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花日和 Hana-biyori

小説『成瀬は天下を取りにいく』聴き終わり

『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈(新潮社)

2024年本屋大賞受賞作品。Audibleで聴いた。朗読は鳴瀬まみ。


旺盛に生きる、とはこういうことを言うんだろう。

滋賀県大津市に住む成瀬あかり。彼女に色んな意味で魅了されていく人々の視点で描かれる。

幼馴染で中学2年のとき一緒にM1(予選)に出場する島崎。西武大津店閉店にともない、毎日ローカルテレビ局の中継に映り込むと決めた成瀬の件をツイートする地元民の独身男性。高校に入ってからの同級生や、競技かるたの大会で出会う男子高校生など。

それぞれのアプローチは違えど、みんな成瀬あかりという存在から目が離せなくなってしまった人たちだ。だから読んでいる方も知らず知らずそのへんてこで折り目正しい魅力に引き込まれていく。

超絶優秀な頭脳を持ち、突拍子もないことを淡々とこなしていく成瀬は、小学生のとき孤立していたように、確かに鼻につく面もある。それでも、さいごはちゃんと私も彼女のことを好きになっていた。

最終章は成瀬自身の視点(文章は三人称)で、打ち上げ花火を見上げるようなフェス感、わくわく感があった。成瀬の不器用なところがわかると同時に成長を感じるのだ。

200歳まで生きるのを目標にするとこんなに自分を大事にして生きていけるんだなと感心した。





  

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