な組織となった。

 以上のことは全部受け売りなのですが、私はこれがいいと思ったので、乗っかりました。以降、この前提で話を進めます。


■特異点Fをプロデュースした者

 特異点Fを誰が作ったのかは知りません。
(マリスビリーによって歴史改変が行われているので、「マリスビリーの聖杯戦争勝利」が特異点を作った、とするのが整合感がありそうですが)

 でも、特異点Fを「現在のかたち(序章の状況)」にしたのは、レフ・ライノール教授だと思います。これは普通の考え方ですね。

 ぐだとマシュ(とオルガマリー)は、2004年の(FGO世界)聖杯戦争のまっただなかであるはずの冬木市にレイシフトします。

 すると街は燃えていて、黒いドロドロがドロドロ湧き出しており(だったかな)、あたりには黒く染まったサーヴァントがウロウロしており、柳洞寺には黒く染まったアルトリアオルタが仁王立ちしているわけですね。マリスビリーとソロモンはいません。
 記録上では、街が燃えたりドロドロしてたりはしなかったはずなので、これは異変が起こっている、と一発でわかるようになっていました。

 ……ところで、「コリジョン」という話がありますね。いろんなところで抜粋転載されているから、内容は知っているのですが、出典がわかりません。奈須きのこさんは読者との一問一答で、以下の要約のようなことをおっしゃっていたようです。

●問・特異点Fの聖杯戦争はすり替えが行われたとのこと。すり替え前はstay nightの面々で戦っていたのか?
●答・そう解釈して下さい。入り交じってデータのコリジョンが起きたのでサーヴァントの黒化やクラス変更が起きている。


 コリジョンというのは衝突という意味だそうで、「本来の聖杯戦争に別次元かどっかの聖杯戦争がバーッと落ちてきてガーンとぶつかってごちゃまぜになったので、ああいうありさまです」くらいに理解されているようです。ですよね?

 私の理解でもそうです。
 ひとつの冬木市にふたつの聖杯戦争が重なり合っている、と。

 ふたつの聖杯戦争のうち、ひとつは、マリスビリーが参加して勝利した聖杯戦争(だろう)。
 もうひとつは、どっか知らない時空で行われたよく知らない聖杯戦争である。オルガマリーから見て「こんなの知らない」と思うような事象が特異点Fにあったら、それは「どっか知らない聖杯戦争のほう」に由来する可能性が高いだろう。

 で、「どっかの知らない聖杯戦争」を見つけてきて、かつぎあげて、マリスビリーが参加したほうの聖杯戦争にドッセーイ! とぶつけた人が、レフ教授なんじゃないかというところから話が始まるわけです。やっと本題。


■歴史を正すレフ教授

 マリスビリーがタイムスリップして参加する前の、本来の聖杯戦争。ようはマリスビリーが存在を知らなくて見過ごして、「あー! あれに参加できてりゃよかった!」と思うほうの聖杯戦争では、セイバーが勝利したとのことです。

 マリスビリーがレイシフトで過去に戻って、キャスターのソロモンと一緒に勝利して、これをくつがえしてしまった。

 レフ教授からみるとこれはどうなるか。

 レフ教授はゲーティアの使い魔です。ゲーティアは人類の歴史をまとめて焚書してやろうと画策している方です。具体的な方法は、人類史に特異点をいくつも作って、歴史をぐちゃぐちゃに改ざんし、人類史をあいまいなものにする。人類史が地面からはがれてペラペラした状態になるので、ライターで火をつけやすくなる。

 そんなレフから見て、マリスビリーが聖杯戦争に勝つということは、マリスビリーが巨万の富を得てカルデアスを完成させ、組織としてのカルデアが機能しはじめることを意味する。

 カルデアは、タイムスリップ能力と戦闘能力と特異点を見つける能力を同時にそなえた組織です。つまるところ、ゲーティアがぐちゃぐちゃにしようとした歴史を、きれいに整頓して元に戻す能力を持っている。ゲーティアを阻止しうる唯一の人類側組織がカルデアだ。これは脅威である。

