指輪物語。旅の仲間上下巻、二つの塔上下巻、王の帰還上下巻の全6巻。評論社発行、瀬田貞二・田中明子共訳。
ファンタジーなのに読み終えて後、滅茶苦茶疲れました。
目に見えない何か・・例えば、私自身のなかに潜んでいる悪、善、醜、美、偽、真、欲、清、賎、貴、寂、栄、堕、信、滅、諦、願、闇、光、託、累、祈などという類のものと激しく格闘した感じです。
この本を読まれたみなさんは如何だったのか、できれば感想など伺いたいところです。
キャストはそれぞれ何かしら、どこかしら象徴的ですし、時間的には長くはないけれど空間的にはけっこう壮大です。
つまり短い時間のなかを、あっちこっちへ引きずり回されたみたいな感じなんですね。
大勢の登場人物のなかでも特に惹きつけられた人物は、ガンダルフ、フロド、サム、の三人です。
ガンダルフ、まるで、神の代行者のようです。
フロド、この高みにまでこられる者は人間の壁を超えた存在なのかもしれません。神とは申しませんが。崇高なる者ですよね。
サム、理想の生活者。大多数の人々に、ほっとした安らぎを感じさせるのではないでしょうか。危なくなりそうなときには、現実の世界に引き戻してくれますものね。
わたしってば、神様も、悪魔も、仙人も、賢者も、魔法使いも、知らないけれど、何もかも見通せる者になった気分になりかけててちょっとあぶない状態・・でも、作者って、自ら作り出した世界の神様みたいな存在だから、作者の側に寄り添えばそうなるでしょうよ。
大いなる経験を共有した旅の仲間たちは、目的がすっかり成就されると最後にはそれぞれの生活に戻っていくのが当たり前ですが、その生活の内容は旅路の前の、苦しみや辛さを知らなかった前とは決して同じではないのです。
人生が想像もしなかった方向へ、愛しい者たちから離れ歩まなければならない者もいるのです。
知る者と知らざる者の違いって、見た目には分からないけれどどこか異なっていますよね。
そんな人、近くにいやしませんかね。
ただ、どうぞ、生きとし生ける者がしあわせでありますように。
いかなる者でも、いかなる所に住まう者でも。
生きとし生ける者に、慈悲と叡智が宿りますように願って止みません。
そして、いかなる者でも、いかなる所に住まう者でも、慈悲と叡智を実行なさいますように。
これが、わたしが導き出した人の心が進化する道筋の方程式です。
無数にある方程式のひとつに過ぎず、使われることは多くはないように思えますが、はじめは一歩からです。
応援してほしく思います。
ふつうの生活、日々の生活のなかから学び、そんななかから慈悲と叡智が芽生え、育ち始めた慈悲と叡智を使い、少しずつ世界を広げて、世界のためにはたらく、ってそんなに大それたことではないように思います。
とてもシンプルで分かりやすくはありませんか。
これはひとり言ですけど、だれかに聞いてほしいひとり言です。
そして祈りです。