言葉喫茶【Only Once】

旅の途中で休憩中。

風のにおい

2020-09-09 08:45:00 | 言葉




夜が深まり
朝が目を覚ます度に
大気はかすかに確かに
研ぎ澄まされていて

糸のように流れる
風に気がつく
変わり始めている
今日のにおいを知る

わたしが歩けば
ひとすじの風が生まれて
ひと欠片の秋を気づかせる
誰かに吹く風に変わるだろう

今通りすぎてゆく風もまた
誰かの歩いた後に生まれた
秋を呼ぶひと吹きの風なのだ
夏の終わりのにおいがする―・・・

太陽からこぼれ落ちる
少し冷たいひかりは
頬やひたいに刺さって
ほのかな温もりだけが流れおちる

そうして肌の上には
ふたつの風のにおいだけが
かすかに確かに
残されている























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