エリスにその日の印象を話しました。
エリスからはGreenough High speed9.25に下げてみるのがいいんじゃないか?
リドルの9.0もベース幅があって安定するんじゃないか?
どちらも使ったことがあるので、なんとなくイメージは出来ます。
でも私の想像したこの板はそんなんじゃない気がしていました。
もっとすごいハズだと。
テイクオフで斜めに落とした時に程よい入水量で、しっかりとノーズの行く方向を邪魔せず、ピボットターンにならないしなやかなフィン…。
ふと思いついたのがPower Glideでした。
7ftにPower Glide8.25を付けていましたが、Power Bladeの動きの方が好きで、Glideは使っていませんでした。
Glideを扱うには波のパワーが必要で、ラインが大きくなる印象を持っていました。
でも…8'1なら元々ラインも大きいし、ノーズはロールして抵抗が無いので、ノーズをスウィングさせられれば7ftよりもフレックスを上手く使えるかも知れない。
フレックスさせられれば更なるスピードを得ることも出来るし、テールが回り込む独特なターンの感覚はこの板には合うんじゃないか?
Bladeだと多分合わない、Glideだな、と。
そう思って8.25を仮付け。
サイズは小さいけど、これはこのテール幅に合うかも知れない。
そう思いエリスに確認。
「Power Glideだ!そうだ、オレもそれが合うと思う!」
8.75を急いで探し、ポチり。
そして装置。
セットすると、ゾクゾクする乗り物が目の前に現れました。
エッジにそってトレースしてくれそうな、しなやかに曲がるフィン。
絞れていくラウンドテールに合うんじゃないか?そんな気がした次の日、コシハラ、たまのセット胸。潮多め。
手前で待つ人は波の早さに捕まりがち。
いつもの7ftだったら多分肩から行けば、1発目のアップスで抜けるかも?と思う波。
あの重さが消えてれば必ず抜けれる。
そう思って行ったライトの波。
抜群の早さでアウトから引っかかり、レールを斜めに入れながらテイクオフ。
フィンはエッジの邪魔をすることなく、ノーズは行きたい方向へスッと抵抗なく走り始めました。
テイクオフして立ち上がり、踏み込むと板はグンと進み、うっかりプルアウト笑
その感覚に感動しました。
7ftのファーストモデルに慣れてきた頃、同じ事があったからです。
「コレだ!このフィンが間違いない!」
ちゃんとイメージをして踏み込みを考えてライトへ。
ロールしたノーズは軽快に上下へ、それに追従するようにフィンは尾鰭のように推進力を与えてくれました。
その瞬間、早い波が興奮する張った走れる波になったのです。
それからは片っ端から走れる波探し笑
小波ながら、コシハラ過去最高速なんじゃ無いか?と思うほどかっ飛ばしました。
TPGではオレには出来なかった、軽快なアップスが容易に出来る8'1が完成したのです。
レフトでもそれは同じで、あの日テールが抜けた感覚と同じ板とは思えないほど、綺麗にテールは回り込み、ノーズは思った通りの場所にスッと向いてくれました。
Power Blade / Power Glide特有の板の真ん中でも動かせる気持ちよさのおかげで、とても気持ちよくクルージングが出来るようになったのです。
はじめてエリスと乗ったあの日、エリスは私に「エッジが効かないからスライドしながら前へ進んでいる感じがするね」「エッジが立てばもっと早く前へ行くと思う」
その話しと映像で見た水の巻き込みを頭の中でイメージして、エリスのアドバイス通りに割としっかり角を出しました。
水がまとわりつかないように、エッジがスノーボードのように効くように、と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/96/9ecc7ca28e5ead843987f914bd066026.jpg?1697318599)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/4a/cd580726c42f36ce029ab9ad0d7bc0be.jpg?1697318599)
効果をイメージした形はしっかりと効果が出る、そう思います。
PowerGlide/PowerBladeは他のフィンと違い、エッジの邪魔をせず補助してくれます。
これが真実のエッジボードだと、沢山乗ってきたので私には分かります。
フルエッジ、TPG、HybridHull、LiteKite
ぜーんぶひっくるめて練りに練って、好きなところを抽出した、そんな板です。
8'1ありますが、長さを感じない軽快さと、長さ以上の加速性能を持っています。
エリスは「これは台風スウェルでも使えると思うよ。HybridHullはテール幅があるから大きな波は難しいけど、これはネガティブな部分が無い」
そんな話をしてくれた、モンスターマシンです。
製作依頼の際にエリスに話した「1300ccのホンダのバイクのように、低速でもクルージングが出来て、サーキットでもグリップして、素晴らしいスピードが得られる板にしたい」
本当にイメージ通りの板になりました。
On The Edge of a Dreamでジョージグリノーがバイクに例えたように、しっかりとノーズを追いかけるバランスに仕上がったのです。
これは私の一つの理想の物語。
エリスは「ケンタローありがとう。君の経験を活かして依頼してくれたイメージを沢山考えてシェイプする事が出来たんだ。それは素晴らしい体験だったよ。これは自分だけでは考えられない形だった。形に出来て幸せだよ。」
そんな体験をエリスが日本に居る時に出来た。
私にとっても最高でした。
エッジの事も、フィンセッティングも、直接話し合い煮詰められたしね。
また大切な板が増えちゃったな笑笑
しばらくはこれで色々乗りたいな。
乗りすぎてたら怒ってください笑笑。
モデルってわけじゃ無いけど、カスタムオーダーも可能です。
興味があればお問い合わせください。
素晴らしい体験を見せてくれるハズです。
家もサーフボードも、世の中に無いものを考え、作るのは私のサイコーの楽しみです。
またサーフィンが楽しくなっちゃったな。
エリス、柴田さん、ありがとう。
※滞在中オレのETCカードを入れたトラックで高速道路を走り回るBeauを"Toll road boy"と呼び(何故boyなのかも理由がある)、すぐ後にそのトラックで走り回ったEllisを"Highway man"と呼んだ思い出を記念して、この板をHighway manと呼んでおります。実際のモデル名ではありません笑