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花日和 Hana-biyori

読書会(前編)『すべての、白いものたちの』

12月15日にオンライン読書会でハン・ガンの『すべての、白いものたちの』(訳:斎藤真理子/河出文庫)が課題本でした。(参加者は7人)いまごろになって申し訳ありませんが、やっぱり皆さんの感想が尊い感じなので保存しておきたい、勝手ながらここに置いておかせていただきます。ですます調を省き、ところどころだいぶ省略してます。間違っていたら訂正依頼くださいませ。

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  • 風太さん

どう言っていいのか、すごく心に沁みいる感じで良かったなっていう印象。小説なのか詩なのかちょっとわからないところがあって。

ただその言葉自体、文章と言葉がとても静かで、ひたすら静かで美しくて、それこそ雪の中にいるような、きれいなものに包まれて終わった印象。感想を述べにくいが、好きだなとは思った。

 

  • はづきさん

2022年か23年の冬の寒い時期に読んだ。ちょうど雪とか白とかのイメージのもので季節にあっていた。初めてハン・ガンを読んで、すごくわーって持ってかれて、好きだけど感想にならない。

ただ、すごく静謐でとにかく良かった。詩なのか小説なのかエッセイなのか、曖昧さみたいなものもありながら。訳者の方や平野啓一郎の解説も読みながらなるほどと。本当にすごく好きで没入したがゆえにまとまった客観的な感想が出てこない作品だった。

 

  • きなさん

最近いよいよ本が読めなくなった。大好きな作家の本でもそれが出てきている。読みたいから買ってはくるが読めない。そんな中、今回のこれはとっても良くて、文庫で買ったけれど、装丁もよいらしく単行本で持っておくべきだなと。英語版も見てみたい。

一つ一つが詩や散文のようだが、読み終えると極上の小説を読んだなって気持ちにさせられて、こういう経験は初めてかもしれない。萩尾望都の最盛期の作品を読んだ感覚にちょっと近いものがある。詩のような小説のような、生と死がない混ぜになっていくような世界観がちょっと似ている。翻訳の斉藤さん、平野さんが解説しているように、作者が明らかに意図して書いたこと、構成の巧みさが本当に素晴らしかった。他の作品も読んでみようと思った。

一方で、白は200色あんねんってアンミカが言ってたの知ってます?アンミカ正しいじゃんと思いながら。白のバリエーションの豊かさと多様な意味を感じた。

死に装束が白なのがアジアの中で日本も、韓国も。生と死を継承していくということは、生む性としての女性の役割ということになるようでもあるが、お父さんや弟の哀切さも伝わってくる。

第2章では、この作者の中で姉に体をあけ渡すことで姉を生かすという意味があり、死んだ姉がワルシャワの地を生きるけれど、この文章が完成すればするほど姉はやはり生き延びることができなかったという事実が迫り、なんとも切なかった。

白の中でも、死にまつわる白の中にポツン、ポツンと吐息や、生きている証としての白が出てくる。その対比と同じように姉の生と死があり、その受け止め方がなんとも切なくしんどい感じがした。

 

  • yuiさん

淡いふんわりした雪が手の中で溶けていくような感じ。ただ、それだけで終わっていいのかと読み直すと、ポーランドの「白い壁」、ナチスが爆弾を落として白から灰色になった壁、「70年以上経ったものはここには存在しない」という言葉が胸に突き刺さった。広島だってそう。世界の中では今現に起きている国もある。いろんなものが体に突き刺さってくる。

その章を見て、この白い小説を読んで、白さの色合いの違い、読んでいる人によっても白さが違うんだろうという気がした。すべてが死につながっているような白さ。ポエム的ではあるけれどもやっぱり小説。しかしこの短さで、しかもこの空白の中にそれを見事に閉じ込めて読ませる。

その白の違いが、歴史と絡んで自分と絡んで、受け止める側の心情に絡んで突き刺さってくる。そういう作品だったと思う。

 

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長いのでわけます。(後編へ

 

 

 

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