昔,昔の話です。
空っ風小僧は,いつものように村々をかけ回り、北風をふかせていました。空っ風小僧の家族が北の山に帰っても,一人で風をふかせていました。そんな空っ風小僧の目の前に,ほそば囲いの家が現れました。
「今日こそは,あの家の人たちに空っ風の力を思い知らせてやろう。」
空っ風小僧は,勢いを付けて風をふき付けました。ほぞば囲いの家は、何度風をふき付けても,風の力を弱められて,家までとどきません。
今度こそ,といきおいこんで風を送った時のことです。空っ風小僧の体がほそば囲いの中にはさまってしまいました。空っ風小僧は,ほそばから抜け出そうと体を動かしましたが,どうにも動きません。空っ風小僧がほそばにつかまったので,吹く風もなくなり,あたりはしーんとしています。
「おっとう,おっかあ,助けてくれえ。」
空っ風小僧は,何度もさけびましたが,山に帰った家族にはとどきません。
次の日の朝,空っ風小僧の近くをいたずら好きな子どもたちが通りかかりました。空っ風小僧がぬけ出そうと体を動かしているのに気づくと,
「おや,空っ風小僧が,あんな所にはさまっているぞ。いつもみんなを困らせてい るからばちが当たったんだ。」
「二度と風をふかせることができないよう,こらしめてあげよう。」
子どもたちは,口々にそんなことを言いながら,石を投げつけたり,木の枝でぶったりしました。さわぎに気付いた家の子が
「もうそのぐらいでゆるしてやろうよ。空っ風小僧もこりたことだろう。」
「助けてやるから,人にめいわくをかけるのはやめるんだぞ。」
と言いながら,ほそばの木の枝を引っぱり始めました。空っ風小僧は,おかげで何とかほそば囲いからぬけ出すことができました。
「空っ風をふかせただけなのに,あんなにきらわれているなんて知らなかった。も う,あんな目にあうのはこりごりだから,人にめいわくをかけないような風のふ かせ方をしよう。」
空っ風小僧は,そうつぶやくと,それからはほそば囲いの家に風をふき付けることはやめ,広い野原をかけめぐるようにしました。
空っ風小僧は,いつものように村々をかけ回り、北風をふかせていました。空っ風小僧の家族が北の山に帰っても,一人で風をふかせていました。そんな空っ風小僧の目の前に,ほそば囲いの家が現れました。
「今日こそは,あの家の人たちに空っ風の力を思い知らせてやろう。」
空っ風小僧は,勢いを付けて風をふき付けました。ほぞば囲いの家は、何度風をふき付けても,風の力を弱められて,家までとどきません。
今度こそ,といきおいこんで風を送った時のことです。空っ風小僧の体がほそば囲いの中にはさまってしまいました。空っ風小僧は,ほそばから抜け出そうと体を動かしましたが,どうにも動きません。空っ風小僧がほそばにつかまったので,吹く風もなくなり,あたりはしーんとしています。
「おっとう,おっかあ,助けてくれえ。」
空っ風小僧は,何度もさけびましたが,山に帰った家族にはとどきません。
次の日の朝,空っ風小僧の近くをいたずら好きな子どもたちが通りかかりました。空っ風小僧がぬけ出そうと体を動かしているのに気づくと,
「おや,空っ風小僧が,あんな所にはさまっているぞ。いつもみんなを困らせてい るからばちが当たったんだ。」
「二度と風をふかせることができないよう,こらしめてあげよう。」
子どもたちは,口々にそんなことを言いながら,石を投げつけたり,木の枝でぶったりしました。さわぎに気付いた家の子が
「もうそのぐらいでゆるしてやろうよ。空っ風小僧もこりたことだろう。」
「助けてやるから,人にめいわくをかけるのはやめるんだぞ。」
と言いながら,ほそばの木の枝を引っぱり始めました。空っ風小僧は,おかげで何とかほそば囲いからぬけ出すことができました。
「空っ風をふかせただけなのに,あんなにきらわれているなんて知らなかった。も う,あんな目にあうのはこりごりだから,人にめいわくをかけないような風のふ かせ方をしよう。」
空っ風小僧は,そうつぶやくと,それからはほそば囲いの家に風をふき付けることはやめ,広い野原をかけめぐるようにしました。