 順当にセイバーが勝利していたら、レフは何もしなくてよかったはずです。カルデアは特異点を見つけられないし、英霊召喚も実用化されない。マリスビリーの死後、カルデアはスポンサーを失って、ゆっくり解体されてったことでしょう。

 さらに重要なことは、マリスビリーが勝たずカルデアスが完成しないということは、地球白紙化が起こらないということです。ゲーティアが2016年を境に人理焼却を起こすのは、2017年からマリスビリーが地球白紙化を起こすためです(よね?)。
 地球白紙化が起きないのならば、なんならゲーティアは人理焼却の開始をあと1000年待てます。燃やす薪が増える。

 でもセイバーの勝利が撤回されて、キャスター陣営(マリスビリー)が勝利したので、ご主人にとっての脅威が発生してしまった。ご主人の企みに対抗しうる唯一の組織が存在するタイミングで、人理焼却を始めなければならない状況になってしまった。
 なんらかの対処をしなければならない。どうする?

 キャスター陣営(マリスビリー)の勝利を撤回し、セイバーを再び勝利させればよい。
 そうすればカルデアスも白紙化もなかったことに「戻る」。

 どうやってそれをするか。

 別の世界から別の聖杯戦争を持ってきて、現状の冬木聖杯戦争に重ねる。重ねた上で、セイバー勝利の結末を導く。すると結果が上書きされ、歴史は再改変され、キャスター陣営は勝たなかったことになる。聖杯を手に入れられず、カルデアスは完成しないことになる。
 念には念を入れて、カルデアのマスター候補生をまとめて全員爆死させておく。カルデアのマスターたちが大勢で特異点Fに押しかけてきて、みんなでよってたかってセイバーを攻撃しだしたら迷惑だからだ。

 ようするにこの案では、レフ教授は、マリスビリーによって改変されてしまった誤った歴史を元に戻そうとする人なわけです。

 カルデアスの表面が真っ赤に染まって人理焼却の様相を呈するのは、ぐだたちによってアルトリアオルタが打倒された直後からです。
 この事態は、ふつうの感覚で見たら、「アルトリアが倒れてくれたおかげで、人理焼却を始めることができた」と見えます。
 しかし、これを本稿では「セイバー陣営の勝利を導けなくなった(カルデアとカルデアスの成立が確定した)ので、カルデアが存在するこの最悪のタイミングで人理焼却を開始せざるを得なかった」レフとゲーティアの苦渋の選択だとみるのです。


■アルトリアがレフに従う条件

 ぐだとマシュとオルガマリーが放り込まれた冬木は、アルトリアが黒い王様になっており、大聖杯から黒いドロドロがドロドロしている状況でした。

 これを、レフ教授がコリジョンさせた「どっか別次元の聖杯戦争」の様相だと考えることにします。

 アルトリアが黒くなって大聖杯がドロドロしているということは、大聖杯にアンリマユが入り込んで悪意で汚染されている状態だと考えられます。第三回か第四回でアインツベルンがアンリマユを召喚したのちの第五回、くらいでしょう。

 本案でのレフ教授は、この聖杯戦争をFGO世界の聖杯戦争にどっせーいとぶつけてぐちゃぐちゃにしたあげく、アルトリアに「すまないけど君にぜひ勝ってもらいたいんだ」と言わねばならない。そんな状況はどうしたら発生する?

 例えば。

 聖杯戦争にアルトリアが勝利し、「大聖杯が汚染されているとは気づかずに」ブリテンの滅びの撤回という悲願を願った、と考える。

 汚染された大聖杯は、願いを悪意で叶える呪いの願望機でした。汚染大聖杯は、アルトリアの願いを例えばこう叶える。

 地球上の全人類を殺害する。
 その上でアルトリアを不死にする。
 アルトリアはブリテンそのものだ。ブリテンは今後、絶対に滅びることなく永遠である。


 この案の根性の悪いところは、これがカムランの丘の再現になっているという点にある。

 アルトリアは、自国の民と兵が死に尽くした戦場の丘で、たった一人の生者となり、膝をつき、時間を止めて、永遠に近い時間をただただ耐えているという境遇にあります。
 この滅びの結末を書き換えるために、聖杯がこの世に現れるときを、たった一人で待っている。
 聖杯がどこかに出現すれば、その場所に召喚され、手に入れるために争い、破れればまたカムランの丘に戻って、自国の滅びの景色を見続ける。
 そういう拷問のような境遇にありました。

