久しぶりに夫と散歩に行ったら、神社の梅がきれいでした。
俳優の高橋一生が朗読のオーディオブック、『騎士団長殺し』(村上春樹 作)は、まだ聞いている途中です。
生活のために肖像画を描いてきた男、「わたし」の語りで進むちょっと不思議な話です。「騎士団長殺し」とは、ある絵画につけられたタイトルで、オペラの楽曲が由来となっています。
1部の「顕れるイデア編」の上巻だけで8時間超の長編なのでなかなか時間がかかりますが、面白いので途中でちょっと戻ったりして聞いていて余計に時間がかかっております。
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それでですね。高橋一生の朗読が、非常にうまいというか私にとっては理想的な読み方で感動しています。
オーディオブックはラジオドラマとはまた違って、あまり演技し過ぎると私はちょっとしらけてしまうといいますか。例えば女性の声優さんがおじさんや子供の声を作り込み過ぎるのが私は好きではなく、逆もまたしかり。
怒っているようなセリフ一つとっても、どんなふうに怒っているのか等読み手の解釈が入ってしまい、自分が単に文章を追っている以上の情報が入ってきます。私には、それがちょっと煩いんですね。
しかし、この高橋一生の読み方は過剰に演技せずフラット。だけどもちろん棒読みではなく、聴きやすく、作品世界に絶妙に合致した独特の雰囲気を醸し出してもいるのです。
演技し過ぎていないと言っても、上質の一人芝居を観ているようでもあり、そういう演技とも言えるかもしれないですが。
改めて、俳優というのは言葉を扱うプロなのだな…と感嘆している次第です。