ふくろうくん 作・絵:アーノルド・ローベル / 訳:三木 卓出版社:文化出版局 |
『ふくろうくん』
5編からなる短編絵本といった様相。ちいさめの本なので大勢の前での読み聞かせには向かないのが残念ですが、愉快なだけじゃなくしっかりと情緒を感じさせるつくりでとっても気に入ってしまいました。下世話な言葉だけど「おバカ」なふくろうくんに愛を感じます。
私は特に「おつきさま」が好き。子供のころの、お月さまがついてくるうれしさ、素直な気持ちを思い出します。
〈あらすじ〉
「おきゃくさま」
寒い冬の日、ふくろうは家にいて、あたたかい暖炉のそばでおまめのスープとバタつきパンを食べていました。そこに、どんどんと戸をたたく”おきゃくさま”が。おきゃくさまは”ふゆくん”です。ふゆくんは、家の中をあらしまわり、だんろの火を吹き消してしまいました。さてふくろうは…。
「こんもりおやま」
ふくろうが眠ろうとすると、毛布の下にこんもりとしたふたつのおやまをみつけました。このおやまが、ぼくが寝ている間にどんどんおおきくなったらどうしよう…ふくろうくんは眠れなくなってしまいました…。
「なみだのおちゃ」
ふくろうは涙でお茶をいれることにしました。さあ悲しいことをどんどん考えて…。
「うえとした」
ふくろうの家は1階と2階があります。したにいるときは、うえがどうなっているか気になるし、うえにいるときは、したの事が気がかりです。同時にうえとしたにいられるように、びゅうびゅうはしってみようと考え走り出しますが…。
「おつきさま」
ふくろうは、うみべで月にむかって「おともだちにならなくちゃ」と語りかけます。
帰ろうとすると、おつきさまがついてきます。でも「きみはうみのうえにいなけりゃ。そのほうがすばらしいもの」と追い返そうとします。雲間にかくれて月はみえなくなりました。
ふくろうは「ともだちとさよならするのは いつでもちょっぴりかなしいことだなあ」と言いつつも、おうちに帰ります。ところが、くらいへやで着替えをしていると、おつきさまがとつぜんふくろうの部屋をてらしました。ふくろうは、もうかなしくなんかありません。
〈読みきかせ 7歳息子〉
目次を見せてどれを読む?と聞いたところ「うえとした」から。
「あたりまえじゃん」と言いつつ面白がっていた様子。
つぎつぎと他のお話も読みました。
翌日、寝る前に毛布をかぶって「もっこりおやま~」とふくろうくんごっこしてました。こんもりの間違いですな。