 願いを叶えた結果、その拷問とまったく同じ境遇が発生するのだからこれはもう最悪だ。こんなの思いつく奴はよっぽど性格が悪い。これがおまえの求めたものだ! わはははは! わははじゃねえよ。

 そこにレフ教授が現れる。君にリトライチャンスをあげよう。

 今からべつの世界の冬木に君を案内する。ふたつの冬木市は重なってひとつになり、ひとつの冬木市でありながらもうひとつの冬木市でもあるという状態になる。
 そこには汚染されていない大聖杯があるのだ。
 そこでもう一度聖杯戦争を始めよう。君がそれに勝つことができたなら、この結末を撤回することができるだろう。

 レフはおまけとばかりにアルトリアに聖杯を与える。これは、彼女の願いを叶えるほどの力はないが、魔力ブースターにはなる。アルトリアがこれを持てばバーサ-カーすら一騎打ちで倒せる。特異点に聖杯を放り込む、はゲーティア一味のお家芸だ。

 この条件なら、アルトリアはレフの誘いに絶対に乗っかる。

 以上の条件が成り立つ場合、特異点Fに人っ子一人いないのは、汚染大聖杯が人類をすべて死滅させたためである。
 アルトリアがオルタ化しているのは、汚染大聖杯が願いを叶えたときに泥が吹き出したからである(例えば)。
 龍洞寺に汚染大聖杯があるのは、アルトリアとともにそこに来たからだ。

 アルトリアにとって絶対に負けられない戦いが始まる。全身全霊で戦うことになるだろう。アルトリアの勝利はレフの勝利でもある。レフはもう、手に汗握って旗を振って応援していたことでしょう。

 ところがそんなアルトリアの耳元に、ふとささやきかけるロクデナシの声があるわけです……というふうに想像は続きます。


■勝っても負けても駄目

 ささやきかける声は、ロクデナシマーリンでもいいし、クー・フーリンに助力しているオーディン(推定)でもいいし、他のだれでもよいです。

「君は勝っても負けても駄目だよ」

 マーリン(仮定)は、勝った場合と負けた場合のそれぞれのビジョンをアルトリアに見せる……と考える。

 アルトリアが勝てば、カルデアスのないカルデアはやがて解体される。ゲーティアは、カルデアがなくなったのを確かめて、悠々と人理焼却を始める。これを阻止できるすべを人類は持っていない。

 アルトリアが負ければ、人類の歴史が正しい位置に修正されない。マリスビリーが勝利し、カルデアスを作るという「誤った歴史」が続いてしまう。すると2017年の地球白紙化が確定する。それを避けるために、ゲーティアが2016年に人理焼却を開始する。

 どのみち人類は詰みに向かう。

 では、どうすれば……。

 サーヴァントが最後の一人にならない限り、この聖杯戦争は終わらない。終わらない限り、どちらの未来も確定しない。
 君へのオーダーは、この聖杯戦争を永久に続けることだ。

 アルトリアはそうせざるを得ない。時の止まった冬木で、千日手をくりかえす。

 アルトリアの手が止まったのを見たレフは、舌打ちし、後になってこう述べることになる。

(レフ)
……セイバーめ、おとなしく従っていれば
生き残らせてやったものを。

聖杯を与えられながらこの時代を維持しようなどと、
余計な手間を取らせてくれた。
『Fate/GrandOrder』特異点F 炎上汚染都市 冬木 11節



 アルトリアオルタは、勝利せよというレフの命令に従わず、「この時代を維持」しようとしていた。


■クー・フーリン(キャスター)登場

 なぜ事態が膠着しているのかといえば、アルトリアオルタが龍洞寺から一歩も動かないからだ。

 この時点で残っているサーヴァントは、アルトリアオルタとキャスター・クーフーリンのみ。
 キャスター・クーフーリンは、聖杯を持ったアルトリアオルタに独力で勝てるほどの力はない。一対一なら絶対負けるというパワースケールだろう。

