「ロベルトのてがみ」マリー・ホール・エッツ作/こみやゆう訳/好学社
読後感は、ロベルトの気持ちを思って「いい話だった~よかったね」としみじみしました。でも、お母さんの視点で読むとちょっとほろ苦い。
「わたしとあそんで」が、読み聞かせ界(笑)では有名なエッツです。彼女が10年間携わった貧困地区(シカゴ)の人たちの生活全般を援助する活動で出会った、実在の少年をモデルにしているそうです。
あらすじ>スペインからアメリカへの移民一家であるロベルトの家族は、両親と、小学校3年生のお兄さん、その下のお姉さん、幼稚園にも行っていないロベルトと妹のリタ、赤ちゃんもいます。つまり5人兄弟の7人家族。家族のなかで英語が話せるのはお兄さんのマルコだけ。
英語が分からないロベルトは、遊ぶ友達もおらず近所でいたずらして怒られてばかり。若くして結婚したお母さんは、料理が下手でいつもお父さんに怒られています。ある日、お母さんは友人と話し込んで帰りが遅くなり夕飯の買い物ができなかったことで、お父さんに家を追い出され、そのまま子供達5人を置いてどこかへ行ってしまいました。
ロベルトはますますイタズラをして警察に注意を受け、子供を預かる施設に通うことに。最初は嫌がっていたロベルトも、友達ができ、アルファベットを習い、自分で字が書けるようになると、必死でお母さんにお手紙を書くのでした。
お父さんが電話で戻ってきてほしいと人づてに言っても戻らなかったお母さんも、たどたどしい息子の訴えを読んで感激し、子供のために戻らないわけにはいかないと思ったことでしょう。
お母さんの視点で考えると、スペインから移住してきて頼るものが少ない中、ちょっと話し込んで夕飯ができなかったくらいで追い出されるなんてな…と目の前が暗くなります。でも、お父さんも一家を支えようと必死に働いていて、まったく余裕のない中で怒ってしまうというのも分かるんですけど。
最後、お父さんが「戻ってきてくれたのかい?」と聞いたとき、「もし、そうしてほしいなら」と返していたのが良かった。英語ではどうか分からないけど、ちょっとお父さんも反省して、お母さんの立場が微妙に上になったと感じられる訳でした。そらそうだ。
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