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彼是、ココに記。

バッタの本名。

今思えば、私はずいぶん好奇心旺盛な子供だったと思う。

「ショウリョウバッタ」という、全身が緑色でシュッとした体つきのバッタがいる。
5才か6才の頃、このバッタを一緒にしゃがんで観察していた母親に聞いた。
「このバッタ、なんていう名前なの?」
「しょう〇〇バッタっていうんだよ。」
この時、私には〇〇の部分が「しょうゆ」と聞こえた。
そして、醤油差しの姿を思い浮かべたのだった。
 
それから少し経ってのある日、私は決心して、ひとりで家の近くの草っ原にバッタを捕まえに出掛けた。
時間をかけずに、きれいな緑色のバッタを一匹、無事に捕まえた。
私はそのバッタのお腹の辺りを親指と人差し指でそーっと挟み、大事に家に持ち帰った。
玄関の横を通り抜けて、家の陰に・・・
誰も見ていないことを確認してから、ちょっとだけ指先に力を入れた。
このバッタの口から本当にしょうゆが出てくるのかどうかを、どうしても確かめたかったのだ。

結果は「似て非なるもの」であった。
醤油差しに入っているしょうゆは、このバッタが作っている訳ではないと学んだ。

このバッタの本名が「しょうゆバッタ」ではなく「ショウリョウバッタ」と知ったのは、40才を超えてからである
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