 だからクーフーリンは自分からは絶対に仕掛けない。
 もしアルトリアオルタが自分の足でズンズン出張っていって、かくれんぼのあげくクーフーリンを見つけて「発見! エクスカリバー!」すれば聖杯戦争はセイバー勝利ですぐ終わる。
 でも、事態を膠着させたいアルトリアオルタは絶対にそれをしない。だから「この時代が維持」され続ける。

 アルトリアオルタは、亡者しかいない街の丘の上で、たった一人、立ち続けることになる。
 それはもうこういう意味だ。
 ここもカムランの丘だ。
 アルトリアの選択肢は、すべてがカムランの丘に通じている。


 さて、ところでクー・フーリン氏

 彼はとある「神サン」から命令と助力を受けて、意図的に特異点Fに侵入したと述べています。

(賢人グリム=クー・フーリン)
カルデアの面倒を見てやれ、ってのが
オレに権能を譲渡した神サンの意向でね。
(略)
まずはX地点である冬木で神サンから権能を譲渡されて
キャスタークラスになって、カルデアと縁を作った。
『Fate/GrandOrder』妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ 19節



 ここでいう「神サン」は、おそらく通説の通り、北欧神話のオーディン神です(説明等は省きます)。
「権能を譲渡されてキャスタークラスになって」とおっしゃっていますので、元はランサーとして聖杯戦争の盤上に乗っていましたが、コリジョンのドサクサでオーディンパワーが注入されて、キャスターに変更されたという事情になります。
 後述しますがたぶんキャスターであることがいくつかの意味で重要だった。「ソロモンが盤に乗る可能性を塞ぐ」ことも理由のひとつかな。

(彼の中身がどのくらいオーディンか、という議論があり、本論には関係ないのでざっと述べますが、特異点Fではオーディンの助力を得ただけで中身はほぼクー・フーリン、ブリテン異聞帯ではクー・フーリンなのはガワだけで中身はほぼオーディンだと思います)

 オーディン先生は大局的な視点で地球の状況を見ており、要所要所でカルデアを手助けしてくれている、ということが語られます。

(賢人グリム)
この神サンは魔術の神であり智慧の神でな。
“ここでこうしておかないと詰む”と先読みしたらしい。
(略)
人理焼却(デッドエンド)を解決したところで、
その次は人理再編(バッドエンド)が装填されている。

これはもうどうあっても回避できない。
前提条件が出来上がっていたからだ。

なんで、せめてこの異聞帯の問題を請け負って、
カルデアを少しだけ楽にしてやろうと考えた。
『Fate/GrandOrder』妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ 19節(下線は引用者)



 オーディンは、人理焼却と人理再編(白紙化)の両方を視野に入れていた。どっちか、あるいは両方が人類を襲うことがわかってた。

 それがわかったうえで特異点Fに介入してるってことは、アルトリアが勝とうと勝つまいと、聖杯戦争に終わりが来た段階で人類の危機が発生するっていう条件(本稿の仮定)を知っていたってことになります。

 そんなオーディンがクー・フーリンに与えたオーダーはなぜか、「聖杯戦争を終わらせる」だったのです。

(キャスター)
アンタらの目的はこの異常の調査。
オレの目的は聖杯戦争の幕引き。
『Fate/GrandOrder』特異点F 炎上汚染都市 冬木 6節


(キャスター)
永遠に終わらないゲームなんざ退屈だろう?
良きにつけ悪しきにつけ、駒を先に進ませないとな?
『Fate/GrandOrder』特異点F 炎上汚染都市 冬木 9節



 アルトリアオルタが、「このままダラダラ続けましょう」していた聖杯戦争に「幕を引く」。
 永遠に終わらないゲームを終わらせる。
 そのことによって、いい結果が出るか、悪い結果が出るか知らないが、ともかく話を先に進めろと、オーディン大兄はそうおっしゃるのです。それはなぜか。


