ハミルCLASS

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馬花 112 ごはん 12年1組

2024-11-05 08:11:00 | ハミルEN
さあ、ご飯食べましょう

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「こうしてると家族みたいだね、ねぇルチカ」
「うん、アユラ」
「たまにはいいわね、大勢でご飯食べるのも」
「うまそうだな」

はい、おでんらーめん

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「ねぇ、ハミルENってこれから人増えるかな、ルチカ」
「どうだろう、お母さん」
「どうかしら、想いを一つにしてくれる人がいたらね」
「来るもの拒まず去るもの追わずだ」
「ふーん、抜けた人っているの、ルチカ」
「僕は分からないよ、お母さん」
「1人だけね、今までに」
「お前が抜けさせたようなモンだろ、ルルサ」
「なんでそうなるのよ。仕方なかった、あの人」

・・・・


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「逃げてきたんだ」

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「逃げてきた?」
「そうだ」
「どこから?」
「ハミルENだ」
「なんだそれ?」
「イかれた連中だ」
「ふーん」
「金で家族を築く、結婚してはいけない」
「人間も大変だな」
「あゝ、ウンザリだ」
「だからこんな山奥に来たのか」
「そうだ」
「寂しくないのか」
「寂しくない」
「そうなのか」
「人間嫌いだ」
「俺と一緒だな」
「おまえもか、ハミル」
「あゝ、俺は熊嫌いだ」

飯できたぞ

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おでんらーめんだ



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馬花 110 ハミルEN 1年1組

2024-10-31 03:18:00 | ハミルEN
血縁ではなく、金で家族を築く

俺たちは

私たちのハミルENは血ではなく金を選んだんだ

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あいつは
俺の恋人はある男から、告白のラヴレターを受け取った
あいつは迷った
俺は彼女があの男の元へ行っても構わない
ただ
彼女の腹には俺の赤ん坊がいた
それだけだ
人生の始まりには
我が子の産声だけは
俺が聞いてやるべきだと思った

もういいぜ
行けよ
何処でも

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結婚を無くす
邪魔だからだ

結婚しない生き方を選ぶ
違う
婚姻制度自体を消すんだ

俺たちハミルENは
金で家族を築いている

同一生計だ
全員の収入を合算して
等しく分配する

今、俺たちには
40人の大人がいる
全員で月に1,600万の収入がある

ホストのスミカは月600万稼ぐし、
ダイヤなんかは無職だから0だ

スミカは600万をハミルENに預けて
40万を受け取る
無職のダイヤも40万を受け取る

全員が同じ金額で生活をする

これが、俺たちハミルENの家族の形態だ

個人
個人に分配が行われる
個人の集合体が家族だ

誰もが個人
血でなく金で繋げば
誰とでも家族になれる

同額の分配を行い
貧富の差を完全に消滅させる
金をならす

金の屋根の下にいるんだ
金で絆を紡ぐ

愛を見るんだ
愛を知るんだ
愛を食べるんだ

金を消すために
金で繋ぐ

金の霞で愛がよく見えない
金の霞を消し去り、
愛を直視する
目玉が焦げるほどの愛を見る

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なぜスミカは600万稼いで40万で受け入れるか?
知らねえ
アイツに聞けよ

でも、そういう変なやつがいねぇと
平らにならねぇ

平たくいえば、愛だ
博愛だ
自己犠牲だ
これが何人できるか

家族だからできんだよ

なあ
住処



ふん、知らねえよ

俺はただ・

金で愛は買えねぇ

俺はホストだ


金を譲れば
愛してもら・

・・・・

生まれた時から
例外除けば
結婚した夫婦の下に生まれ、
結婚の制度自体が正しいのか
どうなのか
考える隙を与えない
与えられない

クリスマスもそうだし
誕生日もそうだし

当然の物として頭に刷り込まれている

婚姻制度を生き抜くことは宿命

我々は結婚の犠牲になった

小さな檻に収まる

自由を歌う
自由の唄を詩う

檻の中にいるから様になる

破壊と創造

血縁を壊して金銭で
家族を組み直す

LOVE&PEACE

自由は難しい
自由は危険

FREEDOM

あの時、鼻水垂らした
半ズボン

自由研究したか

軽井沢の旅行記作って褒められたっけ
下手くそな工作して、何作ったっけ
アサガオの観察?

思い出せない

なら、やれよ

自由研究

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はい
ぼくは
おとな1ねんせいです

馬花 106 用品に添えられたラヴレター 29年1組

2024-10-22 00:14:00 | ハミルEN

女用品置きの脇にラヴレターを添えたのです
手紙を必ず見つけられてはいけなかったからです
同棲中の彼に、あの人から受け取った手紙を絶対に隠さなければいけなかったのです
しかし、
私は幾ばくかの混迷の果てに、女用品の隣に寝かせた手紙を、男用品の上に置いたのです

