今、滋賀県立美術館では、滋賀県の風景を
数多く描いた洋画家、野口謙蔵の生誕
120年を記念して、展覧会を開催中です。
この展覧会に関連して、”野口謙蔵展鑑賞と
ふるさと蒲生野を訪ねるバスツアー”が
企画されていました。これ、行きた~い…!
謙蔵展、1月30日に行ったばっかりだけど…。
申し込みをしたら、すでに定員で受付終了…。
でも、あきらめず”キャンセル待ち”しました。
2月13日(日)は、何も予定を入れないで
ず~っと、連絡を待っていたら…、
連絡が来ました~! やった~!
東近江市観光協会から、「謙蔵ツアー、
キャンセルありました。申し込めます。」
ラッキーです。謙蔵さんに呼ばれたかしら…。
すぐ参加申し込み手続きをしました…!
バスツアーに参加するのは久しぶりです。
なんだかちょっと面白い体験ができそう…。
学芸員さんの解説付きで謙蔵さんの作品を
鑑賞するのは、またとないチャンスです。
そして、作品に描かれた風景を実際に見る
ことができる…!すごくワクワクしますね。
バスツアーは、大津駅に9時30分集合。
定員25名です。コロナ禍でバスツアーは
2席を一人で使うことになっていました。
これ、ゆったりしていてとてもいいです。
最初に滋賀県立美術館へ行きました。
今回の野口健蔵展の企画を担当した
学芸員、山口さんの解説を聞きながら、
会場の絵を一つ一つ見て回ります。
解説があると、絵の見方が変わってきます。
この展覧会、カラー写真付き解説書が
一人1冊もらえました。嬉しいことです。
裸の少年の後ろ姿、両手に花束を抱えた
少女、座っている少女などの群像を描いた
幻想的な”村の子供”という絵がありました。
「この絵は、とても大きな作品です。
これほどの大作なのに、大きな展覧会に
出品されたという記録がありません。
この絵は謙蔵さんのアトリエの片隅で発見…。
ぐるぐる巻かれたまま、忘れられたように
無造作に置かれていたそうです。製作年代も
制作の経緯も記録が残されていませんでした。
”謎の大作”と言われています。」
なぜ、この作品は公開されなかったのか…?
何か満足できなかった部分があったのかも…。
いや、何かのための試作だったのかも…。
今となっては、推測するのみですね。
これは単なる私の印象ですが、パッと見て、
”謙蔵さんらしさ”があまり感じられない…。
そう思うのです。いや、蒲生野の風景が
描かれていないからではないですよ~。
これ、あくまで私の推測なのですが…、
昭和8年に謙蔵さんのアトリエが完成…。
それからアトリエ周辺に広がる、蒲生野の
風景をたくさん描くようになったと思います。
この場所に落ち着いてから、じっくりと
”自分しかできない表現”のようなものを
深く追求することができたのでは…?
”村の子供”という作品は、アトリエのできる
少し前に制作された作品のようですね。
謙蔵さんのような素晴らしい絵を描く人でも
”自分らしい絵”を確立するためには、
環境や時間が必要だったのかも…?
この絵を前に、そんなことを思いました。
また”水村雪後”と名付けられた、農村の
冬景色の描かれた大作がありました。
これは題材といい、色使い、タッチといい、
実に”謙蔵さんらしい”作品だと思います。
「この絵も大作です。”これを制作するために
水辺でいろいろとスケッチをした”…と日記に
書かれています。数多くのスケッチをもとに
1枚の大画面の絵を組み立てていく難しさも
謙蔵さんは、日記に記しています。
今回の展覧会は、謙蔵さんの日記なども
展示しています。ご覧ください。」
謙蔵さんは、こまめに制作日記を付けて
いたようです。これも興味深いものでした。
子供が書いたいたずら書きのような感じの
クレヨンで描かれた作品もありました。
「これは、謙蔵さんの最後の作品…。
体調を崩して、寝込んでから描かれた絵で
絶筆とされているクレヨン画です。」
「”喜来雨”と名付けられたこの作品は、
日照りが続いた後、雨が降ったことを
喜ぶ村の人々の姿を描いています。
足元に、魚や亀まで描かれていますね。」
謙蔵さん、この絵を遺して43歳の若さで
世を去りました。早すぎる旅立ちでしたね。
学芸員さんの解説、とてもよかったです。
謙蔵さんの絵を深く理解できるようでした。
美術館の後は、昼食タイムです。
バスは謙蔵さんのふるさと、東近江市へ。
御代参街道の宿場町、岡本宿にある
日本料理の店”ますや”に行きました。
お庭の眺められるお部屋で食事です。
いろどり豊かに盛り付けられたお弁当は、
琵琶湖でとれたお魚を始め、この地域の
食材を贅沢に使ったものだそうです。
ビワマスのお造り、丁字麩の酢味噌和え
お弁当、本当においしかった~!
食事の後は、いよいよです…!
謙蔵さんの旧アトリエ、生家、菩提寺…。
ゆかりの地、蒲生野に向かいました。
では長くなりましたので、次のブログ記事へ。