■カルデアがあるからだ

 本稿の仮定において、オーディンが最も避けたいシナリオは、「聖杯戦争にアルトリアオルタが勝つ」ことです。

 なぜならカルデアが存在しなくなるからです。ゲーティアを止める可能性があるのはカルデアだけなので、カルデアがなくなれば人理焼却は誰にも阻止できなくなります。人類は終わります。

 また同様の仮定において、オーディンにとっていちばんマシなシナリオは、「キャスター」クー・フーリンが勝つことです。

 序章の段階での特異点Fは、単純化すれば、

・セイバーが勝利するという本来の歴史
 と、
・キャスターが勝利するという曲げられた歴史

 が、一対一で拮抗しているというようなモデルで説明できそうなものです。

 ここに、新たな聖杯戦争をコリジョンさせる。その結果、新たに、「セイバーが勝利する」か「キャスターが勝利する」かの、どちらかの結末が得られるとする。

 すると、セイバー2勝 対 キャスター1勝
 もしくは、キャスター2勝 対 セイバー1勝

 片方が優勢になる。そちらが正史として選ばれ、継続するようになる……。
 いや、TYPE-MOONの魔術理論とか正直手に負えませんから、そういうことではないのかもしれませんけど、このモデルなら私の手に負えるのでとりあえずそんなふうに考えることに決める。

 ここに、セイバーでもキャスターでもない第三陣営の勝利を導いてしまうと、一対一対一の三すくみになってもういっかいコリジョンだ! みたいな泥沼になりかねない。もう、勝たせるならセイバーかキャスターのどっちかだ!

 セイバー勝利のルートは人類滅亡確定なのでありえない。
 だから全然ベストではないがキャスター勝利に乗るしかない
 つまりは「キャスター」クー・フーリンに、「セイバー」アルトリアオルタを倒させるしかない。

 すると「キャスター勝利」が正史化し、継続する。キャスターの中身がソロモンであろうとクー・フーリンであろうと、どんぶり勘定で「キャスターが勝ちました」だけが重視される。
 キャスターが勝ったということは、FGOの2004年冬木聖杯戦争でソロモンが(マリスビリーが)勝ったことになるので、カルデアスが完成し、2016年に人理焼却が発生し、2017年に地球白紙化が発生する。それでいいのか?

 それでいい、とオーディンは判断しそうだ。なぜなら、カルデアスが完成するということは、ぐだとカルデアがいるということだからだ。
 ぐだとカルデアがいるということは、人理焼却を克服しうるということだし、地球白紙化を克服しうるということだ。

 両方を首尾良く克服できる可能性は著しく低い。
 しかしゼロではない
 それ以外のルートでは克服可能性はほぼゼロなので、このルートを選ぶしかない。キャスター・クーフーリンにはぜひとも勝ってもらわねばならない。

 しかし、クーフーリンには聖杯アルトリアオルタを倒す実力がない。


■こんなものあるけど、いる?

 そこで花の魔術師

 龍洞寺の洞穴に、アルトリアオルタを守るアーチャーがいました。ぐだとマシュに倒されました。

(アーチャー)
考えたな花の魔術師……! まさかその宝具に、
そんな使い途があったとは……!
『Fate/GrandOrder』特異点F 炎上汚染都市 冬木 9節


 クーフーリンがアルトリアオルタを倒すためには、エクスカリバー・モルガンを防げる人類史最強クラスの盾が必要だ。そんなものいったいどこに……あ、あった。

 アヴァロンで人間ウォッチングを決め込んでいたマーリン、そのへんに円卓の騎士の円卓が転がっているのに気づく。
 こいつをカルデアに横流ししてあげよう。

 これを触媒に召喚されるのは円卓の騎士ギャラハッド。盾の騎士。ギャラハッドがカルデアから特異点Fへレイシフトし、クーフーリンとともにアルトリアオルタを倒す。アルトリアは円卓の盾を見たら、絶対にそこに向けてエクスカリバーを撃ちたくなる。クーフーリンはノーマークになる。このシナリオは完璧だ。我ながらすごいんじゃない?

