数年前、夫がお腹の調子を崩した時のことである。
夫の不調を知ってすぐ、やっぱりこういう時は腹巻!と思った私は、ワイシャツの下に着用可能な薄くて肌触りのいい腹巻をネットで探した。
商品の説明やレビューをじっくりと読み比べながら1時間ほど悩んだ末に、ある商品に決めた。注文後の手続きはサクサク進み、腹巻は次の日には届いたように記憶している。
「ねぇねぇ、これ、スペシャルな腹巻。お腹の調子悪いって言ってたでしょ?」
夫に開封前の箱を差し出した。
「腹巻買ってくれたの?ありがとう」
夫はにこにこしながら箱を開けた。
「・・・・・・とっても小さい腹巻だね…」
夫はなんとも言えない表情で商品を取り出した。
確かに、小さい。
縦5センチ、横4センチぐらいだ。
でも、お店の商品説明欄に書いてあったのだ。
よーく伸びる、薄手の腹巻と。
夫から商品を受け取り、袋から出しながら
「なんかね、すんごい伸びるらしいよ。ワイシャツの下でも目立たないんだって。」
私は説明した。
そして、その「腹巻」を引き伸ばしてみせた。
思うように伸びない。
どう頑張っても夫のウエストサイズにはほど遠い大きさにしかならないのだ。
「あのさ、袋にリストバンドって書いてあるよ」
夫が笑いをこらえながら言った。
「腹巻にするのはかなり難しいと思う。ていうか、無理だと思う」
リストバンドを上下左右に引き伸ばしている私の姿と、事実を知った時の愕然とした私の顔がかなり面白かったらしく、夫は涙を流しながら大笑いしたのだった。
結局、腹巻ではなくリストバンドを送ってしまったというお店側のミスだったと判明した。
腹巻の再注文はせずリストバンドを返品することにして、私としては残念な結果に終わってしまった。
この日、夫はこの一部始終を何度も思い出しては笑っていたのだが、なんと次の日には整腸剤等も使わないのにお腹の調子が改善したのだ。
私は、いっぱい笑ったおかげで夫の体内のNK細胞が活性化して回復したのではないかと思っている。
どんな形であれ「一生懸命」は力になるのである