夜が深まり
朝が目を覚ます度に
大気はかすかに確かに
研ぎ澄まされていて
糸のように流れる
風に気がつく
変わり始めている
今日のにおいを知る
わたしが歩けば
ひとすじの風が生まれて
ひと欠片の秋を気づかせる
誰かに吹く風に変わるだろう
今通りすぎてゆく風もまた
誰かの歩いた後に生まれた
秋を呼ぶひと吹きの風なのだ
夏の終わりのにおいがする―・・・
太陽からこぼれ落ちる
少し冷たいひかりは
頬やひたいに刺さって
ほのかな温もりだけが流れおちる
そうして肌の上には
ふたつの風のにおいだけが
かすかに確かに
残されている
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