 まさにそのようなことが起こった。予定外だったのは、マリスビリーが人間とサーヴァントの融合実験を行ったことだけどまあ結果オーライだ。オーライかなあ?

 セイバー、アルトリアオルタは倒された。消えました。

 最初の疑問に戻る。

 アーサー王は、アルトリアは、「今もあそこで踏み止まっている」のか?


■王は今もカムランの丘に

 本稿の仮定では、アルトリアは汚染大聖杯にブリテンの永遠を願った結果、人類が滅亡した世界に不死のアルトリアが生き続けるという結果が出力されました。

 これは、しかばねの山に時間を止めたアルトリアが永遠に時を待っている、というカムランの丘の状況と同じだ。
 この状況はカムランの丘だ。

 特異点Fでは、亡者しかいない街で、アルトリアが永遠に立ち尽くすという状況がありました。
 これはカムランの丘だ。

 特異点Fは、魔術的に、すでにカムランの丘だ。

 カムランの丘では、時を止めたアルトリアが永遠に近い時間を待ち続けるというルールがあるのだから、
 アルトリアは、倒された今でも、姿はなくとも、特異点Fで待ち続けている。

 アルトリアは、倒されたが、消えていない。見えないだけで今もそこにいる。聖杯戦争は、終わったが、終わっていない。終わっていないから特異点Fは消えない

 彼女は何を待つのか。
 聖杯に呼ばれるときを。
 勝利をつかむときを。

 特異点Fでアルトリアオルタは倒され、マリスビリーとキャスターが勝利した。そのことで人類の滅亡が確定した。
 でも、特異点Fのあの場所に、まだアルトリアオルタがいるのなら?

 特異点Fでアルトリアが倒されることで始まったすべての悲劇を、アルトリアの帰還によってくつがえせる可能性がある。
 特異点Fというカムランの丘で、アルトリアは立ち上がる時を待っている。アルトリアがあの場所にいるかぎり、すべてを一からくつがえせる目がある。

 だから「アーサー王は今もあそこで踏み止まっている」。この場合なら人理の防人なのは納得だ。アルトリアがそこにいるということが、人類の最終防衛線だからだ。

 けれども。
 同じ条件で戦う限り、同じ末路になるだろう、とアルトリアは予感しています。

(セイバー)
聖杯を守り通す気でいたが、
己が執着に傾いたあげく敗北してしまった。

結局、どう運命が変わろうと、
私ひとりでは同じ末路を迎えるという事か。
『Fate/GrandOrder』特異点F 炎上汚染都市 冬木 11節



 私ひとりではだめだ。
 味方がほしい。仲間がほしい。頼れる誰かが。

 その誰かとは、「ぐだ」しかいないだろう……と、ドラマツルギーとして、そう言うしかない。

 おそらくこの物語の結末において、ぐだは再び特異点Fのアルトリアオルタの前に立つことになるでしょう。そしてアルトリアはおそらくこう言うのだと思います。

「問おう。あなたが私のマスターか」

 勝ちましょう! 貴女と私で。


 この記事、ここで終わりにしても良いのだけど、

 いや、でもですね……。


■人理焼却は?

 この物語のラスボスはおそらくマリスビリーだ。基本、ぜんぶあいつのせい。
 だから、アルトリアとぐだが勝つ相手とは、マリスビリーでないといけない。

 マリスビリーのいる聖杯戦争には、汚染されてない大聖杯がある。この条件ならアルトリアを呼べる。

 ただし。
 本稿の仮定では、セイバーがマリスビリーに勝利すると、カルデアが解体されるので、人理焼却を止められなくなり、人類は滅亡するのです。レフ教授が高笑いをする。

 ぐだとアルトリアの共闘を、この物語のラストバウトだとするのなら、こういう条件を同時に満たさないといけない。

1)ゲーティアの人理焼却が克服され(カルデアスとカルデア必要)
2)マリスビリーが倒され(カルデアはなくなる)
3)宇宙人も襲ってこない世界を(どのみち起きる)
4)アルトリアに肩入れすることで実現したい


