大连どこでも学校

大連で日本語を学ぶ中国の学生たちと中国語を学ぼうとしている日本語教師の相互学習のブログです。

『ひよこの眼』中国語訳⑩

2017-04-16 09:27:21 | 『ひよこの眼』中国語訳
4月9日、2年生から卒業生まで総勢12名で開催しました。

『ひよこの眼』2017.4.9確定版


それでも、私は知っていた。私とことばを交わしていない時、幹生がやはり、まばたきもせずに何かを見つめているのを 。私は、もう、その瞳を懐かしいとは思わなかった。そう思うには、私は、彼に好意を持ちすぎていた。その表情をする時 、彼が決して幸福ではないことを、私は知っていた。彼が、幸福ではないのだと思うことは、私の心を傷つけた。私は、その時、すでに、好きな男には、のんきな幸せを授けたいと願うほどに大人になっていた。私は、自分に訪れた初めての恋と いうものを実感していた。それは、今までに一度も味わったことのない感情だった。甘酸っぱいものを思い出した時に頬が くぼむ、あの時の感じに、それはよく似ていた。

尽管如此,我还是知道的。当幹生不与我说话的时候,依旧眼也不眨地凝神注视着什么。因为我十分喜欢他,所以对他那双眼神已经不觉得怀念了。我知道,他感到不幸福的时候就会露出那种表情。而当感觉到他不幸福时我的内心就像被什么刺痛一般。我那时好像变成了一个成年人,想给自己喜欢的男人安闲的幸福。我第一次真切感受到了被爱情俘获的感觉,那是一种从未体会过的感觉,就好像回味某种又酸又甜的东西时一瞬间唇齿间扩散的甜蜜。


私は、彼を悲しい場所には置きたくないと思った。彼のことを心配してい るというより、そうなったら、自分自身がやるせないだろうと予想したからだった。私は、自分勝手にそんなことを思い、 そして、そんな自分を許していた。私が楽しい気分になるためには、彼もそうでなくてはならなかった。もちろん、彼には 、そんな自分の気持ちを伝えてはいなかった。親しくことばを交わすようになったとはいえ、彼は、相変わらず、自分の領 域を守り続けていて、そこに、私を入れることはなかった。私は、気のおけない友人として振る舞うしか術を持たなかった 。

我呢,不想让他难过。但我想,我如果担心他,恐怕自己会变得更加闷闷不乐。他要是不开心的话,我也会不开心。我胡思乱想了这些,然后又认可了自己的想法。当然了,我并没有对他表达过我的这些想法。虽说我们彼此之间的关系变得更熟络了,但他还是老样子,一直不肯吐露自己的心声,我也就不能真正地了解他。因此,我只好以亲密无间的好朋友的身份,主动去询问他。



「ねえ、相沢くんってさ。ずいぶん、季節外れに転校して来たじゃない? お父さんの仕事の都合とか?」
幹生は、私の質問に、一瞬、不意をつかれたようなうろたえた表情を見せたが、きわめて明るい調子で言った。
「ううん。うちのお父ちゃん、病気で仕事できないもん。だから、おばあちゃんになんとかめんどう見てもらってる。」
「お父さん、悪いの?」
「まあね。借金取りから逃げて来たんだけどさ、もう、逃げる必要もないみたい。」
「……お母さんは?」
「さあ、おれがちっちゃかった時にどっか行っちゃったもん。男と逃げたらしいよ。おれって不幸だろ。」
「そんな……。」

“喂,相沢,你转校来的很不合季节,不是吗?是因为你父亲的工作的情况什么的么?”
干生被我问到。他一瞬间好像突然显出慌张的表情,但语气十分明快。
“嗯嗯~,我的父亲因为生病,已经不能工作了,所以,奶奶不管怎样都要照顾父亲。”
“你父亲情况不好么?”
“还行吧。虽然因为躲债来到这儿的,不过现在也没有逃跑的必要了。”
“你母亲呢?”
“哎,她在我小的时候就不知道去哪了,好像和一个男人逃走了,不幸应该说的就是我吧。”
“这样啊。”