花笑 はなえみ

          呼吸を大切に 呼吸を忘れないで と願っています

わくわくする予感、インスピレーションによる本の選び方

2015年08月14日 07時59分22秒 | 本棚

 装丁や題名を手掛かりに、手当たり次第ページを繰って、普段気になっていることや、心に響いてくる言葉や挿絵などと出会えるまで、何冊でも探していく方法で見たいもの読みたいものを選んでいることが多いです。

 今回の作品に共通する多彩な表現と読みやすい訳文は原作が優れているからでしょうね。
 子供たちだけに読ませておくには勿体ないくらい作者の品格が感じられ、スリリングで面白かった2冊です。

  1949年にデビューしたジョアンはスペインを代表する児童文学者。スペインでは子供だけでなく大人にまで読まれている実力派作家。
 謎解きや仕掛けに富んだ独創的なファンタジーや冒険小説を数多く発表しているそうです。

 イスカンダル~ 1999年12月31日初版発行
 アドリア海~   1995年5月31日初版発行
 徳間書店 ジョアン・マヌエル・ジズベルト作 宇野和美訳


(1)イスカンダルと伝説の庭園
 短編ファンタジー。
 アラビアの王が栄華を誇っていた時代の物語。
 世継ぎに恵まれなかった王が当代随一の建築士イスカンダルに依頼した仕事は世界一美しい庭園を造ること。
 盲目の占い師ソスの謎かけのような言葉をイスカンダルは気にも止めず庭園造りに没頭していた。

 わくわく感というより、深い呼吸にも似た溜め息とぞくぞくする感じ、言葉・・文章が詩が宝石のよう、でした。


(2)アドリア海の奇跡
 短編ファンタジー。
 みなしごの少年とヨーロッパ一の錬金術師との出会い。物語はハンガリーに統一されていた頃の15世紀末のクロアチアから始まります。
 秘密の使いと結末。この本を読み終えたら錬金術師のイメージが変わっているかもしれませんね。

 この作品は、地理が苦手な方はヨーロッパの地図を用意しておいてもいいと思いますよ。もちろん地図がなくてもわくわくします。



  んん・・わたしの手元にある聖書は・・多分3回目のもの。
  手離しても手離しても、何処からか誰からかいただいてしまう縁。
  であれば、1冊は手元に置いておくしかありませんよね。
  他人には聞いたことないけど、こういうことって普通によくあることなんでしょうか、ね。


図書狩り

2015年08月13日 11時26分38秒 | 本棚

 今回は5冊の図書狩りでした。
 わたし如きが本の狩人っていうのはその道の人に失礼かもしれませんです、ね。
 あいすみません。

最初に「契約の櫃/けいやくのはこ」
 1998年10月31日/第1刷 徳間書店発行
 ジョナサン・グレイ著 林陽訳
 考古学者が書いた本、ノンフィクションです。
 史上最大の秘宝「アーク」を発見するに至る経緯とそのもたらす意味を綴ったドキュメント。
 私は見ていませんが、映画「レイダース/失われた聖櫃(アーク)」の中に登場するアークのことらしいです。
 聖書に詳しければもっと興味をそそられたのかもしれませんが、契約の櫃に関わった方々の執念って凄いもの、と思いました。契約の櫃に関して、日本人には理解しがたいものがありそうです。


次に「指輪物語 旅の仲間 上巻」
 1992年5月20日/初版 評論社発行
 J.R.R.トールキン著 瀬田貞二/田中明子共訳 
 おとなのファンタジーなんでしょうか、ね。
 確かに面白かった。本は厚いし重たいし全6巻ですがね、次巻も読みたいと思いました。
 詩、歌が多く出ていたようですが、英語圏の人が書いたものだから、日本語では感じ取れない本来の音の響き/韻があるのかもしれません。
 この映画も見ていませんが、その影響もあり、あまりにも知られた作品です。
 

続いて「人生を豊かに生きる12章」
 2007年11月23日/初版 詳伝社発行
 松原泰道著
 日々生きていくうえで助けとなる内容がいっぱいの本。第2章の「ありのままで死んでいけばいい」の中のフレーズ「うんうんと苦しんで死んでいけばいい」が響いてきました。
 臨終の際、みごとな辞世の句を詠んだ殿様に「何を死ぬ間際でごたごた色気を出すのだ。うんうんと苦しんで死んでいけ」と叱ったそうです。すると殿様はにっこり笑って息を引き取ったそうです。
 世間から立派、偉いと言われている人は苦しく死んでいく時でもおちおちしてられないのでしょうか。殿様は、物外/もつがい和尚の人間味あふれる一言で安心して旅立っていったのでしょうね。