 これは、基本的に不可能で……まあもちろん、本稿の仮定を取らなければ、これは問題でもなんでもなくなるんだけど……これは要するに私が書いてる私の物語なので、私が解決しないとバッドエンドなんですね。

 やばいなあ。


■方向性だけは

 全部の条件を満たすことはできないが、私は基本、こういう方向で考える人ですというのを示しておきます。

 まず、なんかの仕掛けで(それがなんの仕掛けかは知らない)、冬木市にドーンと一発、空想樹を落っことせないかな。
(先達各氏の先行する論には、「もともと冬木には空想樹があった」という方向のものがいくつかあるようですね)

 そうして、だいたい日本全土くらいを異聞帯にしてしまう。

 異聞帯の中身は、「アルトリアが汚染大聖杯に願った結果、人類が絶滅した世界」だ。

 人類が絶滅しているわけだから、これは当然、剪定事象となり、打ち切りエンドとなる。剪定事象となっているのなら、異聞帯として復活させることができる。

 さて、日本全土は異聞帯となり、そこに人類はぐだとアルトリアしかいない。でも空想樹がある。ぐだとアルトリアは過去の自分にレイシフトする。モルガンが二部第六章でやったやつです。

 ぐだは日本出身なので、当然、過去の日本に自分自身がいる。これまでのすべての事情を知り、すべての経験を積んだぐだが過去世界に誕生する。

 アルトリアは第四、第五次聖杯戦争で日本にいた想定だから、日本異聞帯に過去のアルトリアがいる。すべての経験を持ったアルトリアが発生する。

 そしてこの異聞帯の第五次聖杯戦争はFGOの2004年聖杯戦争とコリジョンを起こしている。ぐだとアルトリアが冬木で待ち構えているとマリスビリーとソロモンがやってくる。エクスカリバー! して焼き払う。
 この異聞帯ではカルデアスが完成しないので白紙化は起こらない。

 きれいな聖杯が手に入る。願いはぐだとアルトリアで一つずつ。「汚染大聖杯が叶えたアルトリアの願いを撤回して」「この異聞帯で、地球全部を上書きして!」

 異聞帯の外には、マリスビリーがすべてを支配する新世界があるものと想定する。
 いっきに異聞帯と空想樹が育って、地球全土を覆い尽くす。本来時間をかけて育てるものを聖杯で前倒しする。ついでにたぶん空想樹からオルガマリー所長が生えてくる

 これまでのぐだの物語は、「育ってくる異聞帯を、刈り取る」というものだった。それが逆転する。異聞帯を育てて、世界に逆襲する。

 聖杯に「マリスビリーに地球白紙化をあきらめさせて」「でもカルデアスは完成させて」と願えばいいのかとも考えたけれど、それはアイデアが小さいのでやめました。

 そうなると、カルデアが存在しなくなるので、ゲーティアの人理焼却を防げなくなる。でもここにはすべての知識と経験と戦闘技能を持った、怪しげなアンプルを一本も打ってない超健康で運命力MAXのぐだちゃんがいるんだから、もう、なんとかしてもらいます! キリシュタリアにもできたでしょ!(ぶん投げた!)

 宇宙人については? この話は任意の場所に空想樹を落っことせる前提なのだから、それまでの物語のなかでうまく懐柔していただくことにする!

 そういうご都合主義のてんこもりを勢いでごまかして、すべてが解決したとして。

 ぐだの隣には、これまで苦難を分かち合ってきた友が一人もいないことになる。
 寂しい。
 過去の日本にマシュはいないので、この話にマシュを置くことができない。
 寂しい。

 まあ、奈須きのこさんは、こういう話を書かないと思う。

 でも、奈須さんはたぶん、こういう感じで、いろんな要素がカチ合って共存できないような条件があるのに、それを常にかいくぐって、お話を作ってきているわけだよね。そういうのを実感したくて、こういうことを実践しているのでした。