告白しました
彼にあの人から想いを寄せられていることを
白状いたしました

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彼は怒りませんでした
私はそんな気がしていました

それは彼の気質も一つの理由ですし
私たちの居場所にも大きな関わりがあります

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ハミルENの屋根の下の私達は

結婚することが認められていないのです

結婚をする場合はハミルENを出ていかなければ

いけないのです



結婚を認めていない
つまり生涯にワタル中で
70,80歳でも100歳でも

恋する殿と奥を見せる

ですので、
結婚によって恋のケジメを一区切りつけるのではなく、
恋の流動性を重視させていただいております

私の彼はその概念遂行の中心的人物であります



残酷な光景を見せます
ネクタイの上に置かれたラヴレター・
彼はお風呂上がりにそれを目にして
濡れた髪のままそれを読みました

女用品脇に添えるまでの数日
私の浮足だった心は
手紙をお風呂にまで持ち込んでいたのです
本当です
紙は水の乾きで色が濁っていました

'彼'は'私'に宛てられた'あの人'の手紙を読みました

私にはこの行動が正しかったのかわかりません
この先もずっとです

読み終えた彼の手は小刻みに動いていました
顔は真一文字にただただ真剣だった

18から彼と交際が始まって
11年の月日が流れました
私は男は彼しか知らない、
私はあの人の告白に胸が躍り
妙な複数の好奇心に唆かされました

本当です


知りたい
複数の男性を知ってみたい
色々、男の特性を知ることが
人生に色彩を持たせる正しさなのではないかと、
不埒にも想ってしまったのです

不純とは違う
私とあの人は、
でも、私のお腹の膨らみと
あの人との関係性が不純であることが
紛れもない事実でした

私は彼の子を孕った身体で
あの人に身を預けて仕舞えば

間違ったお腹になる
それだけでした

私は彼にラヴレターを読ませて
恋沙汰の処理を預けたのでした

・・・・

11年
私と彼は交際の時を過ごしました
私には分かりました
彼は感動していました
強い想いを抱えた時に
彼は右側の歯を食いしばるのです

怒りかもしれませんが
私は今でも感動だと思っています

男のラヴレターを男が読んだのです
男同士に女を仲介して恋文が渡ったのです
いやですか
これを美しきと呼ぶのです

男は男の恋文にやられるのです

彼は、怒らなかった
それが答えです

・・・・

男同士で話しをつけてきた、と
彼から聞きました

おそらく、彼は
私?
私と彼の生まれくる子の存在を告げたのでしょう

私はあの人に私の妊娠を告げていませんでした
はい、あの人の驚きの表情は、きっと私に下を向かせると思いました

彼はあの人に私を諦めさせたと、言いました

生まれくる子に正しい産声を上げさせること
それが理由だといいました
「誕生だけは間違えるな」
"そのあとは、間違えるのが人生だ"

このように彼は言いました
私はその意味を朧げではありますが、
理解しました

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彼からあの人は薔薇の花を抱えていたと聞かされました

その時、始めて
私は間違えていたと分かりました

私のために用意した
花のその姿さえ
見てやることができなかったのです

あの人は私のために用意した花を
私に渡すどころか
見せることすらできずに
花を持ち帰ったのです

女性は花に準えられることがありますが、
私にはその資格はありません

当然です
男性が、私のために、用意した花に、
心で一欠片たりとも、水をやらなかったのですから

私は直接会って
受け入れるなり、断るなり
しなければいけませんでした

怖かったんです
いえ、

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馬花な女です






馬花 102 女と酒、煙草

2024-10-12 09:48:00 | ハミルEN

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振られた夜
いや、女の男に不貞を諭された夜
振られることすらできなかった

いい中年の俺が20代の女を20代の男から奪い去ろうとした
略奪の中途で男にバレて不義を咎められた

彼女を想うばかりの熱情で、我を忘れていた
現れたのが同性だったから俺の恋慕は一旦胸の奥に追いやるしかなくて、場面は緊迫に変わっていた

一回り以上の年下の彼に、俺の恋路を引き戻すよう説得されちまった

傷ついたとか情け無さとか
そんなのはどうでもよくて
何より、恥ずかしかった
いい歳して若い女と男の間に割り込むなんて、
穴があれば入りたいってのは、こういう心境なんだな

俺は45だ
先に彼の方に彼女に恋してしまったと、告げた方が正しい生き方だったのではないか
ふざけるな、くらいのことは言われるだろうし
そりゃ怒るだろう
コソコソ彼女を手に入れようとした
彼女を我が物にできたら男に解説しようとした
己の狡さが純愛を裏切って無性に腹が立った

しかも彼女は妊娠してた
それすら知らずに、
赤ん坊にまで怒りの産声を上げさせちまうところだった

こんな馬花な男がいるのかよ

いっそ殴ってもらえりゃ
痛みが俺の恥ずかしさを少しは吹き飛ばしてくれたかもしれないのに。
まだ俺の胸に、惨めさやズルサや不義や略奪がへばりついちまって、たまらねぇ

・・・・

コンビニで酒と煙草を買った
煙草は10年以上前にやめてるし、
ボクシングを始めてから酒も控えてたのに、
呑まれないと流石に保てない気がした

家に着いた
いつもより重いドアを引く

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「おかえりダディ」

「ただいま、アユラ」

察しの良い娘は、俺の表情と服装で大方の事情を見抜いたんだろう
この子は俺の恋を後押ししていた
俺が恋したチュリミさんとも仲が良いし、

「ごめんね、ダディ」

いや、としか言えなかった
背中を押した責任を感じたのだろう

俺は大馬花だ

風呂に入った
「馬鹿野郎」
風呂から上がると

花瓶のないこの家で
アユラが1.5ℓのペットボトルの上部をカットして
12本の赤い薔薇を挿していた

「ダディ、綺麗だね」


俺は煙草を喫まずに捨てた

・・・・


ウォッカに娘のオレンジジュースを注いで上がった
スクリュードライバーが俺の胸をエグったから

泣いちまった