先週の土曜日に読書会だったのですが、疲労困憊していてブログの更新を長らく怠けてしまいました。
課題本は李琴峰(り・ことみ)作『彼岸花が咲く島』。私は知らなかったのですが、台湾出身でレズビアンを公言しているダブルマイノリティーである作家の芥川賞受賞作ってことで、色々な意味で期待値が高かったと思われます。
が、今回7人の読書会参加者さんたちの評価はけっこう厳しいものでした。あらすじと私の感想はこちら。
多かった意見は、こんな感じです。(皆さんの声を混ぜて要約しています。ネタバレあり)
「面白いし読みやすいけど、今ひとつ物足りない」
「SF、ファンタジーっぽい。こういうジャンルものっぽい作品が芥川賞をとったのが驚き」
「ファンタジーっぽいとはいえ、エンタメとしては長さが中途半端。SFやファンタジーならプロローグ部分で、これから色々面白そうって所で終わる」
「エネルギー事情や生まれた子供は基本的にどうなるか等社会システムが色々謎」
「麻薬が経済基盤になっているのはやばいし危うい。そこに対する葛藤も描かれないのは違和感。女性の長老が全てを決めるというのも居心地が悪かった」
「男社会、排他主義、家父長制に対する批判であることはわかるが、それを『男は乱暴』だけで説明するのは雑すぎる」
「男がそんな簡単に権力を女に渡すわけない。それに権力を握ってクソになる人間は男女関係なくクソである。男女の二元論はもうやめて」
・・・などなど。他にも色々と、どちらかと言えば批判的な声が多かったですね。「アラがいっぱいあって、それはそういうことにして読んであげるねになっちゃう」という声もありました。
しかし、もちろん全然だめということはなく、こんな声もありました。
「小説の中で一番強烈なのは、タイトルの彼岸花。あの花に毒があることはよく知られていて、それが真っ赤に咲きほこる世界。地獄の象徴でもあるし、よほどこの作者はこの彼岸花の花に魅せられたんだろうなと」
また、この話で伝えたかったこととして、こんな考察も。
「言葉って、私たちのアイデンティティの大半を担うもの。この小説で面白いのは、ひのもと言葉とか女語とかニホン語とかいろんな言葉が出てきて、一部は確かに私たちが今使っている日本語を思い出す部分もある。しかし厳密には日本語ではない。
島で共通で使われている“ニホン語”は、日本語、中国語、韓国語などが入り混じった感じ。そういう言葉の設定がよく考えてある。意味不明だけどなんとなく通じるという。
そして、言葉が自分のアイデンティティとしてまだ成り立ってない人の象徴としてウミがいる。そういう人がどういう気持ちでいる(言語を習得して行く)のか、といったことをまず一つ書きたかったのかなと」
言われてみれば、確かにそういう面はありました。ただ、ほかの方のご指摘でそのへんも凄く面白いところなんだけど、中途半端でもったいなかったという意見もありました。
長いので2回にわけますね。続きます。