■余談・賢人グリムのウソ

 アヴァロン・ル・フェの19節。オークニーで賢人グリム(キャスタークーフーリン)と再会したところを読み返していて、ちょいと気づいたことを書いときますね。

 ようとかなんとか言って気さくに現れた賢人グリム氏、ぐだとアルトリア・キャスターとダ・ヴィンチちゃんの前で、「自分は誰なのか」「今まで何をしてきたのか」「これからどうしたいのか」を長ゼリフで言う場面があります。

 グリムがしゃべると、アルトリア・キャスターがなんとも言えない、悲しいようなそうでないような、ビミョーな顔をするカットインがちょくちょく入ってきます。

 アルトリアキャスターは妖精眼を持っていて、他人のウソが見えるという難儀な体質を持っておられる。
 つまるところ、「あ、ウソついた」「またウソついた」「この人ウソばっかり!」という反応なのだろうと思われました。

 どうもグリムはいっぱいウソをついてるようなのですが、ちょっと見過ごせないウソがふたつありましたので、この場で指摘しておきます。

 ひとつめ。
 グリムはオーディンの命令を受けて(というかオーディン本人なのでしょうが)、カルデアに助力することを目的に、「6000年前」と「現在」の2回にわたってブリテン妖精國に滞在したと言っています。

 6000年前の初代グリムは、「楽園の妖精」トネリコ(のちにモルガンになる人)の手助けをするために召喚されたんだと言っていますが。

(賢人グリム)
1度目の召喚は6000年前。
『楽園の妖精』を助けるため召喚に応じた。
『Fate/GrandOrder』妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ 19節



 初代グリムの目的が、トネリコを助けるためだったわけがない。その逆だ。

 グリムはカルデアの手助けをしたいと言っている。特異点Fでも手助けしていたからそれはいいとしましょう。
 カルデアにとって、いちばん必要なのは、妖精國で鍛造される聖剣を入手することだ。それができないとこの物語はここで詰んでしまう。

 カルデアが聖剣を入手するためには、聖剣の鍛造者アルトリア・キャスターと縁をむすび、巡礼の旅をともにし、その果てに聖剣が鍛造されるところを目撃するしかない。これは絶対条件でしょう。

 それが絶対条件なら、アルトリア・キャスターの先代であるトネリコの巡礼の旅を成功させては絶対にいけないはずです。
 なぜなら、トネリコを助けて巡礼の旅が成功してしまえば、その果て、おそらくB.C.1年ごろ、聖剣が鍛造され「てしまう」。そして二代目楽園の妖精であるアルトリア・キャスターが妖精國にやってくることは絶対にない。初代トネリコが聖剣鍛造に失敗したからこそ、二代目が派遣されるのですからね。

 アルトリア・キャスターが妖精國に現れないのなら、カルデアの手に聖剣は落ちてこない。

 だから初代グリムの本当の目的は言っていることのだろう。トネリコの巡礼の旅を絶対に失敗させること。トネリコがモルガンになるよう仕向けることだ。
 ウーサーの死について、裏で糸をひいてたのはグリムだ、までありうる話。

 そして、こんな陰湿なことを、我らが槍ニキ、クー・フーリンは絶対に請け負わないだろうと断言できる。妖精國の賢人グリムが、姿かたちはクー・フーリンであっても中身はそうではないと私が考える理由はこれ。

 もうひとつ。

(賢人グリム)
オレの役割はここでおまえたちを待つこと。

『巡礼の旅』を成功させ、
楽園の妖精を、楽園に帰す事だってな。
『Fate/GrandOrder』妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ 19節



 アルトリア・キャスターの正体は聖剣の材料だ。巡礼の旅が成功したら彼女は聖剣になっちまう。率直にいえば彼女は死ぬ。「楽園の妖精を、楽園に帰す」という言葉から通常連想されるようなやわらかい事態には決してならない。そしてたいていのことを俯瞰で見通しているグリムがそれを知らないはずがない。
 カルデア、主にぐだが、アルトリア・キャスターと聖剣に関する真相を知った場合、聖剣鍛造を拒むか、躊躇する可能性がある。それは人類の危機につながるので、叙述的トリック的な言い回しでぐだを真相から遠ざけている。

 以上です。


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