 4冊目以下「絵本の絵を読み解く」と「まじょのケーキ」は省略させていただきます。申し訳ありません。ここまで読み進んでくださってありがとうございました。


絵本 スノーマン

2014年12月28日 12時21分57秒 | 本棚

東京は、あまり雪が降りませんし、辛いほど寒くはありません。
それでも、雪は あまり うれしくありませんでした。
交通機関がマヒしてしまい通勤に不便だったことも理由のひとつですね。

冬、雪、冷たい、寒い、いやだなーって多くの人はそう思うでしょう。
わたしも、そう 思うんです。

ある日、何気なく スノーマン という絵本を手に取ってみました。

ページをめくっていくうちに、私自身のからだの中を 何かしらあたたかいものが駆け巡っていくように感じられました。

そして、小さな男の子とスノーマンのように わたしは あっという間に大空を飛んでいたんですね。

途切れなく雪の流れくる天空を どこへ というのでもなく 飛翔していたように思います。

スノーマンの絵本、書店での立ち読みでしたが、わたしの目いっぱいに涙が浮かんでいて ちょっと動くとこぼれ落ちそうで しばらくは動けませんでした。


スノーマンのアニメとともにテレビコマーシャルで流れていた音楽、ウォーキング・イン・ジ・エアー/空を歩いて、というこの曲、歌声も清々しく心打たれたものでした。

私も、その時は 本当に その清らかな歌の翼に乗って大空を駆け巡っていたのかもしれません。
この曲を聞くたび その時の記憶が いきいきと立ち上がって来るのです。

イギリスで、今から29年前のクリスマスイブに放映されたものとのことです。
日本では、それから5年後、CMソングとしてお馴染みになりました。

最近聞いているのは、オリジナル ピーター・オーティ君の歌声ではありません。
リアム・オケーン君とジョセフ・マクマナーズ君の歌声です。

ふたりとも、星の王子様のような輝きをまとっていて、多くの人々を惹きつける魅力があるんですね。

リアム・オケーン君は、明るく透き通りよく響きあう声の持ち主で、ジョセフ・マクマナーズ君は、少女のように柔らかく幼さが多分に残っているような愛らしい声の持ち主というのが私の印象です。

絵本と音楽の素晴らしいめぐりあいは、多くの人々に忘れえない感動をプレゼントしてくれましたね。
時空を超えて その恩恵を受けている幸運に感謝です。


隠れされた十字架 法隆寺論

2013年11月30日 13時13分35秒 | 本棚
著者:梅原猛

 法隆寺創建着手~西暦670年天智9年法隆寺全焼
 法隆寺再建着手~西暦711年和銅4年法隆寺完成

 法隆寺再建派の著者自身がエッセイと称している本ですが、研究書とも、論文とも、推理小説とも読みとれました。
 私に古代史の知識があればもう少しは読み易かったのかもしれません。

 この本を読んでいくうちに、繰り返し出てくる残虐なフレーズに、吐き気のような感覚が幾度となくあらわれてきました。
 著者自身も書きながら、幾度も体調に影響を及ぼすような状況に陥ったのではないかと想像されます。

 私は、聖徳太子ファミリーと仏像や資材帳などを含む法隆寺にまつわる謎を、世紀の名探偵のように解明していこうとする著者の気迫に圧倒されたのかもしれません。

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 西暦643年(皇極2年11月)法隆寺において、聖徳太子のご子息である山背皇太子が追い詰められ、そして殺害(自害?)され、御一族25人(幼子、女性も含まれていたのでしょうね)が皆殺し(自害?)にされるという卑劣極まりない残虐行為があったのですね。

 幼子や子どもが自害する様を想像できますか?建物の内部のすべてから悲鳴が聞こえたり、血の匂いがしたり、周囲がぬるぬると血の色に染まっていくなか、その場にいた方々の恐怖はいかばかりだったでしょうか。どんな言葉が飛び交っていたのでしょうか。痛み嘆き苦しみにあえぐ親きょうだいを目の当たりにしたファミリーの長の苦渋、全身全霊の痛みとはいかなものか想像できますか。人間とは・・・
 人間とは、何度でも・・・
 それから1年7ヶ月後、西暦645年(大化元年6月)中大兄皇子(後に天智天皇)、中臣鎌足(後に藤原姓)などによるクーデター勃発。

