石造の狛犬を神社の境内に置くようになったのはいつ頃からか。狛犬そのものの起源はかなり古いとされるが、今日のように神社の境内に石造の狛犬が置かれるようになったのはそれほど古いことではないらしい。今目にすることができる石造の狛犬は、古いものでも江戸時代の中期以降、ほとんどが後期のものである。年号で言うと文化、文政、天保などが最も多い。それよりも古いものにはあまり出会うことがなく、天明、明和などの記憶はあるが、それより古いものを見た記憶はない。ところが、最近になって元禄の年号が記された石造狛犬を見る機会を得た。それは、拝殿前の一般に誰もが接することができる場所ではなく、拝殿奥の本殿前で、神職など特別な関係者だけが目にする場所に置かれていたのである。古い時代には、石造とはいえ、神社の境内の拝殿前などには置かれなかったようだ。さて、阿吽を一対とする狛犬の表現は、仏教の影響を受けて日本独自に発達したものとされ、向かって右に阿形、左に吽形という配置も、寺院山門の仁王と同じである。しかし、阿形は獅子で、吽形は狛犬として表現され、吽形の狛犬にのみ角が表現される。これは、鎌倉時代以前からの伝統を引き継ぐもののようである。
30秒の心象風景15509・阿吽の造形~若一神社狛犬~
https://youtu.be/D5pcAx9iJzo
30秒の心象風景15509・阿吽の造形~若一神社狛犬~
https://youtu.be/D5pcAx9iJzo