 クーデターは成功しましたけど、その真意はいずこにあったのでしょうか。

 法隆寺は、時の権力者一族が聖徳太子を敬って建立したのではなく、謀って追い落とした聖徳太子一族への畏怖心や不安感などから、怨霊としてまつり封じ込めるために造ったものだということです。
 つまり、聖徳太子一族を直接手にかけたのは蘇我一族の関係者かもしれませんが、もっと高みから政局を操っていた一族や政敵が計画的にすすめたということでしょう。

 法隆寺の行事に関わる内容も、聖徳太子一族に対する魂鎮めの意味合いが強いようです。
 お寺というより、聖徳太子一族のお墓のようですが。

 ちなみに、『徳』や『祟』を当てられる皇子や天皇は、不運の方が多いように思いますが、いかがでしょうか。

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 法隆寺の行事のひとつ、聖霊会小会式(しょうりょうえしょうえしき)の儀式のなかでは、般若心経一巻、法華経からは普門品も唱えられるとのことです。

 他に、法華経つながりの有名人として、宮沢賢治さん、いわさきちひろさんが浮かんできます。

 私自身、たまにしか開かない法華経ですが、心向くままに安楽行品などを朗唱していると、自身の朗唱している声の響きとこの身のなかの奥底で冥想している魂が共鳴して、自分自身でさえ知らず気づかない自分自身が微笑んでいて、世界が開けてくるように感じています。

 みなさま、どうぞ、ご自身のお好きな本のお気に入りのフレーズを、声を出して、精一杯の澄んだ明るい響きをイメージして詩ってみてくださいませ。
 お声の調子がお悪いときや、声を出せない場合は、心の声を感じてください。
 その澄んだ明るい響きは、力(エネルギー)となって自身にはね返ってくるのですから。

 ご参考までに、私が所有している法華経です。
 法華経現代語訳 全
 三枝充悳(さえぐさみつよし) 第三文明社

感動 霊感

2013年11月07日 09時07分50秒 | 本棚
青春とは、心の若さである。-サムエル・ウルマン[詩と書翰]より抜粋

 青春

青春とは人生のある期間ではなく、
心の持ちかたを言う。
薔薇の面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、
たくましい意志、ゆたかな想像力、炎える情熱をさす。
青春とは人生の深い泉の清新さをいう。

青春とは臆病さを退ける勇気、
安きにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する。
ときには、二〇歳の青年よりも六〇歳の人に青春がある。
年を重ねただけで人は老いない。
理想を失うとき初めて老いる。
歳月は皮膚にしわを増すが、熱情を失えば心はしぼむ。
苦悩・恐怖・失望により気力は地に這い精神は芥になる。

六〇歳であろうと一六歳であろうと人の胸には、
驚異に魅かれる心、おさな児のような未知への探究心、
人生への興味の歓喜がある。
人から神から美・希望・よろこび・勇気・力の
霊感を受ける限り君は若い。

霊感が絶え、精神が皮肉の雪におおわれ、
悲嘆の氷にとざされるとき、
二〇歳であろうと人は老いる。
頭を高く上げ希望の波をとらえる限り、
八〇歳であろうと人は青春にして已む。

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サムエル・ウルマンは、1840年ドイツ生まれのユダヤ人です。
第二次世界大戦中の迫害と追放などにより、一家でドイツからアメリカへ移住したそうです。

ウルマンは、ユダヤ社会の傑出したリーダーとして、ユダヤ教の敬虔な信者として、正義を信じ、平和を愛し、虐げられし者へ恵みを与えてきた、と序文に記されています。

作詩を本業としないウルマンが詩をものにしたのは晩年のようですが・・。
八〇歳の誕生日を祝って、家族・知人が編集し、縁者に配った私家版、49篇の詩が収められています。

序文:宇野収(東洋紡会長)、訳:作山宗久、初版:1989年、発行所:TBSブリタニカ

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ユダヤ関係の本、資料等はあまり読んだことはありません。しかし、その数少ない読書経験のほとんどが「あっ、これ良いね!」という実感です。
宗教を問わず、国籍を問わず、人種を問わず、信条を問わず、年齢を問わず、性別を問わず、その人の生き方、生き様に感動し、共感し人は変わっていくように思えます。このような出会いも、最上の出会いのひとつでしょう。